玉藻

2005/06/22(水)21:15

小説の構想(天下御免の二次創作:『ヒカ碁の後【仮題】』3)

創作メモ(28)

誰しも考えて、誰しも口にしない『ヒカルの碁』の後日譚です。 一部の御方ではありますが、好意的に受け取っていただいているようなので、頑張って続けていこう!ってな勘違いをしております。 願わくば、この勘違いが最後まで持ちますよーーに♪ちなみに、 「ヒカ碁はヒカ碁。ヒカ碁以上のモノであってもそれ以下であってもいけない。ヒカ碁を冒涜する奴は末代まで祟られるぞ!!」 とお考えの貴兄には、このままブラウザバックをおすすめします。 ↓オッケーでしょうか↓ ↓そろそろ飽きてきた?↓ ↓長いもんねぇ↓ ↓もうちょっとおつきあいしてね♪↓ ↓ではでは(^^)~↓ 中国の監督さんは、これまた語学のスペシャリストの楊海さん。 今回は是非勝ちたいと思っていますが、いかんせん駒不足という状態だったので、奇策にでます。一番強いと思われる大将・趙石を確実に勝たせるために、大将のアキラへぶつけることをさけ、三将にまわします。 つまり、いきなり璃緒は中国の若手ナンバーワンと戦わなくてはならないことになってしまう。 倉「楊海のやつ!ずるいぞ。もっと堂々と戦えよな」 ア「いや、副将の孫くんも力をつけてますし、充分大将をつとめられると思いますよ」 ヒ「まあな、誰とやっても同じさ。オレの相手は楽平かぁ。なんか和谷と打ってるみたい」 ヒカルはとにかく高永夏と戦えないのが不満なので、後のことは何も考えていないという感じ。 楊「やあ、倉田さん。」 倉「あー、キタナイぞ、楊海。若手の棋戦にそんな手使いやがって。 上手い中華料理屋教えてやらないからなー」 楊「(あいかわらず、子供っぽい人だな)いやいや、そちらの大将に敬意を表しているだけさ」 とかなんとか言いながら、これが結構キツイ戦法で中国は三連勝をめざしているわけ。 倉「おい、橋本。とにかくあんなせこい奴には負けるなよ。塔矢も進藤も勝て」 ア「(気楽な人だな)とにかく大将を任されているので頑張ります」 ヒ「おぅ」 璃「何がどうなっているのかわかりませんけど、頑張ります」 というわけで対局スタート。 レセプションとはまた違った、豪華な大振り袖姿の璃緒はめちゃくちゃ可愛いと、これまた話題になったりします。対局相手の趙石も、美しさに目を奪われていますが、団長の楊海も、ある意味ちらっとロリコン気味に彼女に注目したりします。 楊「綺麗な着物ですね。いや着ているあなたも綺麗ですが」 璃「ありがとうございます。まあ日本の民族衣装という気持ちで着てみました」 楊「あ、英語お上手なんですね。綺麗なクイーンズイングリッシュだ」 璃「うふふ。そうですか。通じてるみたい。まあ日常会話くらいならしゃべれますから」 とかちょっとだけ和やかな感じ。 アキラの方はすでに臨戦態勢。ヒカルも去年勝っている相手だけにちょっと余裕がある。 やはり問題は大将をどうさばくか!てな大盤解説が唸ります。 さてさて対局はアキラもヒカルも好調の滑り出し。 大盤でも二人の戦いをクローズアップしています。というのも、璃緒の「不思議碁」ぶりに解説が出来ない状態に近いからです。序盤追いつけないくらい離されているっぽく見える。俗筋とウソ手ギリギリの妙な打ちぶりです。 けれど対局相手の趙石は、なんだか奇妙な感覚に陥って上手く着手ができなくなる。彼女がだんだん追いついてきて、最後には大ポカの見損じまで誘発します。 短手数で中押し勝ちをおさめてしまった三将戦。 大盤解説が解説する間もなく、さっさと終わってしまって、これまたびっくり。 趙「・・・あなたは、一体」 璃「?」 趙「進藤さんから、昨日あなたが進藤さんのお弟子だと聞きましたが」 璃「ええ、そうです」 趙「進藤さんとは全く棋風が違いますね。というより、ボクは今までこういう碁を打ったことがない。初めて見る碁のようです」 璃「そうですか。時々そんな事をいわれますが」 趙「長年修行して、こういう棋風になったのですか?」 璃「いえ、碁を覚えてそろそろ二年とちょっとってところです」 まさかという顔をする趙石。別にそれがどうしたという顔の彼女をじっと見て 趙「大会が終わったら、どこかでまた打って貰いたいです。時間をとっていただけないでしょうか」 璃「・・・それは、私の一存では決められません。団長の倉田先生と、師匠に決めていただきます。ごめんなさい」 とかちょっと押し問答になる。 で、趙石が辛そうな顔しながら退席。彼女はアキラとヒカルの碁を見にいきます。 アキラの方はもう終盤、さすがに大差でもう中押し寸前ですが、ヒカルの方はコウ争いで紛れています。 そうこうする間にアキラ完勝。ふと気が付くと後に璃緒が立っているので、 ア「終わったんですか」 璃「ええ、向こうが見損じで」 ア「本当?趙くんは見損じなんてなかなかしないのにね。でも、良かった」 てなもの。あんまり会話も進みません。二人してコウ争いまっただ中のヒカルの碁を見に行き応援。ギリギリコウ材があって、ヒカルの勝ち。 ヒ「ふぅう~、あれ?二人とももう終わったのか」 ア「ああ。お疲れさま」 璃「先生、お疲れさまでした。」 ヒ「こら璃緒、お前また勝手に投了したな」 璃「まさか。先生が絶対投了するなと仰ったので、最後まで打ちましたよ」 ア「趙くんに見損じがあったらしい」 ヒ「え、そうか」 璃「先生が一番手間取ってるじゃないですか。大丈夫ですか?」 ヒ「生意気なこと言いやがって。人の見損じで勝ったくせに」 璃「勝ちは勝ちですもの」 という、同い年のくせにバラバラの会話。倉田は三連勝に喜んで、三人を慰労します。そこへ楊海登場。 楊「いやー、策に溺れたというか。強いね日本勢」 倉「あ、楊海。」 楊「倉田さん、お願いがあってね。実は趙石が、もう一度橋本さんと打ちたいって言い出して。倉田さんと進藤くんの許しがないと、再戦できないって橋本さんが言ったようで、どうかなと」 倉「ん?ああ、あの碁は妙な見損じしてたしな。消化不良だったか。 どうだ、橋本受ける気ある?」 璃「あの、先生どうしましょう」 ヒ「別にやってもいいんじゃねーの。そうまで言ってるなら、悪い事じゃないし、璃緒の勉強にもなるかもな。そんなに派手な見損じだったのか」 璃「いえ、別に。私はそれほど見損じでもないような気がしましたが。 まあ、あのまま打っていても、多分私のほうが少し残っていたはずだと思いますけど」 楊「じゃあ、頼んだよ。趙石のやつ、さっきからずーっと黙ったままだから。 この後の韓国戦に響かなきゃいいけどな」 と、ちょっと微妙な伏線を引きつつ楊海も退場。 で、中国は韓国に二勝一敗で辛くも勝ちます。趙石は今回は素晴らしい碁で勝つのですが、なんだかやっぱり納得していない感じです。 着物から普段着に着替えた璃緒を、密かにロビーで待っていたりします。 趙「あ、橋本さん」 璃「あら、こんなところでお会いするなんて。先ほどは素晴らしい碁でしたね。おめでとうございます」 趙「いえ、あ・・・ありがとう。あの、楊先生からお聞きしたのですが、もう一度打ってくれるって」 璃「ええ、先生も倉田先生もかまわないと仰ってくださったので」 趙「あの、本当にたった二年で」 璃「二年前の四月に初めて碁石と碁盤を見たんです。それから先生のご指導で、ここまでなれました。あ、私の英語おわかりになりますか?」 趙「もちろん、お上手ですね。 二年・・・かぁ、凄いなぁ。信じられないです。ああいう打ち方も、以前からですか」 璃「そうですね。というより、みなさんが不思議に思われる方が私には不思議で」 趙「かなり特異な棋風ですよ。ご存じないのかもしれないけど。棋歴が短いからかな。今までの碁とはまったく違う。古碁とかは勉強なさいますか」 璃「この二年で、出来るだけのことはしてきたつもりですけど、なんというのか、自分の精一杯なので、どこまで出来ているかはわかりません。 ただ、古碁の棋譜並べについては、先生についてある程度は研究しています。 でも、古碁の形は理解できますが、現在のコミ6目半の設定という点では、考え方を大きく替えなければいけないと思っています」 趙「ほう」 璃「今ある定石の石の効率という考え方が、本当にそれで互角なのか。コミが一目増えたことの意味を、考えあわせていかなければならないのではないだろうかと、生意気なことも思います。古碁の場合はコミが4目半だったり、まったくコミなしの時代だったりしますからね。 えっと…、私のいう意味おわかりでしょうか。英語、ちゃんと通じてますか?」 趙「あはは、なんとなくわかります。でも、ぼくちょっと英語が苦手で、完全にわかっているかどうか」 と照れているところへ、たまたま楊海が通りかかったので、通訳を頼みます。 璃緒の答えを中国語で通訳する楊。一通りの事を話し終えて、再戦に燃え趙は去っていきます。 璃「通訳ありがとうございました」 楊「いや、お安いご用だよ」 璃「あの、とても失礼なことをお聞きいたしますけれど」 楊「何?」 璃「和谷先生から、楊先生はとてもネット碁にお詳しいとお聞きしたのですが」 楊「ん?まあ、詳しいといえば詳しいかな。かなりの棋譜をもっているし、データベースもある。今、最強囲碁ソフトの開発に協力しているんだ」 璃「それをお聞きして、お願いがあるのですが」 楊「美人のいうことなら、なんでも聞いてあげたいな」 と笑いながら、ちょろっとおべんちゃらもいう楊。 璃「私も修行の一環として、有名なプロ棋士さんの棋譜を集めたり、並べているのですが。 実はある棋譜を探しているんです。 ネット碁の最強棋士といわれた『sai』と言う方の棋譜です。」 saiの名前を出された楊はちょっと苦笑いをします。 楊「ああ、持っているよ。何局か、データに残っているものはかき集めたけどね。 でも、saiの名前は売れすぎていて、偽物も多くてね。」 璃「そうなんですか、和谷先生が仰るには初めてネットに入ったころは、なんだか古くさいような棋風だったけれど、とても強かったと。 だんだん後になってくるにつれて、強さが倍加して誰も勝てなくなったらしい、と」 楊「ああ、そうだね。というよりsaiはネット碁では負けていないだろう」 璃「そうなんですか」 楊「さっきも言ったみたいに、saiはネット碁の世界では名前が売れすぎて偽物が多い。でもさすがに見る者がみれば、差は歴然としているからね。 そこから考えて、もうsaiはネット碁の世界から撤退しているようだね」 璃「そうなんですってね。私も一度拝見してみたいと思っていたのですが、そういう事情で会えないと知ったんです。だから棋譜だけでもと」 楊「わかったよ。オレが知っていて、多分これがsaiの打ち碁だろうという、実力のある碁を教えてあげよう。 ああ、アレが一番いいな。塔矢先生と打った碁。あれは絶対に偽物じゃない。あの塔矢先生に勝てるアマはいないだろうし」 璃「塔矢先生?というのは、塔矢アキラ先生のお父さまのことですね」 楊「ああ、そうだよ。あの棋譜は勉強するに価値ある棋譜だと思うよ。 そうだな、メールでファイルを送ってあげるから、アドレスを教えてよ」 そういって、メモを取り出す楊に璃緒は笑顔で 璃「ありがとうございます。棋院の方へ送って下さいますか?」と切り返します。 楊もその機敏な答えに、笑って頭をかいたりして。 楊「そうか、プライベートだから教えてくれないわけだね。まあいいや。 とにかく、オレがsaiと思われる碁の棋譜を見繕って、送ってあげるから」 璃「宜しくお願いいたします」 こうして、璃緒は楊海にsaiの棋譜を頼みました。いつも研究会で和谷や伊角たちが、わいわいと語り合っているのに、入っていけない部分があったので、少しでもネット碁のことをわかろうとしているだけの事だったのですが、これが彼女にとって大きな転機になるきっかけだったわけです。 >>>とてつもなく長いので4へ続く

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