2004/12/21(火)07:00
無題。
『堕胎』
この2文字を読んで、何を示すのか気付く人は少ないだろう…と思います。
一般的に「人工中絶」と呼ばれるもの、と言えばお分かりでしょう。
今日は、私が殺した『我が子』について。
本当はもう少し先にこの話を書こうと思っていたのですが…。
ひっこりんさんのHPにて少し触った為、これを機会に書きたいと思います。
どうでもいい話かもしれませんが、少しだけお付き合い下さい。
人工中絶。
この4文字に、まさか自分が関わるとは夢にも思っていませんでした。
愛し・愛された、彼。
『何があっても、子供と碧を守る』
私の両親の前でそう誓った彼。
今、考えれば…結婚前に子供ができるなんて事は、本当はあってはならない事。
ましてや、わざと狙って子供をつくる、なんて。
でも、当時は本気で。
結婚して、家庭を持ちたくて。
彼が言った「できちゃった結婚、狙おう」という台詞に、安易にのってしまった私。
子供ができて。
私の両親へと挨拶に来た、次の日。
彼のご両親へと、挨拶へ。
その時、彼の親さんから、言われた事。
『親戚への体裁が悪い。堕ろしてくれ』
『あなたが自分の子供だったら言えないが、あんたはヨソの子だから言わせてもらう』
『一体、どういうつもり?』
他にも何か言われていたような気がしますが、もうはっきりと思い出せません。
彼の家は。
特別大きい訳ではなかったのですが…彼の祖父母がかなりの資産家だったようで。
彼の家が主催で茶道の会合を開いたり。
何かあると、一族全員が集まるような、そんな家系。
『その子供を堕ろしてくれれば、結婚はしてもいいから』
そう、言われました。
逆に…。
彼に対して、彼のご両親が言った事。
『子供、産むのなら…縁切らせてもらう。大学へ行った費用も、全額払え』
『会社も当然クビ』(彼は祖父の経営する会社で働いていた)
その瞬間だった、と思いますが。
彼の態度が、おかしくなって。
言われっぱなしで泣き続けていた私。
「結論はそちらで出しなさい」
と言われ、彼と2人きりに。
泣き続ける私に、彼が言った事。
『堕ろしてくれ』
開口一番、でした。
その時、彼が言っていた事は…もうあまり覚えていません。
子供を堕ろす理由として。
・絶縁されると、親の死に目にも会えない。
・職を失っては、生活していけない。
・今、新しい仕事が見付かると思ってるのか!?
とか、言っていたような気はしますが…。
死に目にも会えない。
それまで、アナタは何もしないつもりなの?
ご両親に、理解を求めるつもりはないの?
職を失う。
縁故で試験も就職難も経験した事ないから、転職したくないんじゃないの?
仕事がない?
職安に一度も行った事がないくせに、何を言ってるの?
私は職安で今の仕事を見つけたのよ?
「職安で呼ばれるまで、バカみたいに順番待ちすればいいのか?」
何をそんな小バカにしているんですか。
ただ単に、楽な職場から転職したくないダケなのでしょう?
それならそうと言えばいいじゃない。
子供を守る。
その気持ちは、ウソだったの…?
子供を堕ろす理由を、延々言い続ける彼。
『もう、いいよ…』
涙が止まりませんでした。
もちろん。
彼だけを、責めている訳ではなく。
子供を堕ろすと決めたのは私自身で。
私一人でも、産むことはできたのに、殺したのは…私。
きっと、あの子は母である私を恨んでいるでしょう。
どうして殺したの?
そう、言われているような気がして。
きちんと神社で供養をして頂き。
現在は、お寺さんで眠っているあの子。
検診の超音波に写った、小さなあの子。
丸くて。本当に小さい姿だったけれど。
確かに存在していた、新しい命。
守ってあげたかった。
守らなくてはいけなかった。
来年の3月20日。
あの子の、2度目の命日。