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2026.04.21
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カテゴリ:本のこと



『おなべおなべにえたかな?』
こいでやすこ/さく
福音館書店

春の日のやわらかい光のなかで、一冊の絵本を開いた。
ページの中では、きつねのきっこたちが、おおばあちゃんに頼まれて、にんじんスープのおなべの番をしている。けれど、「味見」が止まらない。ひとくち、もうひとくち、と繰り返すうちに、気がつけばおなべは空っぽになってしまう。
空っぽになったおなべが、「お水を入れて」と話しかけてくる。おなべがしゃべるなんて、思わず笑ってしまう。叱られる前の緊張や、深刻な失敗の空気ではなく、どこかあたたかい余白があるのが、この絵本のやさしいところだと思う。
きっこたちは、たんぽぽの花とお豆を使って、新しいスープを作り直す。
たんぽぽの花なんて、食べられるのだろうか。そう思いながら読んでいたとき、先日読んだ『道ばたの食べられる山野草』のことを思い出した。そこには、たんぽぽの花には裏にだけ衣をつけて天ぷらにするとおいしい、と書かれていた。
道ばたの草を食べることに、どこか引っかかりを感じていた自分。あのときの、少しぎこちない気持ち。それが、この絵本を読んでいるあいだに、少しずつほどけていくのがわかった。
きっこたちにとって、たんぽぽは特別なものではない。困ったときに手を伸ばせばそこにある、春の材料のひとつ。失敗を埋め合わせるための、ささやかな工夫だ。
その軽やかさが、いい。
「道ばたの草なんて」と身構えていた気持ちが、少しゆるむ。食べられるかどうかよりも、「使ってみようかな」と思える余白が生まれる。
絵本の中のおなべは、ことこととやさしく煮えている。大げさではないけれど、たしかなあたたかさがある。
ページを閉じたあとも、その余韻はしばらく残った。
たんぽぽの花の天ぷら、作ってみようかな。





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最終更新日  2026.04.21 10:05:57
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