深窓の令嬢との出会い。とうとう、あの子に会えた。 こんなに近くに住んでいながら・・・ 前に顔を見たのは、いつの事だろう? もう、とっくの昔の事で、忘れてしまっている。 前に会った時の事は、夢だったんだろうか? でも、まぶたに焼き付いているあの子の姿は、 絶対夢なんかじゃないってば。 また会えるに決まってる。 この前、そこのお宅の方たちを見かけた。 でも、勇気を出して聞けない。 『あの子はどうしてますか?』なんて。 後から、聞けばよかったと後悔もするが・・・ きっと、いつか会える日が来る。って、 自分に、言い聞かせながら家に向かう。 情けない・・・ でも、今日やっと、あの子に会えた。 真っ赤なリボンをしてた。よ~く似合ってるよ。 窓辺にたたずむ姿に、恥も外聞もなく、舞い上がってしまう。 遠くから、声もかけた。 可愛い声で答えてもくれた。 『にゃ~~~~ん!』って。 きゃ~、なんて可愛い声なんだろう。 やっぱり、夢なんかじゃなかったんだ。 偶然手に持っていた、デジカメで数枚・・・ 『こっち向いて~!』 残念ながら、あの子の居る所は、二階のベランダの手すり。 下から声をかけても、中々思う様にはならない。 カメラを向けて、声をかけていると、 見知らぬ通行人が、後ろを通り過ぎて行く。 きっと、『何してんだろう?頭変じゃないのあの人!』 な~んて思われてるだろうな~、と思いながらも、 あの子の事が気になる。 部屋の中から、家の人に呼ばれたのだろうか、 姿を消した。 でもよかった、元気な姿も見れたし、声も聞けた。 ましてや、写真まで・・・ 意気揚揚として家に戻り、嬉しさを隠し切れず、 家人に話す。 そして我が家のベランダから、もう一度見てみる。 きゃ~、また居るじゃないの。 でもすぐ家の中に消えて行った・・・ いつか、間近で会ってみたいな~ いい子いい子もしたいな~ 可愛い顔もっと見せて~! |