テーマ:好きなクラシック(2346)
カテゴリ:音楽
友人からの、メールでベルマンの逝去を知りました。6日にイタリア・フィレンツェの自宅で亡くなったそうです、 享年74歳 ラザール・ベルマンは1930年レニングラード生まれ。 モスクワ音楽院で名教師のアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルに学ぶんだピアニストです。 リヒテル同様、ソビエトの鉄のカーテンの中に隠され、幻のピアニストと言われ続けました。その怪物がついにアメリカでデビューしベールを脱いだのは、1976年です。 1963年にモスクワで録音されたリストの超絶技巧練習曲。これが伝説の始まりでした、リヒテルは「俺とギレリスの二人の手を合わせてもかなわない」と言わしめた、壮絶極まりないこの録音は、この曲集の金字塔と言うべきものでしょう。 ベルマンとの出会いは、高校生の頃でした、リストの超絶技巧の野生の狩(死霊の群れ)と言われる第8番を当時弾いていた時に、先生がこの曲の色々な名演奏家による録音を聴かせてくれました、その中にベルマンの演奏があったのですが、最初の音を聴き、ぶっ飛びました。曲が終わるまでのテンションの高さと驚異のテクニック、「ごっついおっさんが、いるもんや。。」が最初の印象です。 今日は追悼を込め、この全曲演奏を聴いていますが、ロシア~~ンな独特の鋼のような強音は、録音ながら、まるでピアノの蓋の中に頭を入れ聴いてるかのような錯覚になるド迫力、血圧が上がります。 普通のピアニストなら、テクニック的、体力的問題などで、ルバートをかけ演奏する箇所も、このロシアの熊は、頂点めがけて猛烈に突き進みます、第4番「マゼッパ」はそれがよく現れています、気合入魂の鼻息かうなり声も若干聞き取れますが、この気合こそロシア人名演奏家の伝統でもあるなと、思わされます。5番の「鬼火」では鍛えぬかれた指による重音さばきが聴く事ができます、ここでも推進力は半端ではありません。 ベルマンは骨格の太い音楽も魅力的です、第11番の夕べの調べは息の長いフレーズで実にスケールが大きいですし、クライマックスはやはり弦が響ききっています。 こういう演奏を聴くと、人間の能力の素晴らしさを感じます。 またしても巨匠が一人逝ってしまいました、実演が聴けなかったのが残念でなりません。 テレビ放送で見た、美しいシューベルト=リストのアヴェマリアを大きな腹を邪魔そうにしての演奏姿が忘れられません。 ベルマンの音源はまだまだ聴いていないものがあるので、これから聴いていきたいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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