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カテゴリ:日々のこと
家には、赤いワンピースを着た人形がいた。名前はゆりちゃん、背中にボタンがついていて、それを押すと、ぎこちない声で喋り、そして歌う。子どもにとっては、それはただのおもちゃではなく、小さな友達のような存在だった。 けれど、ある夜を境に様子が変わった。 誰も触れていないはずなのに、人形がひとりでに喋り出し、歌い始めるようになったのだ。静まり返った夜の中で、その声は妙に響き、家族を何度も目覚めさせた。最初は偶然かと思われたが、それは一度きりではなかった。 今になって思えば、人形の異変もただの接触不良だったのだろう。古い電池や内部の不具合で、勝手に作動してしまうこともある。夢遊病もまた、成長過程における一時的なものだったに違いない。 赤いワンピースの人形は、今でもときどき、記憶の中で、かすれた声で歌っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2026.07.05 18:59:52
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