不惑ワクワク日記

2009/07/18(土)16:53

やっぱり変な曲・・・センチュリー定期

演奏会(221)

怪作の快演。 大阪 ザ・シンフォニーホール センチュリー第143回定期演奏会 小泉和裕指揮 大阪センチュリー交響楽団 ヴィオラ独奏 清水直子 ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調作品60 ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」作品16 実のところ、不惑わくわくなのは後半の「ハロルド」。この曲、一般的にはどの程度の評価・知名度なのかは分からないが、少なくともぐすたふくん、この歳になるまで聴いたことがない。ただ、今をさること30年前(!!!!!)、ニューヨークフィルを辞めたバーンスタインが、ヨーロッパに活動を移してドイツ・グラモフォンに最初に録音したのがこの曲だったはず。その記事を高校の図書館の「レコ芸」で読んで以来、どんな曲なんやろと気にはしていたが、ついぞその機会を逸して今日に至るわけでありまする。だって、ベルリオーズは幻想さえあれば十分、この曲、わざわざ聴こうなんて思わない、ですよねえ、そうですよねえ?(それでもおまえはクラシック聴きか、と怒られるかもしれませんが(^^;)) でもまあ、聴き終わってやっぱり思うのは、変な曲、ですよねえ。だって、せっかくわざわざベルリンフィル首席の清水さんを呼んできて弾いてもらっている、というのに、最後の4楽章なんて、ほとんど清水さん、何も弾かずに立ちんぼですよ?その間、ずーっとバックの大編成オケと指揮者が燃えに燃えまくる大熱演を繰り広げているという、なんとも異様な光景。そして、やっとソロがひとくさりやったかやらないかのところで、舞台左手の扉がわずかに開いて、異様な音が・・・・よーーっくみると、隠されていたトリオだかカルテットだかがちなんか、それまでの音楽とまったく関係ないことやってる・・・・と思ったら、この室内楽もソロもホッ散らかしてオケはコーダに突入、指揮者の大見栄で演奏は終了、ブラボー拍手喝采、汗だくの指揮者に涼しい顔のソリストが握手をしに歩み寄る・・・・おいおい、なんやそれ?てな光景であります。変な曲だなあ。 でもまあ、演奏は極めて「秀逸」なもので、小泉さんの自信漲る、というに相応しいもの。特に1楽章のダイナミズムの魅力は、ちょっと斜めに構えていたとしても思わず身を起こしてしまうような迫力と音圧。胸躍らすに充分なものです。清水さんは、想像以上に小柄でキュートで、ステップを踏みながらヴィオラを鳴らす様が、とっても可愛い。その音は、「深緑」というに相応しい深い木質の匂いを放ち、まるで熟成の進んだスコッチのよう。そのたおやかな音とオケとの対比も面白い聴きもの。 2楽章と3楽章は、間奏曲のような感じで、さらっと流れていくのだけれど、ともすれば小泉さん、こういうところが食い足りなく思ってしまうのだが、そこら辺をうまく聴かせたのは、ひとえにこの曲が小泉さんのレパートリー中のレパートリーである所以なんだろうなあ、と思いました。 久しぶりの川崎君率いるセンチュリーも、小泉イズムを隅々まで行きわたらせた引き締まった音で応え、立派。ただ、これについては、あーあ、小泉オケになっちまいやがって、みたいに思うところもあって、僕自身としてはいろいろと複雑なのではありますが。 これに比べてしまうと、前半の4番は、小泉イズムとの相性の悪さが表に出たような、いかにも「普通」の演奏。小泉さん、ベト響の偶数番は、やっぱり合わない、と思うなあ。2楽章など、そこに決して濃厚ではないロマンティシズムの香りがそこはかとなく漂ってこないと面白くないのだが、そういうところがあまりに無頓着。また、両端楽章をダイナミズムだけで乗り切ろうとすると、この曲の、なんていうんだろう、ハイドンの残り香のような、貴族趣味的な匂いが吹き飛んでしまって、ちょいと味わいに欠けてしまうような気がする・・・なんて、えらそうなこと書いてますが(笑)。 今のセンチュリー、やっぱり劇的表現に傾いているようで、その意味でベルリオーズが良く似合う・・・それはそれで良いけれど・・・・このことをどう思うか、これからさて、どうしていくのだろうか・・・ああ、またこんな話になっちゃった。 でも、帰り際、お隣の会員さんが「面白かったですねえ」と声をかけてくださったのには大きくうなずいて、それなりに満足の家路についたぐすたふくんなのではありまする。

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