112542 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

『頭ぐしゃぐしゃ』の彼方に・・・

『頭ぐしゃぐしゃ』の彼方に・・・

第3章・いざ勝負!の前にちょっとムフフ

【8】カビラと女子アナ、それぞれのムフフな目論み
一方、担架で運ばれていくジョン・カビラ。彼の横には、アシスタント役の女子アナが、目に涙を浮かべつつピッタリとついて行った。
「大丈夫ですかぁ~、カビラさぁ~ん、ううッ」廊下に出た瞬間、女子アナは、嗚咽しながらカビラの顔に自分の顔を寄せた。
(うッ、か、カワイイ…)担架の上のカビラは、思わず胸をときめかせたが、ここで顔色を変える訳にはいかない。

「大丈夫ですか? このまま救急車呼ぼうと思うんですけど。あ、それよかオレの車で病院に送りますよ」とAD。
「ま、待ってくれ。私は、この番組のメイン司会者としての責任をとらなければ…、ちょっと、吉田クン(女子アナの本名)と2人きりにしてくれないか、このあとの打ち合わせをしたいんだ」
控え室に入ったカビラ、なぜか何事もなかったかのように担架を下りた。
「じゃ、ちょっと車回してきます」部屋を出て行こうとするADに、
「いや、も、もう大丈夫だから、皆、どうもありがとう」と心なしか弱々しく微笑むカビラ。AD、心配そうに、
「わかりました。でも具合悪くなったら、すぐ声かけて下さい。携帯の電源入れたままにしときますから」「ああ、ありがとう」

カビラが意外にも平然と振舞っているので、新人の吉田アナ(内田アナ似)は、
(ああ、この人、結構私のために無理してくれてる、さすがプロだわ…)
と、感動しつつも、丁度、翌年度からの番組編成や人事などを意識し、(ここで××テレビで抜群のイニシアティブを持ってるカビラさんに媚を売っとけば、来年から私も、もっと活躍のチャンスがあるかも!!)という、したたかな「皮算用」をしていたのだ。
「大丈夫ですか、カビラさん、本当に?」
「ああ、だ、大丈夫だ、時間が経ったら大分楽になったよ」
「でも、大変なんですねえ、キャスターのお仕事って。私、尊敬しちゃいます♪」
「いや~、そんなこといわれると、照れちゃうな~」とカビラ、なんだかすっかりいつものクリス・ペプラー風のしゃべり方に戻ってしまった。
「これも皆、吉田クンが、僕を元気づけてくれたおかげだよ、ホント、ありがとう♪」(ムフフ、この俺の甘~いささやきで、吉田のハート、ゲ~ット!!)と、心の中で叫ぶジョン・カビラ。
だが、そんなオヤジ光線は、たちまち吉田アナに見破られてしまうのだった。


【9】ムフフな目論み、海の藻屑と消える!
(やばッ、なんかこのオヤジ、殺気を感じる…、それに、もしかしたら本当は元気なんじゃないの??)まさか…、でもこの殺気はなんだろう。

そこで、吉田アナ、わざと切り口上的に、
「じゃあ、さっきの話にありましたけど、打ち合わせをしましょう」
「ああ、あれね…、この状態じゃあ、今日は、仕事はもう無理だ」
「あらっ、さっき、もう大丈夫だっておっしゃったじゃないですか」
「いや、冷静に考えてごらん、このまま僕が出て行ったら、チラベルト大統領に恥をかかせることになるだろう。私はこのまま、会場を去ったほうが、お互いに良いんだ。そんなことより、これから、どう? 2人で…」
(やっぱり、このスケベオヤジ!! 私やっぱりこの人についていくのやめよう、さんまさんにしよう)→どういう発想だ???

吉田アナ、きっぱりと「じゃあ、もう大丈夫ですね! 私、スタジオに戻りますから」と、小走りに控え室を出ようとする。その手をつかもうとして、
「ま、待って、吉田クン!」よろめいたジョン・カビラ、つまづきそうになって、目の前の壁に身体をぶつける。すると、
ドサドサドサッ!! なんと、3冊の「サッカーマガジン」が、カビラの脇腹から落ちた。なんとカビラは、誰かから蹴飛ばされることを事前に読んでいて、最初から腹部を雑誌でガードしていたのだ。
「いや~、これにはわけが…」
「もーう、最っ低!!! じゃあ仕事にもどりまーーす」逃げるように走ってスタジオに戻っていく吉田アナ。

残されたジョン・カビラ。
「チェッ、また失敗しちまったぜ、俺の甘~いささやきも、そろそろ年貢の納め時かな。まっ、しょうがない、今日はこのまま帰ろう」
おいおい、お前はこの作戦で何人の女子アナを×××したんだ??

…とまあ、楽屋裏でちょっとしたドラマが展開されていた、ちょうどそのころ、スタジオではいよいよ熱いPKバトルが、いよいよ始まろうとしていた。

【補足】
ジョン・カビラは、先輩アナウンサーの徳光和夫さんを尊敬していて、昔「噂のチャンネル」でデストロイヤーに関節技や絞め技を決められ、笑いながら絶叫するシーンにいたく感動し、自分も「ああいう司会者になろう!」と心に決め、「ジャパン・アクションクラブ」や「パンクラス」へ足繁く通って受け身を習ったり、筋力トレーニングなども欠かさず続けていた(実態は不明だが)。
自ら「アグレッシブ・スポーツキャスター」を自負する男だったのである。
ゆえに、前出のチラベルトのキックのようなシーンは「大歓迎」で、わざと大げさに宙を舞い、ゴールネットへと飛び込んで行ったというワケです。
※本物のカビラさん、ストーリー上「イロモノ」扱いし、いたぶったりスケベ親父呼ばわりしたことをお詫びします。ごめんなさい。


【外伝・四】柳沢は見た!!
カビラ氏が楽屋裏でちょっとした策略をめぐらしている所をADが閉め忘れていった扉の隙間から柳沢が覗いていた!!
『うわ~カビラさん年甲斐も無いことするなぁ』(ヤナさん心の声)
そしてその足で柳沢は団体控え室(俊輔とかがいる所)へ向かった。
ガチャリ
団体控え室の扉を開けると中ではスタジオを気にする元チームメイトが待機していた。
「ヤナさん久しぶり!」
声を掛けてきたのは本山だった。
「本やん!元気だったか?今鹿島の監督をやってるんだってな」
やはりアントラーズの選手と会うと昔話に花が咲く。
「そういやさっき楽屋裏にカビラさんがいたけど何したんだ?」
「さぁ、俺が来た時にはもういなかったからなぁ・・・」
そこでやっぱり物知り俊輔が説明する。
「さっき彼はチラベルト大統領に思いさま蹴られて担架で運ばれて行ったんだ。肋骨の1本や2本は折れてんじゃないの?」
「え??さっき俺が見たときはあの女子アナ口説いてたぜ。しかもわき腹から3冊ぐらいサッカーマガジンが入ってたし」
サッカーマガジンという言葉を聞いて俊輔は目を細めた。
「どうりでバックナンバーが3冊抜けてたわけだ・・・。それにしてもあの人は蹴られるのを覚悟で司会業をやってるのか??」
「・・・川平弟は共犯やろか?だとしたらさっきのレインボーも説明つくわな」
推理合戦(いつの間に?)に稲本も口をはさむ。
「じゃあ慈英のハラんなかにもサッカーマガジンが?」
森岡も推理合戦に参戦する。
「いや、バックナンバーは3冊しか抜けてなかった。彼のハラの中にあるのは・・・」
俊輔の視線の先にはNumberがあった。
「あれだろうな・・・。」
「このままだと弟も蹴られるってことだな。」
明神がスタジオを見つつ呟いた。
どうなる川平慈英!このまま大統領に蹴られる運命なのか!!   


【10】決戦直前
ジョンが女子アナを口説いている事をよそに、スタジオではPK戦の準備が進められていた。
「高原、俊輔、勝負だ!!」
チラベルトは、日本のキッカー2名を指名した。2010年、あの運命の対決のキッカーだ。
「そして、最後は、ヨシカツ、お前が蹴るんだ!!」
チラベルトの怒りは疑惑のPKだけじゃなかった。
実は4本目からの川口とチラベルトの蹴りあいがこじれ、収拾が付かなかったため、コッリーナによってやり直しにされた。そして、疑惑が起った。
ごま塩の坊主頭の高原、髪型を15年前に変えた俊輔の2人が他の02年戦士の待つ団体控え室からスタジオにやってきた。
「さあーーーー、1対3のPK合戦です。チラベルト、モロッコの屈辱を晴らすのか、どーーーーなるんでしょうーーーかーーーーーー!!」
慈英のハイテンションな司会ぶり。
「チラベルトーーーー、往生際が悪いぞーーーー!!」
と、ブーイングを飛ばすウルトラス。このとき、初めてシニアとJr.に結束が生まれた。
日本にもファンクラブが結成されるほどの人気を誇る南米のカリスマは2010年以来、再び日本中を敵にまわした。


【外伝・五】出番が来た!!
「高原さーん、俊輔さーん、出番でーす!」
スタッフから、チラベルトに指名されPK対決に出る2人が呼び出された。
「え?俺なの?何で?」
高原は、状況が飲み込めていない様子。
ナンバーに目を落としていた俊輔はというと、
「はいはい、俺が狩り出される訳ね。」
と、いたって冷静。
控え室内には、重苦しい空気が流れていた。
そこに、これまでの経緯なんて全く知らない松田が笑顔でやってきた。
「いやいや、やっと、初孫がうまれたよ。」
みんな、松田に白い目を向ける。


【外伝・六】緊迫感漂う場所 
何も知らずに入ってきた松田は森岡より事情を聞かされる。
「・・・という事で俊輔、高原、川口の三人が大統領と再戦するんだってさ」
「へぇ・・・まだ根に持ってたんだなチラベルト大統領」
松田は両手を祈るように組んで考え出した。
「どうしたんだ松田?」
「いや、俊はほら状況が飲み込めてるからそれなりに相手が出来るだろ?高原もさほど分かってるだろうからいいんだが川口がなぁ・・・」
森岡はさっき俊輔が言っていた事を思い出した。
『確か俊は川口とチラベルトは頭に血が昇りやすいから見境なく戦うって言ってたなぁ・・・』(森岡心の声)
「なぁ、森岡非常口が何処にあるか知ってるか??」
「あぁそれならさっき俊が捜して明神に全て伝えてたから明神に聞いてみたら?」
「わかった、ありがとな」
松田は森岡に礼を言い明神の傍へと歩み寄った。
「あ、松田さんお孫さんが生まれたんですって?おめでとうございます。」
「ありがとう。急で悪いんだが非常口の場所と非難経路紙に書き起こしてもらえないか?」
「いいですけど、そんなに今危ない状態なんですか?」
「・・・あぁ、かなりな。本当は川口もずっと心残りだったんだろう。試合終了後はなかなか寝付けなかったみたいだったし」
松田の目は真剣そのものだった。
「そんならそれスタジオの奴らにも伝えんとあかんやろ」
横から稲本が顔を出してきた。
「それは私に任せてください!!」
大声を張り上げてカビラ氏が入ってきた。
「私がスタジオに伝えましょう!!」
それだけ言い残してカビラ氏は控え室から消えていった。
「・・・さっき面子がどうこうって言ってたんはなんだったんだ?」
柳沢はカビラ氏の背中を見つめて呟いた。
さぁ遂にカビラ氏復活!スタジオはどうなるんだ!!      

目次へ
次のページへ
前のページへ


© Rakuten Group, Inc.