いり豆 歴史談義

2008/08/24(日)07:34

現代生活文化のルーツ

昭和初期(6)

皆さんは、休日・余暇をどのように過ごしておられますか。 車でドライブ、あるいは、 おいしいものを食べに出かけたり、ショッピングをしたり。 はたまた、テレビを見ながらゴロ寝でしょうか。 映画やコンサート、スポーツ観戦もいいですね。 こうした、今や一般的となっている日常の生活パターンが、 一般に普及していったのは、1920年代のアメリカであったようです。 今回は、そうした1920年代のアメリカにおいて、 現代的な生活パターンが定着していった状況・背景と その結末についてさぐってみます。 1920年代。 アメリカは、第一次世界大戦で戦場にならず、 その間、物資の供給国としての機能を担っていたために、 史上最大規模の好景気を迎えることとなりました。 建設ラッシュが起こり、ニューヨークには摩天楼が立ち並びはじめ、 一般庶民の生活水準も飛躍的に向上しました。 一般家庭にも自家用車が普及し、 ラジオなどのマスメディアも誕生してきます。 スポーツが興業化され、 レコードの普及によってジャズを中心とした音楽産業が勃興してきます。 こうした中からは、ベーブルースやデュークエリントンなど、 新しい形の茶の間のヒーローが誕生してきました。 1900年代初頭から始まっていたハリウッド映画も、 高い人気を博すようになり、 ブロードウェイではミュージカルも始められました。 また、女性の間では、美容やファッションについての関心が高まり エステなどの産業も成立してきました。 まさに、現代と同質の生活文化が、世界で始めて生まれたのが、 1920年代のアメリカであったと考えられます。 そうしたことから、注目すべき時代であったのではないでしょうか。 そして、こうした生活様式の変化に伴う大量消費が、 さらなる好景気を生み出していきました。 そうした中、人々は、働くより簡単にお金が得られる方法を求め始めます。 株式投資です。 この時期のアメリカは「永遠の繁栄」とさえ呼ばれ 景気の上昇が続き、人々はこうした生活がいつまでも続くものと思っていました。 しかし、これはまた、人類が始めて経験したバブル社会の到来でもあったのです。 そして、このバブル社会の結末はどうなったのでしょうか。 1929年の10月。 ちょうど、1920年代最後の年に大きな事件が起こりました。 ニューヨークウオール街、株式市場での株価大暴落です。 株価は半額となり、その後も、持ち直すことはありませんでした。 これによりアメリカは、一転して不景気のどん底に陥ることとなり、 多くの人々が職を失い、町には失業者があふれ始めました。 さらに、その影響は瞬く間に世界に広がります。 世界恐慌の始まりです。 やがて、全世界が不況の波にのみこまれていきました。 中でも、深刻な打撃を受けたのが、第一次世界大戦の敗戦国ドイツでした。 この窮状の中、ドイツ国民は、独裁による民族国家の再生を掲げる ヒトラーのナチス党に望みを託し、熱烈に支持をし始めます。 日本でも、軍部が政権を独占し始めるなど、各国でもファシズム勢力が台頭し、 こうした動きの中で、やがて、第2次世界大戦へと突入していくことになるのです。 人間には学習能力があり、その後、幾たびかバブル社会が訪れることがあっても、 同じ過ちを繰り返すことはありませんでした。 しかし、豊かな現代社会に暮らしている中においても、 その基盤は危ういものである、ということは 常に自戒しておきたいものであると感じています。

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