2006/11/07(火)00:25
『星を見つけた三匹の猫』
『星を見つけた三匹の猫』
ヨルク・リッター著
鍋谷 由有子訳
白水社、2000年
(白水Uブックスから2003年に再刊あり)
港町に住む三匹の雄猫。
片目のフレデリック
しっぽが切れたカストロ
肩に古傷を持つリンゴ
邪悪なネズミの王マードックとのあいだに
繰り広げられる、犬・人間を巻き込んだ壮絶な戦い。
一方で展開される平和な世界。
白い雪フクロウのメスランテアの話す
天体のふしぎな物語に耳をかたむけながら
森のかなたの塔で暮らす銀毛の雌猫のエンリル。
二つの世界の話は、やがて一つに繋がる。
* * *
今日、図書館で借りて、
帰りの電車の中で読み終わった。
ヨルク・リッター(1918~93)
ドイツ生まれ。ジャーナリスト・放送作家・小説家として活躍。
『星を見つけた三匹の猫』の原題は'Der Katzenstern'(猫の星)。
フレデリックの台詞、「ああ、ネズミの奥さんのプリスキラだな!十匹だか十二匹いる子供のえさを探しにきたんだ。あれはほうっておこう。社会福祉だ!」。動物実験への鋭い批判。輪廻転生思想を連想させる「グランド・サークル」。世界観に仏教っぽさを感じた。気のせい?
ちなみに今日借りたもう一冊の本は、
吉田一彦『古代仏教をよみなおす』(吉川弘文館、2006)。