第2章・よくわからんけど勝負モード!【6】大統領の怨念爆発!さて、ここで一旦番組はCMへ。 CMの間、ウルトラス・シニア&ジュニアに対する女子アナの意見聴取が集計された。質問は「あなたは、現在のハンド可能ルールに賛成ですか? 反対ですか?」 反応は、世代によって顕著に分かれた。 ウルトラス・シニアは殆どが「ハンド反対派」、対するジュニア世代の殆どが「ハンド賛成派」、「どっちでも良い」が若干名という結果となった。 ここでCM終了。 司会のジョン・カビラが、険悪になりかかったスタジオを平穏な状態に戻すため、アンケートの結果を読み上げた。 「さて、CM中にウルトラスの皆さんから集めたアンケートの結果を発表しましょう!」 女子アナ「質問の内容は、現在の、手でボールを使えるルールに、賛成ですか、反対ですか、という内容に、ウルトラスの、元祖の世代の皆さんと、ジュニア世代の皆さんに、うかがいました」新人アナらしく、棒読みのたどたどしい説明。 カビラ「さて~~~~、結果は、どうなった、でしょう!」結果がスタジオ特設の大型ビジョンに円グラフで映し出された。 結果、なんと賛成、反対とも49%。意見は真っ二つに分かれた。 「なんでだよ! お前ら、何考えてんだよ!」あーあ、せっかく落ち着いたと思ったラモスじいさんがまた叫ぶ。 「いいじゃん! ルールはルールだろ!」「そーだ、そーだ」「バカヤロー、おれはお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」「うるせえ!クソ親父!」ウルトラス親子間での不協和音も始まった。もはや収拾不可能。 でも、そこを強引に進行するのがプロの司会者。 声のでかいジョン・カビラ、つなぎで意味のないコメントを叫びはじめた。 「あー、さてー、この番組中、ご登場いただいた、FIFAのマラドーナ会長、そしてパラグアイのチラベルト大統領、このお2人がなぜ日本語がこんなに上手いのか? それは、××テレビの誇る最新鋭の通訳システムにあるのです!!!」 弟の慈英も一緒に叫ぶ「そーーーーうなんです!!! つまり、お2人の発生とほぼ同時(0.01秒)に、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ハングル語、などなーど、つーーう訳できるんです!!!」 「うるさい!」叫んだチラベルト大統領、いきなりまくし立ててるジョン・カビラの腰の辺りを思い切り、ボレーシュートのフォームで蹴飛ばした。 カビラ兄、まるでオモチャのロボットのごとく、ポーンと宙に飛ばされ「マ~~~~ルカト~レ~!!」と叫びつつ、スタジオ脇に設置された、サッカーのゴールポストに転がり込んだ。 これを見た弟の慈英、少しも慌てず、「それでは、今の大統領のビューティフルゴール、レインボーゴールに編集しましたので、ご覧ください、レインボー!」 なんとも薄情な兄弟だ。 これには、兄弟の親友でもある都並、柱谷も血相を変えて立ち上がった。 そんなカビラ兄弟らを尻目に、チラベルト大統領が叫んだ。 「ヘイ、ヨシカツ!! ここで俺と勝負しろ!! あの、2010年の決着は、まだついていないぞ!!」 決着? 一国の大統領をして、これだけの凶行にいたらしめる「2010年の決着」とは、一体なんなのだろうか? 【外伝・弐】控え室では。 控え室では相変わらず2002年W杯で代表になっていた選手が撮影を覗いていた。 「うっわ、カビラさん飛びすぎ・・・」 「っていうかこんなの放送できんのか?」 浩二君と高原は恐る恐るスタジオを覗く。その顔は明らかに不安そうだ。 「・・・間違いなく傷害罪やろなぁ。この後どないすんのやろ?」 後ろから稲本も現場を覗く。興味津々だ。 「多分放送したらスポンサー並びにFIFAからの苦情が来るだろうね」 今度はNumberに目を落としながら俊輔が答える。 「ねぇ、なんで急にハンドなんてルールができたんだ?」 「あぁそれは・・・」 個人控え室から気だるそう出てきた鈴木の問いにまたも俊輔が答える。 「2008年のW杯直前にマラドーナが例の神の手を引っ張り出してきてね、いろいろと文句並べて無理やりルールにしたんだよ。あれには俺も呆れたね。」 「・・・あの当時の選手はもう神の手を知らない世代じゃねぇの?」 奥から中澤が出てきて問い掛ける。もうボンバーは影も形もない。 「そうだね。でもまだギリギリ知ってる世代じゃないの?あの当時あのルールがかなり問題になって映像もかなり流されたから・・・」 Numberを閉じて俊輔は眼鏡を外した。あの髪型からは卒業していい感じになったのは15年程前の話だ。 「そういえば松田はどうしたんだ?あいつも2002年は出てたろ?」 「松田さんは初孫が生まれるとかで遅れるそうです。」 森岡の問いにも俊輔が答える。物知りだなこの人。 「・・・初孫か・・・」 遠い目をして森岡が言った。まだスタジオの騒乱は収まりそうに無い。 【外伝・参】控え室はこんな感じ。 「・・・レインボーってまだ健在だったんだ」 「じゃあ、すけさんも健在なのか??」 相変わらずのボケっぷりの浩二君&高原。 以外に見てたのねニュー○ステーション(笑) 「遅くなりました~」 とそこに登場本やんこと本山。この人老けないなぁ。 「お、本やん。久しぶり!元気だったか??」 「今何やってるんだっけ?」 「鹿島の監督やってるんだ」 元アントラーズの鈴木、浩二君は本山との再会を祝い昔話に花を咲かす。 「・・・以外に薄情やったなぁ、川平弟・・・」 遠い目をしてボソリと呟く稲本。そこにモニターから騒がしい風景が流れきた。 なんと川口とチラベルトがなにやら仕出かそうとしているのだ。 「・・・なぁ俊輔、2010年ってあいつら何やったんだ??」 「なんだ明神さん見てなかったんですか?あの2人のとんでもない闘い。」 俊輔は驚いたような目を明神に向けた。なんで彼はW杯を見てないのかも気になるがとりあえずそれは置いておこう(笑) 「2010年のW杯のときにパラグアイと日本でPK合戦になったんです。そのときに川口とチラベルトが蹴りあいをしましてねぇ、あまりに白熱して2人だけで蹴りあったんで結局PKは最初からやり直しになったんです。それをチラベルトが根に持って再戦を待ちわびてたんです。・・・やばい、危ないですよこの局。」 「なんで??」 明神が不思議そうに俊輔に尋ねる。興味を引かれたようだ。 「あいつら全力でわき目も振らずに戦いますからね。しかも2人とも頭にすぐ血が昇るタイプでしょう?スタジオ壊れますよ」 俊輔は早々に非常口を確認し始める。そうとうな戦いになるようだ。 このままスタジオが壊れて収録は終了なのか! ウルトラス達の宴遂にピンチ!! 【7】モロッコの敵を日本で 2010年、アフリカ初のワールドカップがモロッコで開かれた。 日本、パラグアイ共に、決勝トーナメント進出を果たし、1回戦で激突した。 3回の「神の手」、3人の交代を両チーム使い切り、PKまでもつれこんだ。 チラベルトは、パラグアイのプレーイングマネージャーとして、この大会を花道にグローブを脱ぐ決意だった。 PK戦も、3ー3で、5本目。 先攻の日本は、01年に現れたビッグマウス、田原豊が決め、4ー3。 パラグアイのキッカーは、何と、チラベルト。 大観衆が固唾を飲んで見守る中で、チラベルトの蹴ったボールは、バーに当たり、ぽとりと落ちた。 スキンヘッドのコッリーナ主審は、ノーゴールと判定した。 しかし、このゴールラインすれすれのボールは、良く見ると、ゴールに 入っているようだった。 パラグアイ側の猛抗議は却下された。 「ヘイ、ヨシカツ!! ここで俺と勝負しろ!! あの、2010年の決着は、まだついていないぞ!!」 スーツからGK用のユニフォームに着替えた、パラグアイ大統領は、この時のために日本を訪問したのだ。 チラベルトのキックで、兄ジョンが救急車で搬送され、一人で司会進行をする慈英は、 「さあーーーー、面白くなってきましたーーーーーー!!モロッコの敵をまさに、まさに、この日本で討つんです。いいんでしょうかーーーーーー!」 と、相変わらずのハイテンション。 「この時のために、ある人に来て頂きました。そうーーーーーです。あの試合でレフリーを努めたコッッッッリーーーーーーーナさんです!!!」 相変わらずのスキンヘッドのコッリーナは、レフリーのユニフォームで、スタジオにやって来た。それと同時にスモークと共にゴールネットが現れた。 「さあ、2010年のリベンジマッチ。PK3本勝負です!!」 目次へ 次のページへ 前のページへ ジャンル別一覧
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