2005/04/19(火)13:55
★ インプラントが失敗!!!どうしよう!!!★
●現在、インプラント治療の成功率はトロント会議[1998年]により95%以上でありながら、不幸にもこんなケース「100本のなかの5本」も有り得ます。(「インプラントを考えるページ」を参照)
患者さんは57歳、女性、著明なインプラントロジストのところでインプラント治療(オペ)を受け、3週間後には上図左右のように上顎全歯、下顎X部に上部構造が出来上がり、装着、診療終了。すごいDr..と思いましたが。。。
● 案の定、インプラントを埋入した上顎全歯、下顎X部はすでに壊疽を起こし、再生不可能、統べてのインプラントを埋入した部位は撤去となりました。その撤去し、治癒した状態が上図左の状態です。垂直的な骨、軟組織再生療法を応用する事も可能ですが、患者さんは「NO!もうオペはコリゴリです!!!」と。
●非常に理解できます。相談の上、「オペ無し」の上顎はフルデンチャ-、下顎には、取り外しの利く、AGC Galvano、および、バイオメタルのコンビネーション・デンチャ-(上図左)を計画せざるを得ませんでした。AGC Galvanoのコンビネーション・デンチャ-(上図右)はとてもスムーズに脱着可能であることから、顎堤を考慮してもこのケースには最適です。
● ここで上下顎の被蓋をコントロールするため、患者さんに「F」と「S」の発音が完璧にできるかどうかを分析します。「F」は下唇を巻き込んでの発音であるため「F」の発音ができない場合、下顎前歯の長さに問題があるため、上図左のように黒くマーキングを施した箇所を少しづづ削合しながら調整していき、完璧な“F”の発音ができるようにします。また、「S」の発音は上下顎の被蓋が完璧で無い場合、不可能であるため上顎の前歯の長さが大きく影響してきます。こうして、上下顎の前歯部の長さが決まれば、この後、カロッテ(排列用ジグ)を応用して臼歯部を並べるだけです。
●こうして仕上げた物が上図の上顎フルデンチャ-です。ただし、ガミースマイル(笑ったときに歯茎が出る状態)を極力避けるため、前歯部隣接部をコンタクトラインで調整し、機能を考慮した切縁部、および、表面性状を改善する事が重要になります。
つづく、、、
★『術式担当、写真提供:Dusseldorf大学病院 、助教授:Oa.Dr.med.dent.G.Diedrichs先生』 ★