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ら組三番町大安売屋碧眼の魔術士

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2005年02月28日
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テーマ:人間関係(925)
カテゴリ:たまには素のまま
 
教室の扉をそっとしめた時、
歪んだ窓ガラスの向こうに時計台が見えていた。
 
 
それが私の学校生活の全てを象徴していたな。
 
ここにいたら、自分自身の時間まで歪んでしまうような気がした。
その日から二度と学校へは行かなかった。
 
2年間、ただひたすら自分の部屋の中で本を読んでいた。
 
部屋の壁を本棚で埋め尽くし、
いつしか1000冊を超えた蔵書に埋もれて死んでもいいと思っていた。
 
 
それから15年以上たった頃だったかな・・・
 
ある日、卒業生名簿に載るはずのない私に、
どうしたことか、同窓会への招待状が届いたんだ。
 
 
本に囲まれた部屋を出る決心をした時、
それまでの全てはリセットしたつもりだった。
 
16歳以前の人間関係は、ただ辛いだけの時代を思い出させるものでしかなかった。
 
 
だけど・・・行こうと思った。
 
迎えに行かなくちゃいけないと思った。
 
 
学校は昔の面影を無くしていた。
そして、旧友たちは、誰も私を忘れてはいなかった。
 
あの頃、ここで異邦人のように感じていたのは自分だけだったのかもしれない。
教室から見える時計台は、真っ直ぐな針で時を刻んでいた。
 
 
教室の片隅に蹲っていた昔の私が立ち上がり、
ふっ・・・と、私の中に入ってくる。
 
忘れていたもの、忘れようとしていたものが、
ようやく思い出という名の物語に変わっていった。
 
 
あの日が、人よりだいぶ遅れて迎えた卒業式だったのかもしれないね。
 
今でも時々思い出す。
少しばかり老けた連中との写真を眺めながら。
 





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最終更新日  2005年03月03日 01時48分04秒
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