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ミシガン・ロール症候群

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ろいろい0822@ Re:セパハン(11/17) セパハン?ん?なになになに何??? ・…
ぐっちゃんZ@ よみとさんへ マジです。 もう要領をえずに温厚な俺も…
よみと@ ぎゃはははは! コレはマジ話デスカ!? 大概どこのサポ…
ぐっちゃんZ@ ろいろいさんへ 忘れた財布は取りに戻ればいい。 しかし…
ろいろい\( ̄0 ̄)/@ 兄さん… ところで財布忘れてない?って(´-ω-`)…ち…
December 1, 2012
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カテゴリ:カテゴリ未分類
レザージャケットの襟元から忍び寄る風が寒さを増す初秋の宵。
街頭の明かりと時折雲間から覗く月明かりが照らす稽古場を見あけながら
俺は溜息混じりに呟いた。
「今日・・・稽古休みだっけか?」
現在時刻は午後6時55分
今日こそは通して稽古を高見ようと意気込んで来たものの人っ子一人いやしない
祝日だから稽古も休みか?それとも俺の知らないうちにワークスは光画部時間を採用したのか?
心の中に雨雲のように広がって行く不安と疑念
これがまだ若いZ橋君なら
「ま、まだ誰も来ていないんですが今日は休みですか?」
とハイジの腕の中でプルプル震える子ヤギのような声で誰かにみっともなく電話している所だが、
子供の頃から姉とカマボコの端をどっちが取るかで争い
結婚しては「あんた!料理の味が薄いからって黙って醤油掛けるのは失礼極まりないわよ!」
と切れられる修羅場を乗り越えてきた大人の俺にとっては然程の問題ではない
「まあ少し待ってみるか」
誰も聞いちゃいないのにワザと鼻に掛けた低い声で言ってみる所が大人の余裕って奴だ。
入り口前の段差に腰を掛けタバコを取り出そうとしてふと敷地の端に目が行った。
「・・・ブランコかぁ・・・」
街頭の灯りに照らし出された人気のない公園のブランコに座りタバコをくゆらすナイスミドル・・・
これじゃね?俺が求めていた大人のイメージってこれじゃね?
期待に胸膨らませながらイソイソとブランコに座る俺。
そして座った限りは揺らしてみたいのは人の常って奴だが
キーコ・・・ キーコ・・・
冷たい秋風と共にブランコがきしむ音
・・・なんだこの世界中の不幸を背負い込んだ様な切なさは・・・
考えてみれば小津安二郎の映画じゃあるまいし、夜中に一人中年のオッサンがブランコに揺られてたりしたら、どう考えても人生に行き詰まった情けない情景じゃないか・・・
ハハハハ・・・こんな所を人に見られたら・・・
シャリリリリリリリリー
不審げな顔で自転車が通り過ぎて行った
「ちょ、ちょっと待て!そこの自転車!
違う!違うよ!
俺別に人生行き詰まってないからね!」
と叫びそうになる自分を何とか抑える。
これが若いT山君あたりだと、ペーターが持っているムチの先っぽの様にフルフルと屈辱に身体を震わせながら情けなく言い訳している所だろうが、
「ピーマンちゃんと食べなきゃ大きくなれないぞ」と俺の分まで合法的に子供の皿にいれてしまう様な生き馬の目を抜く世界に身を置いていた大人の俺にとって大した事ではない。
大人として、どんな結果であろうと、まずはそれを受け入れよう。
そしてその後、そう対処するかで人生経験の差が出てくる物である。
俺はやおら立ち上がり、両足をブランコの板に載せ、膝で反動をつける。
「立ち漕ぎ」である。
しかももう50の声が聞こえ来ようかと言うオッサンの「立ち漕ぎ」である。
誰がどう見ようが、人生に疲れ果てたオッサンの図には見えまい!
始めは遠慮勝ちに漕いでいたものの、興にのって次第にブランコの揺れが大きくなると
ムッ!・・・これはなかなか爽快ではないか
さらに膝に力を入れてみると知らぬ間に笑顔がこぼれてきた。
「フフフフフ・・・ハハハハハハハハ・・・・アッハッハッハッハ!」
揺れの大きさと比例し笑い声が大きくなり、それがしだいに
「♪口笛はなぜ~遠くまでっ聞こえるの♪あの雲はなぜ~わた~しを待ってるの♪」
なんか新しい世界を垣間見た俺
「♪おし~えてっ♪ おじい・・・・・・」
突然の歌声のカットアウトと共に俺はブランコを降り、ふらりと滑り台の横に立った。
・・・酔った・・・
人生どこに落とし穴があるか分からないモノである。
まさか48にもなってブランコで立ち漕ぎして酔うなんて思いもしなかった。
滑り台の手すりに片手を掛けうつぶせ気味な体制で回復を待つ
あーあ何やってんだ俺。街頭の明かりに照らされた滑り台の横でこんなカッコしてたらまるで人生に失敗して絶望しかけのオッサンじゃないか。
もしもこんな所を人に見られたら・・・
シャリリリリリリリリー
自転車の音・・・今度は目が合った・・・
「とまレエエエエエエェェェェェェ!そこのじてんしゃアアアアアァァァァァァァァァァ!
なに哀れんだ目してんだ!
今劇団の中でかけ離れて歳食ってるって理由だけでみんなにチヤホヤしてくれると言う、人生においてのボーナスステージに立つ俺をそんな目で見るなああぁぁぁぁぁ!
確かにそれは小学生にシルバーシートで席を譲ってもらう老け顔の青年のように、何か大切な物を失ったような気もするが、そこは積極的にに痛くも無い腰痛をアピールしてあからさまに寝たフリしているサラリーマンからも席を譲ってもらう位の勇気もたまには必要なんだよ!
「死中に活を求める」
言うならばアグレッシブ・シルバーシーターである俺をそんな目で見るんじゃネねエェェェェェェェ!」
と吼えてみても今宵のような月の光をさえ切る雲のように俺の心は晴れなかった。
初秋の宵の公園は危険である。
昨今、公園の遊具が撤去されていく理由の一端を垣間見たような気がした。 





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Last updated  December 1, 2012 10:29:10 PM
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