あれから十年。
もうあれから10年の歳月が流れようとしている。あの日の午後7時半すぎ、私は、地元局のFMラジオを聞きながら友人宅に向かって車を走らせていた。あの交差点の信号は赤だった。フロントガラスから見える月はとても大きく、未だ忘れられないほどの綺麗な満月。あまりの美しさに、身震いを覚え、何か起きなきゃいいが、と不安がよぎる。私には、予知能力も、予感すらないはずだが・・・ラジオから聞こえる流暢な日本語を話す外国人ナビゲーターも、ウルフマン・ジャックのこわいろで、『満月の夜は、何かが起こる。』と、女性ナビゲーターと話している。『満月の夜・・・』そんなの迷信だよな~なんて思いながら、友人の家に向かった。9時過ぎに友人宅を出て、先ほどのラジオ番組を聞こうとスイッチを入れると、聞こえてくる上ずった声は、『今、何台もの消防車が名古屋空港に向かっています・・・』一体何が起きたのか、予測も付かない。家に帰り、TVを見る。どのチャンネルも、通常番組を中断し、名古屋空港からの映像を写している。後ろの燃え盛る映像に加え、現場からの震えるアナウンサーの声が、 中華航空機事故 の大きさを物語っている。そう、もうあれから、十年の歳月が流れている。数件の航空機事故があったにも関わらず、あの日の事は、未だに鮮明に記憶に残っている。黙祷。