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カテゴリ:明け暮れる配達の日々
早朝からいつも掃除をしているお客さんに挨拶して
ポストに向かおうとした時、声を掛けられました。 「犬いるけど大丈夫?」 そこは、小さな雑居ビルで これまた小さなエレベーターホールに集合ポストがあるのですが ふと見ると、その前に鎮座ましましているゴールデンレトリバーが一匹。 「・・・望むところです!」 お客さんそっちのけで、目を爛々と輝かせながら 小走りに駆け寄る配達員。 ええ・・思う存分遊んでやりましたとも じゃれ付いてくるその子を、何回も引っくり返したりしながら。 犬好き配達員まぐろです。こんばんは。 犬話ばかりで恐縮ですが・・先日の夕刊配達の出来事。 12階からエレベーターに乗り込むと 犬を抱いた初老の男性が一人。 もちろん僕の興味は抱かれた犬に一心に注がれます。 これから散歩にでも連れてってもらうのか あどけない顔でこっちを見ているその子が愛しい。 僕のような属性の人間は、犬を連れた人となら 簡単に仲良くなってしまうのが長所。 「可愛いですね・・なんて名前ですか?」 なんて聞きながら、密室内の僅かな時間を楽しもうとした矢先。 不意に止まるエレベーター。 見ると10階で犬を連れた三十代の男性が乗り込んで来ます。 さらには、7階でも犬を大事そうに抱いたおばさんをエレベーターは招き入れました。 こうなればもうその個室は犬好き倶楽部。 飼い主同士が互いの愛犬を褒めあう微笑ましい光景。 僕としてもなんとも嬉しいシュチュエーションなんですが・・。 しかし、犬同士ではそうは言っていられません。 明らかに一触即発のムードが漂っています。 そう・・パグ・柴犬・ミニチュアダックスフンドが お互いのテリトリーを誇示し牽制を続けているのです。 ・・やがて訪れる臨界点。 飼い主が他の犬の頭を撫でた瞬間に崩れる均衡。 三匹の犬が、三つ巴で、闘争心むき出しのまま 吠える。 吠える。 吠える。 慌てふためいたのは飼い主達・・。 それまでの和やかな雰囲気だった1メートル四方の密室は 一瞬にして修羅場へと転じました。 やがて、エレベーターは地上に舞い降りると、僕らを吐き出し 犬同士の喧騒なんて気にも留めず、再びその業務に戻ります。 飼い主達もバツの悪そうな顔で、散りじりに消えていきました。 残された僕は、あの緊迫した雰囲気が妙に可笑しくて 人気の無くなったエレベーターホールで、ひとしきり笑ってしまうのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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