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穏やかな爆弾

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カテゴリ:歪曲人生
※連作です。昨日の日記を読んで無い方は
 こちらからどうぞ・・。



いつまで、途方に暮れていても
彼らが戻って来てくれる気配はありません。

仕方が無いので車の消えた方向へ
僕はとぼとぼと歩き出しました・・。

田舎の夜道って言うのは
街頭も殆どなく、目を閉じて身体の向きを
あやふやに廻せば
それだけで前後不覚に陥ってしまいそうな程の
真の闇が広がっていました。

まさに暗中模索・・。

友人の車が、黄色いウインカーで指し示した
方向性だけが、そのときの僕には
唯一の指針だったのを覚えています。

一頻り歩いていると、横道に差し掛かりました。

ふと見ると、分かれ道にある民家の影に
車のライトがひとつ・・。
だだっ広い駐車場なのに、身を潜めるように見え隠れしています。

「なんだかんだやっても、結局は友達・・。待っててくれたんだな。」
「そりゃそうさ・・こんな所で置き去りにしたら
 今後の友人関係に大きなシコリになるのは分かってるはずさ・・。」
「ま・・君らが笑えたのなら、僕が多少犠牲になろうとも然したる問題じゃない。」

なんて考えながら僕は、小走りでその灯りの方へと駆けて行きました。



・・・見知らぬおじさんが
車のキーホルダを指先でくるくる廻していました。

・・・。

・・・。

・・・。

再び来た道へ戻り、また同じ方向へ歩き始めます。

暫く進むと、暗闇にぽつんと佇むコンビニエンスストアに出くわしました。

中を覗いても友人の姿はありません・・。

ここで待っていれば、仲間たちが迎えに来てくれるかも
と思い、雑誌を読みながら時間を潰す事にしました。

・・・。

・・・。

・・・。

ジャンプ1冊読み終わりました。

まだ、友人達が現れる気配は一向にありません・・。

仕方なく、缶コーヒーとグリコ・ポッキーアーモンドクラッシュを買い
また暗夜行路に戻ります。

・・・。

・・・。

どれくらい歩いたのでしょうか?

何となく視界が開けてきました。
遠方で、暗闇を打ち破る白い光は、正しく街のそれです。

ああ・・人間の息吹を感じる場所まで戻ってこれたのです。

タクシーでも捕まえて帰ろうとしましたが
財布の中身は数百円・・。
「今日は全て俺達の奢りだ」という友人の言葉を信じて
あまりお金を持って来ていなかった自分を呪いました・・。
さっきのコーヒーと菓子を差し引いても
初乗り運賃にも届きません。
着払いって手もありましたが
夜中、高校生上がりの子供が
タクシー拾って帰る上では敷居が高すぎます。

「歩いてウチまで帰ると、夜が明けちゃうな・・えへへ。」

なんて途方に暮れつつ、自嘲気味に笑って
ポッキーをポリポリやっていると、ふいなクラクションに背中を叩かれました。

振り返ると、見慣れた車・・。

友人達です・・。

僕は車のヘッドライトに照らされながら
置き去りにされて、散々歩かされた怒りよりも
ああ・・コレでこの孤独から開放されるという安堵感が
身体を包んでいるのに気が付きました。

「ま・・ここで目くじら立てるのもなんだよな。」
「結局、迎えに来てくれたんだし、笑い、笑いで済ませよう。」
「コレは彼ら一流のさよならの挨拶なんだ。」

なんて考えながら、扉を開け友人の車に乗り込みました。

・・・。

・・・。

・・・。

車内の空気が、なんだかピリピリしています。
友人達の表情が、皆、怒りに満ち溢れているのは気のせいでしょうか?
へらへら笑いながら、車に滑り込んだ僕に
最初に浴びせかけられた言葉は・・。

「おまえ、馬鹿だろ!!」

あの~、置き去りにされた僕が何で怒られてるんでしょう?

身に覚えがなさ過ぎます。

突然の逆切れに、僕の今までの心細さが怒りに転化しました。
なかば殺意を覚えながら、理由を聞いてみたところ
どうやら彼らも、僕を小一時間探し続けていた模様・・。

暫くして、僕を迎えに行くため
来た道をカラオケボックスまで走らせていたところ
後を追って来ている筈の僕の姿は何処にも見当たらず・・。
(おそらく、勘違いして横道に逸れた時、彼らの車は僕の背後を通り過ぎたのでしょう)
色んな可能性を信じて、方々走り回っていたらしいのです。

その内、車内で
「あいつなら先に帰ってるはずだから、俺達も帰ろう。」
という冷酷な意見と
「いや、俺達の責任だから、最後まで探そう。」
という温情的な意見が対立し、雰囲気が悪くなってきた所で
僕が、ポッキー食べながら間抜けにも現れたもんだから
全ての怒りの矛先が僕に向いてしまったようです・・。

・・それって僕が悪いんでしょうか?

・・僕の今までの孤独感は、一体何処気持って行けばいいのでしょうか?


まあ・・今になっては、良い思い出なんですけどね。


友達・・。

いかに、冷酷ないたずらを仕掛けられようが
いかに、理不尽な意見を押し付けられようが
やっぱり、その一瞬一瞬を共に過ごし、過去を振り返って笑っていられる
彼らは、僕にとってはかけがえの無い存在だと思うんですが・・
如何でしょうか?





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Last updated  Aug 25, 2004 04:10:14 PM
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