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「パパがさくらに言いたいことがあるんだけどさ、
さくらはさ、受験が近付いてきてすごい緊張してないか?」 なんとなく頷くさくら。 「あのな、さくらはそう思ってないみたいだけど、パパは 中学は公立がいいと思ってるんだよ。 さくらが塾に行った方がいいと思ったのは、今のままじゃ 一人で勉強できなさそうだし、なにより高校を受験する時に 困ると思ったからなんだよ。 それと自分の通う学校以外に、本当にいろんな子がいるって、 自分の目で見た方がいいと思ったのもあるよ」 だけどパパの予想以上にさくらは頑張って、K先生からも この学校を受けられるかもしれないなんて言われてさ、 正直驚いてるよ。パパが思う以上に頑張ったんだと思ったよ。 よく頑張ったよな、結構見なおした。 だけど、それでも私立に行った方がいいと思ってないんだよ。 公立がいいと思ってる。だからそんな緊張したりすることないよ。 別に受験しなくていいんだから。パパは本当にそう思ってるんだから。」 と続ける。 側で見ていてさくらがびっくりした顔をしているのが分かる。 「ただね、ここまで一生懸命勉強してきて、やっぱり試験受けて みたいってさくらが言うなら、別にそれでもいいと思ってるよ。 だけど、この学校がいいとかここを受けなさいとか言うつもりは ないから。さくらがママと一緒にあちこち見て、もし気に入った 学校があって、受けたいと思うならそこを受けてもいいよ。 見てまわった学校はいい学校ばっかりだっただろ? どの学校も、もし合格したら通いたいんだろ? だったらパパはどこでもいいよ。 受けるか、受けないか、どこの学校を選ぶかはさくらの自由だよ。 もし受かったら行けばいいし、だめなら、パパが言うとおり、 公立の中学へ行けばいいんだから。わかった? 後は自分で考えてみな」 さくらは「わかった」とひとこと言った。 翌日夫がいない時、さくらが私のところへ来て 「ねえママ、パパは本当にそう思ってるのかな、公立がいいって…」と尋ねる。 「そうよ、本当にそう思ってるのよ」と答えると 「私、パパは絶対私立じゃないとだめだと思ってると思ってた。」とさくら。 「えー、そんな風に思ってたの?パパはそんなこと最初から思ってないよ」 と私は作り笑いで答えてみた。 「よかった~」とさくらは最近、滅多に見せないほっとしたような笑顔を 見せた。心底安心したように見える。結構単純じゃん。 さくらもかえでも父親が大好き。 夫は子どもの世話はしないが、小さい頃から本当によく遊んだ。 自分が楽しめる遊びに子どもを誘う。だから子ども達も楽しい。 でもその一方で、「これだけは許さない」という一線には かなり厳しい。怒るとすごい。女の子でも手加減しないから、 手も足も出る。娘達はマジでパパを恐れてる。 その父親が私立を望んでいると思えばこそのプレッシャーも あったに違いない。 だから父親に言われてほっとしたんだと思う。 私が言っても、多分安心させられなかっただろうな。 (でもなぜさくらはそんな風に思ったのだろう。 夫のスタンスはどちらかといえば「私立じゃなくてもいいよ」。 これは本当。私が最初から「私立希望」だったのに。 父親も中学受験してるからだろか…これはいまだに謎である) 「でもパパは受験してもいいって言ってたよね。それでもし受かったら 通っていいって言ってたよね?」「そうね、そう言ってたね」 「私、やっぱり受験してみたい。だからパパにそう言うよ」 よかった~。とりあえず作戦は成功したみたい。受験するって。 もしかして一番ほっとしたのは、さくらじゃなくて、この私だったかな。 後から夫が私に「な、オレが言えばうまくいくだろう?」と自慢してたけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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