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カテゴリ:本のこと
図書館で働いていると、「何か気分転換になる本はありませんか」と聞かれることがあります。 そんなとき、私は意外な本棚へ案内します。 児童書のコーナーです。 その中でも、特によくおすすめするのが、たくさんのふしぎ です。 子ども向けの科学雑誌ですが、実は疲れた大人にこそ読んでほしい一冊です。 毎日の生活には、たくさんの「考えなければならないこと」があります。仕事のこと、家族のこと、将来のこと。気づけば頭の中が予定や不安でいっぱいになってしまいます。 そんなときに必要なのは、問題を解決することではなく、少しだけ視点を遠くへ運ぶことかもしれません。 『たくさんのふしぎ』には、宇宙の話があります。 深い海の話があります。 遠い国の森や、大昔の生きもの、見たこともない昆虫や石の話があります。 ページをめくるたびに、日常とは別の世界が静かに広がっていきます。 子ども向けなので、文章はやさしく、説明もシンプルです。 けれど内容は決して子どもだましではありません。 むしろ、大人が忘れてしまった「純粋な知る楽しさ」を思い出させてくれます。 宇宙の広さを知れば、自分の悩みが少し小さく見えることがあります。 何百年も生きる木の話を読めば、時間の流れがゆっくり感じられることがあります。 不思議な生きものの話を読めば、頭の中を占めていた心配事から、ほんの少し距離を取ることができます。 これは現実逃避ではありません。 心を整えるための、小さな遠回りです。 遠くの世界を旅して、また日常へ戻ってくる。 すると、不思議なくらい、同じ現実が少し違って見えることがあります。 最近なんだか疲れている。 スマートフォンを見ても休まらない。 そんな方には、児童書コーナーの棚に並ぶ『たくさんのふしぎ』をおすすめします。 子どものために作られた本ですが、その静かな好奇心は、忙しい大人の心にもよく効きます。 世界の音量を少しだけ下げたい日に。 まずは薄い一冊を開いてみてください。 そこには、思っている以上に広くて静かな世界が待っています。
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最終更新日
2026.06.12 07:00:08
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