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ミシガン・ロール症候群

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January 13, 2014
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カテゴリ:カテゴリ未分類
翌日部室に入ると、外の晴れ渡る秋空とは裏腹などんよりした空気が部屋の中を充満していた。
そのどんよりした空気の源を辿るまでもない。
原因は彼女で、どうやら芝居に出る事は諦めはしたものの開き直れていないご様子
ならばここは彼氏である俺が元気付けるのは当然の義務であろうと優しく笑いながら彼女に近づこうとしたら
「・・・八つ当たりってご存知ですか?」
どんよりとした空気がしだいに密度を増し鋭利になる
「人として八つ当たりって最低ですよね・・・でもその引き金を引こうとするもっと最低な人がいるのなら、それも致し方無いとは思いませんか?」
今ひとつ自覚は無いが、ひょっとしてもっと最低な人って俺の事なのかな・・・
「ですから、その薄笑いの下に見え隠れしている下らない冗談は言わないでくださいね!」
いや、優しげな笑みを薄笑いと切り捨て、心のこもった励ましを下らない冗談と断言する時点でもはや八つ当たりなのでは・・・
と切り替えしたい所だが、それを言うと彼女の斜め前でレポートに筆を走らせているとりちゃんや、彼女の横にいるのに微塵もどんよりさを受け付けずニコニコしているオキデン達が一斉に「それは日頃の行いのせいでしょう!」の輪唱を始める事は目に見えているので黙っていると
ギィーっと部室のドアが開く音が聞こえた
援軍か?と入り口をみるとボーちゃんが立っていた
「ボーちゃん」
彼女がドアの前に立ったままのボーちゃんに寄る
「どうしたの?とにかく中に入って」
「・・・あ・・・はい」
おずおずと部屋の中に入るボーちゃん
「オキデン、ボーちゃんよ」
そう言えば、あの時オキデンいなかったっけ
「あなたが紀美の暴走に翻弄されたぼーちゃんね。紀美からきいたわ」
しれっと有りのままの事実を端的に表すオキデン
「オキデン!」
「で、改めて入部する気になった?」
「ちょっと、オキデン!坂口さんじゃあるまいし、なにすっ呆けた事言ってるのよ!」
確かに経緯を考えればすっ呆けてるけど、坂口さんじゃあるまいしは余計じゃない?
「え?だって部室に来たって事はそうかなって」
「なんでそんな坂口さんのような、前のめり過ぎてデングリ返りしそうな前進思考が出来るのよ?」
なんで君こそいちいち俺を引き合いに出さなきゃ話が出来ないのかな?
そんなに俺の事が頭から離れないの?
「ごめんねボーちゃん。それでどうしたの?」
せっかくのでんぐり返ししそうな前進思考をまったく無視して会話は続く
「・・・・あの・・・」
「何?」
「・・・入部しようかと・・・」
「・・・・・え?誰が?」
誰がってボーちゃんに決まってるが、彼女のそのキョトンとした顔がまた可愛くてついツッコむのを忘れて見とれていると
「・・・ダメでしょうか」
「とんでもない。大歓迎よ!」
今だ固まったままの彼女を素通りしてオキデンがボーちゃんの手を握り
「じゃあ早速みんなを紹介するね」
「ちょ、ちょっと待って」
ようやくフリーズから回復した彼女
「あら?何か問題?」
「もちろんわたしだって歓迎するわよ・・・でも、無理だって・・・」
彼女がチラリと俺を見る。
分かってる。彼女がその言葉だけを信じている訳じゃあない。
でも、もしかしたらボーちゃんが自分に気を使って無理して入部すると言ってるんじゃあ・・・
なんて心配してるんだろう
俺は彼女のご希望通りのすっ呆けた顔で答える
「ああ、確かにそう言ってたな・・・でもそれは昨日の話だろ?な、ボーちゃん」
ボーちゃんを見てニカっと笑うとボーちゃんは
「・・・はい・・・今は・・・出来るようなような気がします」
「ボーちゃん!」
彼女がボーちゃんの手を握り改めて歓迎していると
「今度はどんな手品を使ったんです?」
俺の横にオキデンが来てニコニコして聞いてきた
「手品って、人をペテン師扱いしないでもらえるかな?」
俺は何もしていない。ボーちゃんが頑張っただけだ
「俺がした事と言えば、犬をフモフモしたした事ぐらいさ」
そう言えばまだ犬の名前を聞いていなかった
「ねえ、ボーちゃん。あの犬の名前なんて言うの?」
彼女にキツく握られた手をブンブンふられ歓迎されていたボーちゃんは、ゆっくり俺に顔を向け
「・・・・・・・ボーちゃん・・・・・・・」
「いや、犬の名前」
「・・・・・・・ですから・・・・ボーちゃんです・・・・」
「・・・・・はい?」
それを聞いて振られていた手がピタリと止まる
「・・・え?でも、あなたボーちゃんって・・・」
そう言えば彼女が名前を聞く前に犬の話をしていたような・・・
「・・・もしかしてボーちゃんって犬の名前?」
シーン・・・・とした空気が立ち込める部室。それが我慢できずに笑ってしまう
「坂口さん!」
彼女が慌てて俺を咎める
「まあ、いいんじゃないか?あれだけ連呼しといて、もう今更って感じだろ」
「そんな事言っても・・・」
「それとも、えっと・・・大林さんだっけ・・・って呼んだ方がいい?」
当の本人に尋ねると
「・・・あの・・・今まで愛称で呼ばれた事がないので・・・ちょっと嬉しかったです・・・」
「なら構わないだろ?」
彼女にそう言った後、視線を変え言った
「改めてよろしくな・・・ボーちゃん」






Last updated  January 13, 2014 08:40:14 PM
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January 10, 2014
カテゴリ:カテゴリ未分類
「本当にゴメンなさい。嫌な思いをさせちゃったかもしれないけど、せっかくこうして話が出来たんだから暇な時があったらいつでも部室に遊びに来てね」
門の外まで出てきてくれたボーちゃんに彼女は再び頭を下げるが、ボーちゃんはそれに応えずジーっと何かを見ている
「・・・ボーちゃん?」
ボーちゃんの視線をたどると、そこには俺のバイク
バイク乗りなら分かってくれるだろうが、自分のバイクを他人が見ていると妙に嬉しくなる
「ん?バイクに興味あるの?」
人目をはばからずニヤニヤしたいのを我慢しながら世間話のように聞くと
「あ・・・あまり近くで見た事が無かったのですが・・・走っているのを見ると気持ち良さそうだなと・・・」
「じゃあ乗っ・・・」
「あら、案外そうでもないのよ」
鼻の穴を膨らませながらボーちゃんに「乗ってみる?」と言おうとするのを彼女が遮り
「髪の毛はクシャクシャになるし排気ガスは吸い放題だし、それにこけたら危ないでしょう?」
ほ・・・ほう・・・そう思ってたの・・・
「でもね・・・一番危ないのはバイクじゃなくて「振り落とされないようにしっかりしがみ付いて!」って鼻の下を伸ばす不心得者だけけどね!」
ほ・・・ほう・・・そう思っていたの・・・
「という訳で、帰りは電車で帰るから私はここで失礼します」
プイッっと横を向き歩いていこうとする彼女
「ちょ、ちょっと!」
何?この急展開。俺が慌てて彼女を止めようとすると
「なんてウソです。今日はお母さんと駅で待ち合わせしてるので電車で帰ります。ビックリしました?」
ビックリするどころかオロオロいちゃったよ!
「・・・あの・・・でしたら駅まで送ります」
オロオロしている俺をよそにボーちゃんが見送りを申し出る
「え?でも悪いわ」
「いえ・・・わざわざ来ていただきましたから・・・行きましょう」
と、トボトボと歩き出すボーちゃん彼女もそれに続き、俺も慌ててバイクを押しながら後に付いて行った
考えてみればバイクを押して付いて行くぐらいなら俺が彼女を駅まで送って行けばいいのだが、せっかくボーちゃんが積極的に送ってくれると言うのに水を差す訳にも行くまい
しかし、何で帰り道ってのは言葉数が少なくなるのかね。
別にそれで間が持たないって感じでもなく、何となく暖かいような気がして、ただトボトボと、日が暮くれ、街灯が灯りだした坂道を三人で歩いて行く
「ありがとうね」
駅に着着き、彼女がボーちゃんにお礼を言う
「・・・いえ・・・嬉しかったです・・・こう言うのってあんまりありませんでしたから」
嬉しかった・・・か
来た事なのか送ってくれた事なのか
彼女が手を振りながら改札をくぐりホームに消えた後、俺はまだ改札口を見ているボーちゃんに話しかけた
「ボーちゃん。、見送る方と見送られる方、どっちがいい?」
「え?・・・」
「俺は見送る方かな」
振り向いた背中に想いを抱く方が気が楽だ
「・・・どっちも・・・あまり経験がありませんから・・・」
「じゃあ、もう一度考えてみない?入部の件。別にスタッフでも構わないから」
「でも・・・」
「俺で良ければ毎日見送ってやるよ?」
少々キザなセリフだが、何とか気に障らない程度に言えたような気がする
それでもボーちゃんは黙ったまま俯き、しばらくして
「・・・無理です・・・」
とつぶやく
「わたし人に合わせるのが苦手で・・・いつもそんな気は無いのに怒らせたり邪魔になったり・・・」
「お?奇遇だな。俺もいつもそう言われる」
あら?くすりともしない。まあ分かってた事だけど
「ですから・・・無理です・・・」
「そうか・・・まあいいや。ほら」
あっさり話題を変え、ボーちゃんにヘルメットを渡す
「・・・え?」
「送るよ。言ったろ?俺は見送る方が好きなの。大丈夫、なるべく鼻の下も伸ばさないようにするから安心して」
全然安心出来ないセリフだなと我ながら思うがヘルメットは差し出したままだ
「バイク興味があるんだろ?」
差し出したヘルメットを恐る恐る受け取るボーちゃん
「俺の腰を掴んで身体を安定させて。別にくっつかなくてもいいから」
もちろん彼女には「俺の腰に手を回して身体ごと密着して」と言ってるが、これもケースバイケースって奴だ
何とかバイクにまたがったボーちゃんを乗せ、ゆっくりとクラッチを繋いで行く
乗りなれている者からしたらアクビが出るような速度だが、車と違って身体を剥き出して走るバイクは始めて乗った者にすれば体感的に速度は早く感じる
例外に漏れずボーちゃんもそうらしく、俺の腰を掴む手に力が入っている
まっすぐな道から山沿いの道に入るカーブに差し掛かりバイクを軽くバンク・・・しない!
バイクが傾かない?!カーブに突き刺さりそうになり慌ててブレーキを掛けバイクを止めた
後ろを見るとボーちゃんは目をギュッと閉じて身体を硬くしている
なるほど・・・バイクは車体を倒してカーブを曲がる乗り物
目を閉じているボーちゃんは怖さが増し、きっと傾むく方の逆に力を入れていたのだろう
「あのねボーちゃん」
俺の言葉にやっと目を開けるボーちゃんに冗談まじりに話す
「ボーちゃんのバランス感覚ってたいしたもんだと関心するんだけど、バイクって傾かないと曲がれないんだ。」
「・・・え?・・・すみません・・・」
訳も分からず謝るボーちゃん
「いやいや、先に言っとかなかった俺が悪いから。で、一つ頼みがあるんだ」
「・・・頼み・・・ですか?」
いや、心配しなくてもギュッと身体を密着させろって言うんじゃないから
「怖いかもしれないけどさ、目を開けて前を見て欲しいんだ。後は俺に合わせてくれればいいから」
「・・・合わせる?」
「バイクが傾きたいのを邪魔しちゃダメなんだ。だから前を見て、俺の背中に合わせて傾いて欲しいんだ。大丈夫。絶対転んだりしないから」
なるべく安心感を与えようと精一杯微笑んでみたが、ヘルメットを被ったままなので通じたかどうかは分からない。
まあ、そんなにスピードをだす訳じゃないから大丈夫か
「さあ、もう一回行ってみようか!」
不安を払う為の景気づけの言葉と共にバイクは動き始める
今度はちゃんと前を見てくれているようで、バイクは何の障害もなくカーブを曲がりボーちゃんの家の近くまで来た。
いったんスピードを落としウインカーを出しかけたが思い直し、後ろにいるボーちゃんに大声で言う
「ぼーちゃん!せっかく慣れてきたんだ。どうせだからもうちょいツーリングしてみようか!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ボーちゃんは何か言ってるようだが風切り音とエンジン音でよく聞こえない
「え!何だって!」
「・・・お願いします!」
OK今度はハッキリ聞こえた
スロットルをしぼり、さっきより少しだけ早いスピードで街を見下ろす住宅街をすり抜け、山道らしい曲がりくねった道に入る
ボーちゃんもすこし慣れてきたようで、右左に迫るカーブに対して自然にバイクの動きに身体を合わせて、初めは力が入っていた俺の腰を掴む手も力が抜けて行くのが分かる
俺はボーちゃんに見えるように左手でガードレール側を指差した
そこには夜も眠らぬ工業地帯の、オレンジや白色の灯りで埋め尽くされた夜景が広がっていた
まあ近所なんだからそれに近い物は毎日にように見てるんだろうけど、少しの間、風を受けながら漆黒の闇の中のバイクのライトで浮かび上がるアスファルトだけを見つめていたのだからつい見入ってしまうだろう
スピードを落としゆっくり走らせた後、適当な所でUターンしてバイクは無事ボーちゃんの家の前についた
「どう?怖くなかった?」
バイクから降りヘルメットを脱ごうと四苦八苦しているボーちゃんに聞くと
「・・・初めは・・・でも気持ち良かったです」
気のせいか、無表情に近いボーちゃんの表情が少し彩が添えられた気がする
「なあボーちゃん。さっき人に合わすのが苦手って言ってたけどさ、ちゃんと合わせる事が出来るじゃん」
「・・・え?」
なかなか外れないヘルメットのストラップをボーちゃんの代わりに外してやりながら話を続け出来なける
「バイク、ちゃんと走れたろ?ボーちゃんが合わせてくれなきゃ曲がる事もできないからさ・・・だから自信を持っていいと思うよ」
「・・・は・・・はい・・・」
別に入部してもらおうと思って言ってるんじゃない。そんな事は自分で決める事で、無理なら無理でかまわない。
ただ、さっきまで無理だった事が、怖くても目を開けて前を見つめれれば無理が無理じゃなくなる事もあって
そして、それが出来た人には、やっぱり言ってあげたいわけだ・・・「なんだ、出来るじゃん」って






Last updated  January 10, 2014 08:53:24 PM
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January 8, 2014
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しかし、世の中にお金持ちって言うのは本当にあるもんだな。
初めてリアルな心霊現象を体験した現実主義者のような感覚で玄関をくぐり絵画などが飾られた廊下を通り映画の中で見たような応接間の案内された。
黒檀のテーブル越しに座っているボーちゃんを彼女はいつになく真面目な顔で見つめ、思いを決したように言葉をつぐむ
「あのね・・・」
緊張の糸がピン!と一気に張り詰め、息をするのさえ躊躇してしまう。
そして彼女は
「・・・ごめん・・・ちょっとまってくれる?・・・今真面目な話をしようとしてるんですけど」
前半はボーちゃんに対して、後半は俺に向かってである
「え?何?固唾を飲み込みながら見守っているけど?」
「どこが固唾を飲み込みながらですか!今にもトロケそうな笑顔でワンちゃんとジャレるんなら他所でやってもらえます?」
フカフカの絨毯に座り込み、オオハシャギで犬をイジリ倒している俺を見下す彼女。
でも仕方無いだろう。おそるおそる屋敷に入った途端、無茶苦茶でかくてそのくせフカフカの白い毛をした犬にお出迎えされたら本来の目的などどうでも良くなるってもんだ。
しかしそんな事言ったら大変な事になるのは目に見えているから
「な、何を言ってるのかな?俺はこの犬が話の邪魔をしないように押さえつけてるだけだぞ」
どう見てもジッとしている犬を俺がせわしなくイジっているが物は言いようだ。
「まったくもう・・・」
あきらめた彼女は再び真剣な表情でボーちゃんに向かう
「あのねボーちゃん」
「ワン!」
「クッ!」
背筋が凍る程の視線で俺を睨む彼女だか別に俺が吼えた訳じゃない
チラリと犬に視線を移し諦め顔でボーちゃんの方に向き直る
「イカちゃんから聞いたんだけど、入部する為じゃなくてイカちゃんの伝言伝えに来たんだってね」
「え?・・・はい・・・」
「ごめんなさい」
「え?・・・あの・・・え?」
急に謝り出した彼女に戸惑うボーちゃん
そんなボーちゃんに構いもせず彼女は
「わたしの勘違いで無理な事させていまうとこだったね。みんなにはわたしから言っておくからもういいよ」
「え?・・・あの・・・」
ボーちゃんの戸惑いは加速する
「もう無理しなくていいからね。入部の話も気にしなくていいから」
そう言う彼女の言葉に
「あ・・・はい・・・」
と答え、彼女はそれを見て安堵の表情をもらす・・・でも・・・
俺はボーちゃんの事は良く知らない。当たり前だ、これで会うのは二回目だし表情に起伏のある娘ではない。
でも俺にはボーちゃんが少しガッカリしたように思えた
「ちょっといいかな?」
俺はボーちゃんに話しかける
「あのさ、どうしても無理じゃなけりゃやってみてもいいんだよ?」
せっかく安堵していた彼女が目を剥く
「何言ってるんです!わたしがどんな思いでここに来たと思ってるんですか!」
基本俺は彼女を最優先にする心優しき彼氏だが、彼女を見向きもせにボーちゃんに話しかける
「キッカケなんてさ、何でもいいと思うんだ。勘違いであろうが間違いであろうが」
かく言う俺だって高一の夏休みにクラブの練習の時間を間違えて2時間前に行っていまい、体育館の舞台の上で練習をしていた演劇部の友達がいたので暇つぶしに見ていたら、スタッフが足らないので手伝って欲しいと頼まれたのがキッカケで今こうしている
「ところで、対人恐怖症って聞いたけど本当?」
「さ、坂口さん!」
慌てて彼女は俺を止めるが、これも無視
こうやって一応会話は成立しているんだからそんなに深刻な程ではないだろうと踏んでいるが、本人のコンプレックスは聞いて見なきゃ分からん
「え・・・あの・・・人と話すが苦手なので・・・そうかもしれません」
そうかもしれません・・・か
「だったらやってみたら?一度大人数の前で話せる事が出来れば苦手じゃなくなるかもよ?」
もちろんそんな訳もないが、嘘も方便って奴だ。
その嘘でボーちゃんに新しい世界が開けるのなら、きっと神様も怒ることはないだろう
「坂口さん!」
ああ、そうか忘れてた、・・・人は神にはなれないんだ
「わたしがどんな気持ちでここに来たと思ってるんです。そりゃあわたしだって出てもらいたいですよ・・・でも無理な事を言ってはダメです・・・」
彼女の気持ちも分かるが、ここは触らぬ神に祟りなし
あえて彼女を見ずにボーちゃんに聞く
「無理なのかな?」
ぼーちゃんは少し戸惑った顔をした後、うつむき
「無理・・・かもしれません」
「そうか・・・悪かったね」
本人が無理と言うものを無理に誘う訳にもいくまい
俺は彼女に帰りを促した
    つづく






Last updated  January 8, 2014 10:21:30 PM
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January 6, 2014
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それから彼女を後ろに乗せ走る事一時間。バイクは町を見下ろす高台にある住宅地に着いた。
いや、言い直そう。海を見下ろす高台にある高級住宅街だ。
メモしてきた番地を頼りにボーちゃん宅に辿り着く
「え~と・・・ここだよな」
「ここ・・・ですよね・・・」
唖然とする俺たちの向こうには、車が同時に何台も通れるぐらいのガッシリとして洒落た門がそびえ立ち、その奥には歴史を感じさせる洋館がたたずんでいる。
「と、とにかくインターホン鳴らしてください」
「お、俺がぁ?」
風邪で休んだ好きな子の家に連絡プリントと給食の三色ゼリーを届ける小学生の気分である。
「なに意気地のない声してるんですか」
そう言われても由緒正しい貧乏人のコセガレの俺には、それこそ敷居が高い所の話じゃないぞ。
「そう言う君こそ鳴らせばいいだろ」
「私だって自慢じゃないですけど、成り上がりの小金持ちの小娘ですよ!家がセントラルヒーティングだって自慢したところで、リビングに本物の暖炉がある屋敷の前では成す術もないですよ」
それで唯一の暖房器具が600Wの電気ストーブの俺にどうしろと?
「もう!情けない事言わないでください!苗字だけをたよりに電話帳を片っ端からかけたガッツはどこに行ったんです!」
ガッツと無謀を一緒にしないでもらいたいが、そこまで言われれば仕方が無い。
俺は意を決しインターフォンに指を伸ばした。
ピンポ~ン
案外一般庶民的なインターフォンの音に気を殺がれながらも返事を待つ。
・・・5秒・・・10秒・・・15秒・・・返事がない。
「ふー どうやらいないようだね」
健康診断に異常が無い事を告げるイケン若手医師のような爽やかさで不在を告げる
「なに安堵感に満ち満ちた顔してるんですか」
と彼女は不満げにつぶやくが、小学校の頃、同級生の誕生日会の席にカップと共に備えられた一人一個のティーパックに心底驚嘆した俺にとっては致し方ない話だ。
「だってさ、もしインターフォンを押してロマンスグレーの執事が出てきて「どのようなご用件でしょう?」なんて聞かれたら「すみません間違えました」って即背を向けるしかないだろ」
「そんな事ありませんよ」
呆れた声で彼女は言うが、この門構えと言い奥にそびえる洋館といい、無いと言いきれるのか?
「そ、それは・・・」
「あの・・・羊はいませんが犬ならいます・・・」
「「ひいっ!」」
いつの間にかボーちゃんが後ろに立っていた。くうっ!一度ならず二度までも後ろを取られるとは!
しかも、見事な程のうつむき加減にツッコむ事もままならない空気。
何だか分からない口惜しさに身もだえしたくなる俺をよそに
「ボーちゃん!」
彼女がボーちゃんに駆け寄る。
「え?・・・あの・・・」
「覚えてない?演劇部の林よ」
と言う彼女をボーちゃんは数秒ボーっと眺めた後
「・・・あ・・・奇遇ですねこんな所で・・・」
奇遇って、こんな奇遇なんて20年前の少女マンガにだってないぞ。
そんなツッコミもせず彼女は
「ボーちゃん。この2,3日学校休んでるって」
「・・・は、はい・・・」
彼女は意を決したように
「それってもしかして・・・わたしのせい?」
「・・・え?・・・おじいさんが亡くなったのは先輩のせいなんですか?・・・」
なんと言うサスペンス展開。
街を見下ろす小高い丘に立つ古びた洋館の前に対峙する二人の女。
まあ昔から推理小説の犯人なんてものは「いかにも」って奴より薄幸の美女と相場がきまってる。
でも安心して。俺は君が罪を償うまで何年でも待つよ!
「誰が幸薄そうなんですか!人を殺人犯扱いしないでください!」
美女のくだりには言及しないんだ。
「ボーちゃん。もしかして学校休んだのってお葬式で?」
「・・・ええ、そうですけど・・・」
「そ、そうなの・・・」
彼女は安心したと言うより拍子抜けしたようにその場に立ち尽くしていると。
「あの・・・もしかしてわたしの事を心配して来てくれたんですか?」
「・・・ええ」
まあ、半分は罪悪感だが。
「 ・・・あの・・・よろしかったら・・・中にはいりませんか・・・」
中に!?・・・キタ!本格的洋館ミステリーが
「始まりません!」
彼女の小気味の良いツッコミを後におれと彼女はボーちゃんに連れられて家・・・いや屋敷の中に入った。






Last updated  January 6, 2014 11:21:35 PM
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January 5, 2014
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「だってあの子・・・対人恐怖症よ」
「え?うそ・・・だって人前に出るのは平気だって・・・」
確かにそうは言ってはいたが、どう見ても興奮してはしゃぐタイプには見えない。
しかし、それが嘘ならなんでそんな嘘をつく必要がある?入部しに来たならまだしも伝言しに来ただけなのに
「・・・なるほど、君の得意の圧力に、ついそう言っちゃだんだな」
「ダ・レ・ガ・イ・ツ・ア・ツ・リ・ョ・ク・ナ・ン・カ・カ・ケ・マ・シ・タ・カ・!」
今掛けてるよね?俺確実に圧力掛けられてるよね?
「とりあえず部員が入ったって事で由としましょう。坂口さんもいつまでもそんなオチャラけたカッコしてないで着替えてください」
確かにオチャラけたカッコをしてるのは俺だが、このカッコを教唆した首謀者に言われる筋合いはないが、とっとと着替えたい俺は黙って部室に向かった。
もちろん疑問は山積みだが、今そんな事をあれこれ考えるより本人が来た時に聞くのが手っ取り早い。
そう思ったが、翌日になっても当の本人であるボーちゃんは部室に姿を現さなかった。
まあ彼女以外期待していた訳ではないので「ああ、やっぱりね」ぐらいにしか思わなかったが,
学校にさえ来ていない事がイカちゃんから聞かされると状況は変わってくる。
「ボ、ボーちゃん風邪でもひいたのかな?」
と言う彼女の平然を装う言葉に「いや!もっとしっくり来る理由があるでしょ!」とみんなが心の中でツッコむが誰もそれを口に出して言わない。もちろん俺もだが。
そして翌日もボーちゃんは学校に顔を出さなかった。
みんな彼女に気を使い普通に振舞っているし、彼女も気にしている素振りを見せないがそれがまた痛々しい。
俺はみんなが部室から出ていった事を見定めて彼女に話しかける。
「やっぱり気になる?」
「え?何がですか?」
何がって決まってる。
「・・・わたし強引に入部させたんですかね?」
「気になるんなら本人に聞いたらいいじゃん」
事も無げに言う俺に彼女は
「聞こうにも学校にさえ来てないんですよ!」
「じゃあ家に行けばいいだろ」
「え?・・・」
俺は小道具が入っている棚をゴソゴソ探し奥の方にしまってあったヘルメットを取り出し
「あったあった。前使ってるの見た事あったんだ」
シールドに積もった埃を払い彼女渡した。
「入部届けに住所書いてあったろ?今から行ってみようぜ」

                          つづく 







Last updated  January 5, 2014 10:16:42 PM
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December 2, 2012
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今日は手伝っている劇団が大道具作り作りをしていると言うので俺も行って先週使ったケーブル類の整理と仕分けをしようと午後から出かけた
場所はとある私立高校の一角
車を駐車場に停め、稽古場まで歩いていると昼食中の運動部の面々が一人一人わざわざ立って挨拶してくる。
一人二人ぐらいは
「よう学生諸君!ガンバッとるかねガッハッハッハ」
と言う気分になるが、10人を超えたあたりで
「もういいから!立たなくていいから!ゴメンなさい、ホントゴメンなさい!」
って気分になってくる所に俺の人としての器の小ささを思い知らさせる。
なんでただ稽古場に行くだけなのに十字架を背負ってゴルゴダの丘まで歩くイエスの気分を味あわなければならないのか疑問に思いながら稽古場につくと、誰もいないどころか鍵までしまっている。
ム!飯でも食いに言ってるのか?それとも今日は無いのか?
とりあえずメールで今日の有無を確認した所
「あ゛?大道具作りぃ?今日はねぇんだよ!寝言は布団の中で言っとけ!」
と言う正確な情報と的確なアドバイスをいただいた。
仕方ないので帰ろうと思ったが、今来た所でまた学生諸君の食事を邪魔するのも申し訳ないので、なるべく人のいない所を通って駐車場まで行く事にした。
運動部の部室の横から食堂の前を抜け塀沿いの隙間をぬけて行く。
学校と言う閉鎖された場所の部外者がほとんど通ることの無い場所。
見上げると聳え立つ剥き出しのコンクリートの質感に行儀良くならんだ窓
いつもは学生たちで賑わっている分、人気が無いと余計寂しくて切なくなる景色。
なんだか高校の時を思い出した。
あの頃はそれが日常で、明日も明後日もずっとずっと同じ景色を見ていられると思っていたから取り立てて何も思わなかった景色。
それが時が経ち、始めて大切で忘れられない日であり景色である事を知る。
例えば小高い建物に挟ませて長方形に切り取られた青空。
雲ひとつ無く、澄んだ秋の大気のせいでよりいっそう色を深めてはいるが、ただそれだけの景色。
この前まで金木犀の匂いが漂っていたのに、今ではそれも落ち、そこまで近づいている冬を予感させる匂いがするものの、ただそれだけの景色。
それでも、同じ景色を見て同じ思いを共感出来る人がいてくれるだけで「一生忘れられない景色になるんだろうなあ」と思う。
今当たり前にある物もいつかはいつかは形を変える。
昨日一緒に見た景色もいつかは姿を変える。
それがどんな物になるのかは誰にも分からない。
でもね、大切な物は何一つ無くなってしまわないんだよ。
心の中からけっして消えない物の事を大切な物と言うのだから。






Last updated  December 2, 2012 04:57:00 PM
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December 1, 2012
カテゴリ:カテゴリ未分類
レザージャケットの襟元から忍び寄る風が寒さを増す初秋の宵。
街頭の明かりと時折雲間から覗く月明かりが照らす稽古場を見あけながら
俺は溜息混じりに呟いた。
「今日・・・稽古休みだっけか?」
現在時刻は午後6時55分
今日こそは通して稽古を高見ようと意気込んで来たものの人っ子一人いやしない
祝日だから稽古も休みか?それとも俺の知らないうちにワークスは光画部時間を採用したのか?
心の中に雨雲のように広がって行く不安と疑念
これがまだ若いZ橋君なら
「ま、まだ誰も来ていないんですが今日は休みですか?」
とハイジの腕の中でプルプル震える子ヤギのような声で誰かにみっともなく電話している所だが、
子供の頃から姉とカマボコの端をどっちが取るかで争い
結婚しては「あんた!料理の味が薄いからって黙って醤油掛けるのは失礼極まりないわよ!」
と切れられる修羅場を乗り越えてきた大人の俺にとっては然程の問題ではない
「まあ少し待ってみるか」
誰も聞いちゃいないのにワザと鼻に掛けた低い声で言ってみる所が大人の余裕って奴だ。
入り口前の段差に腰を掛けタバコを取り出そうとしてふと敷地の端に目が行った。
「・・・ブランコかぁ・・・」
街頭の灯りに照らし出された人気のない公園のブランコに座りタバコをくゆらすナイスミドル・・・
これじゃね?俺が求めていた大人のイメージってこれじゃね?
期待に胸膨らませながらイソイソとブランコに座る俺。
そして座った限りは揺らしてみたいのは人の常って奴だが
キーコ・・・ キーコ・・・
冷たい秋風と共にブランコがきしむ音
・・・なんだこの世界中の不幸を背負い込んだ様な切なさは・・・
考えてみれば小津安二郎の映画じゃあるまいし、夜中に一人中年のオッサンがブランコに揺られてたりしたら、どう考えても人生に行き詰まった情けない情景じゃないか・・・
ハハハハ・・・こんな所を人に見られたら・・・
シャリリリリリリリリー
不審げな顔で自転車が通り過ぎて行った
「ちょ、ちょっと待て!そこの自転車!
違う!違うよ!
俺別に人生行き詰まってないからね!」
と叫びそうになる自分を何とか抑える。
これが若いT山君あたりだと、ペーターが持っているムチの先っぽの様にフルフルと屈辱に身体を震わせながら情けなく言い訳している所だろうが、
「ピーマンちゃんと食べなきゃ大きくなれないぞ」と俺の分まで合法的に子供の皿にいれてしまう様な生き馬の目を抜く世界に身を置いていた大人の俺にとって大した事ではない。
大人として、どんな結果であろうと、まずはそれを受け入れよう。
そしてその後、そう対処するかで人生経験の差が出てくる物である。
俺はやおら立ち上がり、両足をブランコの板に載せ、膝で反動をつける。
「立ち漕ぎ」である。
しかももう50の声が聞こえ来ようかと言うオッサンの「立ち漕ぎ」である。
誰がどう見ようが、人生に疲れ果てたオッサンの図には見えまい!
始めは遠慮勝ちに漕いでいたものの、興にのって次第にブランコの揺れが大きくなると
ムッ!・・・これはなかなか爽快ではないか
さらに膝に力を入れてみると知らぬ間に笑顔がこぼれてきた。
「フフフフフ・・・ハハハハハハハハ・・・・アッハッハッハッハ!」
揺れの大きさと比例し笑い声が大きくなり、それがしだいに
「♪口笛はなぜ~遠くまでっ聞こえるの♪あの雲はなぜ~わた~しを待ってるの♪」
なんか新しい世界を垣間見た俺
「♪おし~えてっ♪ おじい・・・・・・」
突然の歌声のカットアウトと共に俺はブランコを降り、ふらりと滑り台の横に立った。
・・・酔った・・・
人生どこに落とし穴があるか分からないモノである。
まさか48にもなってブランコで立ち漕ぎして酔うなんて思いもしなかった。
滑り台の手すりに片手を掛けうつぶせ気味な体制で回復を待つ
あーあ何やってんだ俺。街頭の明かりに照らされた滑り台の横でこんなカッコしてたらまるで人生に失敗して絶望しかけのオッサンじゃないか。
もしもこんな所を人に見られたら・・・
シャリリリリリリリリー
自転車の音・・・今度は目が合った・・・
「とまレエエエエエエェェェェェェ!そこのじてんしゃアアアアアァァァァァァァァァァ!
なに哀れんだ目してんだ!
今劇団の中でかけ離れて歳食ってるって理由だけでみんなにチヤホヤしてくれると言う、人生においてのボーナスステージに立つ俺をそんな目で見るなああぁぁぁぁぁ!
確かにそれは小学生にシルバーシートで席を譲ってもらう老け顔の青年のように、何か大切な物を失ったような気もするが、そこは積極的にに痛くも無い腰痛をアピールしてあからさまに寝たフリしているサラリーマンからも席を譲ってもらう位の勇気もたまには必要なんだよ!
「死中に活を求める」
言うならばアグレッシブ・シルバーシーターである俺をそんな目で見るんじゃネねエェェェェェェェ!」
と吼えてみても今宵のような月の光をさえ切る雲のように俺の心は晴れなかった。
初秋の宵の公園は危険である。
昨今、公園の遊具が撤去されていく理由の一端を垣間見たような気がした。 






Last updated  December 1, 2012 10:29:10 PM
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June 27, 2012
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「お前らホントにウザいわ!」
実の父と二つ上の兄に向かって唾の掛かる勢いで罵倒しているのは今年短大生になった娘だ。
「人がせっかくビデオ見てるのに批判ばかりして、集中できないじゃん!」
娘の言わんとしている事も分からん訳ではないが、今ビデオを流しているのは「第5回喰わず嫌いもどうかと思うので、ちゃんと鑑賞してから批評しようぜ」と言う趣旨にのっとったビデオ上映会である。
ちなみに今回のテーマはジブリの「耳をすませば」だ。
「それにな、ついでに言うとこれは俺の私財で借りた物で、それをいつの間にか来て見ているお前に文句言われる筋合はないぞ?」
息子がふんぞり返って意見する。
「なによ!ジブリの何がダメなの!」
おっ論点すり替えやがった。しかしそれはそれで話が面白いので乗ってやろう。
「だってさー ジブリって言うか宮崎駿って「未来少年コナン」がピーク過じゃん。まあその次がラピュタぐらいで」
「ナウシカは?」
「なんかイイ子過ぎてツマンね」
「やっぱりさ、性格の破綻した奴が出てこなきゃ物たんねーよな」
うなずきあう俺と息子
「もういいの!性格の破綻してる奴は家族の中だけでもうお腹イッパイなの!」
そもそも自分もその家族の一員という事を棚に上げて何を言ってんだか。
「じゃあ何がいいんだ?このDVDの」
取り立ててドラマティックな展開があるわけじゃなし、何がいいのか分からん。
「見ててキュンって来ない?中学生のピュアさにさ」
「ピュア?何言ってる?若い時のピュアさなんて、年取れば大概がただの黒歴史だぞ」
心の中の銀縁メガネを人差し指でクイッと上げながら大人の意見を言う俺に
「汚れた大人の偏見は止めてくれない!」
と娘は喰いかかってくるが、そう言う態度が「火に油を注ぐ」と分かってない所がまだまだ子供だ。
「ほほう、偏見ですか・・・ちなみにお前は小学校5年生の作文で将来何になりたいって書いたか覚えているか?」
娘の要望通り、汚れた大人っぽくアゴのしたの剃り忘れの髭を抜きながら娘に尋ねる
「うっ、それは・・・」
「たしか忍者ってかいてあったよな。小学校五年生が忍者と来ましたか・・・・クククク・・・・・ピュアで結構な事だな」
ムスカすらお人好しに思える程の嫌らしさをタップリ娘に見せ付ける俺を娘は何も言えず奥歯を噛み締めながら睨んでいると
「ところでトトロは評価としてどうなんだ?」
と息子がたずねてくると
「そうよ!トトロがあったじゃん!アニキもトトロ好きだもんね!」
と待ってましたと同意を求める娘だが
「いや、聞いてみただけだ。俺としてはいつになったらトトロの敵が現れて静かな農村が火の海になるんだろ?ってスタッフロールが出るまで思ってた」
とニベも無い息子。
息子よ、そう言う溺れてる人に向かって藁を投げ込むようなマネは親としてどうかと思うぞ。
「何で?面白いじゃんトトロ!」
どうせならバーベル投げ込んでトドメ刺すぐらいの優しさも時には大切だぞ。
「トトロってさ、要約すると聞き分けの無いガキが人の言葉も聞かず迷子になりかけるのをトトロが助けてくれるって話だよな?」
「無意味な要約はやめてくれない?」
汚らわしい物でも見るように吐き捨てる娘をほっといて俺は話を続ける
「でだ。トトロって必要か?」
「は?」
「いや、別にトトロなんて架空の生物ださなくても近所に住んでるオジサン、仮に徳田さんにしとくけど、その徳田さんが心配してメイを探してくれても話に支障は無いわけだ」
「一般人がどうやってメイを探せるのよ!」
こうやって人を見かけで判断している所もまだまだ子供の証拠である
「おいおい、ああ見えて徳田さんも村の世話役を何年も引き受けてるんだ。見くびるんじゃないぞ」
「へー徳田さんって苦労人なんだな」
「だから誰よ、徳田さんって!」
娘の疑問を軽くするーして話を続ける
「母親に会いたいと家を出た幼女が行く所といえばバス停ぐらいしかない事など徳田さんにはお見通しなんだよ!それで徳田さんがいつも農作業で使ってる軽トラで迎えに行くんだ」
「なんか、それはそれで映像が頭に浮かぶな」
そうだろう。そうだろう。
だがな、それじゃあ終わらないよ?いつもは優しい徳田さんが今日は厳しい顔でメイをしかる。そりゃそうだ。みんな心配してたんだからな。
車をはしらせながら、もう二度と黙って家を出ない事をメイに約束させた徳田さんが急に車を止めて言うんだ。
「はて?どうやら道に迷ってしまったようじゃ。悪いがそこで、ここがどこか聞いてくれんか」
と・・・
「も、もしかしてそこは・・・」
息子がゴクリと息をのむ。
「そうだ。そこはお母さんが入院している病院だったんだ」
「・・・トトロいらねえんじゃね?・・・もういっそ「トトロ」じゃなくて「トクダ」という事で」
神妙な顔でつぶやく息子
「あーもう!」
なんだなんだ?人がせっかくハートウォーミングな話をしてるのに、何をそんなに声を荒立てる必要がある?
「父さんバ~カ!!勝手に徳田さんの話でもなんでもしてたらいいわ!」
テーブルをたたき娘が部屋を出て行こうとすると
「ちょっと待て妹!今のはダメだろ!」
いつになく真面目な顔で娘を責める息子。
めったに見せないそんな態度に動揺している娘だが
「な、何?何がダメなのよ!」
強がって入るが腰が引けた状態の娘に息子は教え諭すように言った。
「ここは「メイのバカ!もう知らない!」って出て行くべきだろ。オチを考えろオチを!」






Last updated  June 27, 2012 10:52:00 PM
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November 17, 2011
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息子よ、ちょっとそこに座りなさい。
父さんは君に厳しい事を言ったことはあまりありません。
君が10歳の頃、父さんが後で見ようと録画してた映画「クールランニング」の一番いい所に「クレヨンしんちゃん」を録画されていた時も奥歯を噛み締めて君を許しました。
君が高校受験の時も「勉強するしないは君の勝手だがな、母さんの前だけは勉強してるふりぐらいしてくれ。じゃないと父さんが文句言われて面倒くさいだろ」
と親身になってアドバイスしたものです。
しかし今日という今日は言わせてもらいます。
セパハンがあんまりかっこ良くない?それは父さんの青春に対して宣戦布告と見なしますが、それだけの覚悟は出来ているのですね。
セパハン・・・セパレートハンドル。
それはパイプ状のハンドルではなく、個々が別れてフロントフォークに付けるハンドル・・・
父さんの若い頃はレーサーレプリカ全盛の時代でした。フルカウルが公道で認可された時でしたから。
しかしながら父さんは貧乏だった。できればRGーガンマが欲しかった。しかし貧乏な父さんはKATANAの250を買いました。
いや、それはそれで素晴らしいバイクでした。
2st2気筒ゆえの低速での伸びといい燃費といい、銀色に輝く姿を見ると「ある意味しぶくね?」と満足したものです。
しかし問題はセパハンを付ける程スポーティなバイクでは無いことでした。
そして数年後、念願のガンマを買い早速バイクショップでセパハンを購入してつけた時は・・・ほらテレビで見るでしょ。分娩室の前でウロウロする夫が「オギャー」という産声を聞き、泣きながら生まれたての赤ん坊を抱く光景を。
たぶん我が子が生まれる瞬間はそんな感じなのでしょう。
え?とうさん?ええ、父さんもその場にいましたよ。
仕事から帰ってネクタイを緩める暇なく陣痛が始まった母さんを病院に連れていきました。
あれって陣痛が来てからすぐ生まれると思ってたら違うんですね。
10時間ですよ、10時間。
陣痛だからよかったものの、これがコンビニのレジ待ちなら暴動が起こってますよ。
しかもその間、ずっと背中さすってました。
生まれた時の感想?
「あ、仕事間に合うな」ですよ。
娘の時?
娘の時は正月4日目で母さんの実家に帰っててみんないるから、まだ大丈夫だろうけど先に病院行ってようって、朝早く行きました
父さんも母さんも前の事があるから余裕コイテましたよ。
それで「ちょっとトイレ行く」って母さんが出て行ってから中々帰ってこないからトイレの前に行くと
「と、とうさん・・・ヤバイ・・・うまれそう」
こんな時に何ですが、そういう時でも女子トイレに入るのって気が引ける父さんって紳士だというエピソードですよ。
それであわてて看護婦さん呼んですぐに生まれました。
感想?そりゃあ「産湯がトイレの水じゃなくて本当に良かった~」ですよ。
で、何の話でしたって・・・そうそう、そのぐらいセパハンつけた時は嬉しかったて話ですよ。
そのセパハンに何たる暴言!
ちょっと君の部屋から「あいつとララバイ」持って来なさい。いいから持って来なさい。
あら?31巻
また中途半端なところを。ん?32巻は無かったって?
まあ、いいでしょう。ほら見てみなさい、この倒れんばかりの前傾姿勢。
壁となって立ち憚る空気の層を突き破るためにはこの姿勢が大事なのです。
風になる?バイクにとって風イコール敵です。
自然と一体化?化石燃料焚いて走る機械の塊にまたがって何寝ぼけた事いってんですか。
男はいつでも前傾姿勢!
ゆえにセパハンとバックステップは必要不可欠なのです。
分かりましたか?
分かったら父さんはちょっと出かけてきますので「あいつとララバイ」読んでセパハンの魅力について考えておいてください。
どこいくかって?
「あいつとララバイ」32巻以降を買ってくるに決まってるじゃありませんか。






Last updated  November 18, 2011 12:10:14 AM
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October 29, 2011
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俺 「レノボ・カスタマーサポートセンターですか?ノートパソコンのキーボードが一切反応しなくなったんですが、保証期間内なので修理に出したいんですが」
 
レ 「修理を伺う前に機械の故障かシステムの問題かわからないので、一度バッテリーを抜いて放電  して・・・」

俺 「やったけどダメでした」

レ 「それでしたら、一度キーボードを認識してるか・・・」

俺 「デバイスマネージャーで正常に認識してる事を確認してます」

レ 「それでしたら一度セーフモードで・・・」

俺 「セーフモードにしようにもキーボードが動かないんだけど」

レ 「ああ、そうですかそれでしたら・・・」

俺 「ちなみにシステムの復元もしましたがダメでした」

レ 「じゃあ一度リカバリーしてもらってから・・・」

俺 「・・・は?何で?」

レ 「いえ機械の故障かシステムが原因か確認するために・・・」

俺 「さっきシステムの復元したっていったよね?」

レ 「でも一度キーボードが反応している買った時の状態に・・・」

俺 「昨日の時点まで問題無かったよね?問題なかったんだよ。それでシステムを一昨日まで戻してダメなものが、なぜリカバリーすれば直るの?」

レ 「ですから買った時の状態に戻して・・・」

俺 「いや、それで直るんならするよ?バックアップ含めて3時間ぐらいかかっちゃうけど直るんなするよ。で、なぜそれで直るのか教えてくれる?」

レ 「ですからキーボードが動いている時の状態に戻して貰わないと機械の故障と確認できませんから

俺 「だ・か・ら・・・買った時の状態とキーボードが作動しているシステムの状態とどう違うのか教えてくれるかな!」

レ 「・・・しばらお待ちください」

  3分経過

レ 「おまたせしました。違う方法で確認できますから、まず電源を入れてください」

俺 「入れればいいんだな・・・それで?」

レ 「あ、いれましたか?すみませんシャットダウンしてください」

俺 「・・・もしかしてBIOS画面にするの?・・・」

レ 「はい」

俺 「でもBIOS画面にするのキーボード使うよね?」

レ 「え?ダメですか?」

俺 「ナ・ン・デ!電話したと思ってるのかな?」

レ 「・・・すみません。住所言いますんでそちらに送って下さい」






Last updated  October 29, 2011 07:58:22 PM
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