玉藻

2005/07/12(火)20:45

小説の構想(天下御免の二次創作:『ヒカ碁の後【仮題】』5)

創作メモ(28)

誰しも考えて、誰しも口にしない『ヒカルの碁』の後日譚です。 かなり込み入った話になってきていますが、ついてきてくださってますか~? 二十歳前後になったヒカル達ですから、当然恋のお話も出てくるわけです。ちなみに、 「ヒカ碁はヒカ碁。ヒカ碁以上のモノであってもそれ以下であってもいけない。ヒカ碁を冒涜する奴は百たたきの刑!!」 とお考えの貴兄には、このままブラウザバックをおすすめします。 ↓オッケーでしょうか↓ ↓長くなってきてしまって↓ ↓文章もちょっとヤバ目?↓ ↓途中で引き返したくはないので、頑張る!↓ ↓ではでは(^^)~↓ 自分の碁が、人とかなり違っていることは薄々感じていた璃緒。常識はずれという意味もわかっていたし、それを変えようと思うこともあったけれど、ヒカルから自分の思う碁を打てと言われてきたからそうしていただけのことなのでした。 でも、この言葉にはカチンときてしまいます。 「師匠が師匠だからねぇ、仕方ない」という一言です。 ヒカルの事を慕い、自分をプロ棋士にまで指導してくれたヒカルの悪口に、自分を抑えられなくなって、普段なら何事も穏便にすまそうという社交的な彼女も、怒り爆発。 談笑している児玉の前に、璃緒は姿を現して、 璃「私の碁のことを、どのように仰ってくださっても、それはそれでかまいません。 でも、そのことで師匠進藤のことを批判なさらないでください」 と啖呵をきります。 目上の児玉に、女流本因坊とはいえ、入段したての璃緒が抗議する姿を見て、驚いた顔をする回りの棋士たち。ひそひそ話をする棋士もいます。 児玉は何もいわず彼女をみているだけです。 璃「もし、これからもそのような事を仰るのなら・・・私は今の私の打ち方をやめます。児玉先生がご存じの普通の碁を打ちます。 だから、師匠進藤の事を悪く仰らないでください」 涙交じりに抗議する璃緒に圧倒されて、回りも何もいえなくなってしまいました。 それから、璃緒は「不思議碁」といわれていた彼女の碁を捨てました。 もともと碁の強さは女流の中ではピカ一。 普通の碁を打ったところで、弱くなるわけでもなく、またどんどん女流棋戦を勝ち続けていきます。 ヒカルは彼女の碁が変わってしまったことを当然感じます、師匠だから。 ヒ「なんで、こういう打ち方するんだ?お前なら右辺じゃなくて右上隅へ打つと思ったが」 璃「・・・・」 ヒ「まあ、これで悪いとは言わないけどな。どうもお前らしくない」 璃「先生、私はもうああいう打ち方はしません」 ヒ「なんでだ?」 そう問われても璃緒は事情を話しませんでした。自分の碁を捨てたきっかけが、ヒカルへの蔑みの言葉だったとは、言いたくなかったのです。 璃「これで悪くないなら、こう打たせてください」 何か思う事があるらしいことは察するヒカルですが、それ以上は思い詰めた顔をする璃緒に聞けませんでした。 すでに棋聖リーグと名人リーグ入りしていたアキラは、ついに兄弟子の緒方と名人戦の番碁に臨むまでになりました(早)。 以前からの精進もさることながら、それ以上の気迫をもって緒方にぶつかるアキラ。 七番勝負は緒方のリードで始まりましたけれど、中盤追い上げ、最終局にまでもつれこみます。 そして遂に十九歳のアキラが名人位を奪取! 世間はこの若き才能に、将来の囲碁界の期待を寄せます。 もともとそういう自覚の中で碁を打ってきたアキラですから、遅かれ早かれ自分がそういう事になるとはわかっていました(←自信たっぷり)。 後は、ライバルのヒカルが自分の力に対抗するような碁を打って、同じ土俵で戦えることばかりを夢見ます(←どこまでいっても自分本位はかわらない)。 でも、ヒカルは今一歩届かず、リーグ入りも出来ない状態(まだ十代の四段だし)。 それでも、アキラは前を向いて歩いていけば、きっとヒカルが追いかけてくると信じています。 さてさてさて、女流本因坊となってしまった璃緒ですが、普通の碁を打ち始めた事もあってか、さすがに一般の棋戦では、取りこぼすこともちょぼちょぼありました。 特に女流棋戦とスケジュールが被る部分もあるので、体力的にもシンドイ状態。 若手の研究会や、女性棋士の集まりなどに顔を出す一方、ヒカルの繋がりで森下研究会にも出入りしています。 だんだん強くなってきたことを森下も感じますし、回りの棋士も一般の棋戦でどんどん勝ち上がってくる三段の璃緒に、危機感もあり。 和谷や伊角などの仲間たちも同じで、常々研究会繋がりで顔を合わせているだけに、仲間意識はあるものの、ライバルと思う気持ちも人一倍です。 中でも学生碁界でもブイブイいわせていた兄貴格の門脇は、璃緒が研究会にやってきたときから、非常にお気に入り。何かというと、 「璃緒ちゃん、つきあってよ」と甘えたりします(ちょこっとロリ気味だから)。 そんな時はいつでも、璃緒は笑って、 「門脇さんたら、一回り以上も違う私に何をおっしゃってるんですかぁ」とか、 「そうですね、何かタイトルでも取ってくださったら~デートしましょうか」とか、笑い話にしてしまいます。 こんな風にいなされても、門脇は諦めずにひたすらアタック。時には良い線まで行くのですが、やっぱり璃緒はヒカルの事があるので、水際で上手く拒絶してしまいます。 実は、和谷には彼女がいたのですが、伊角にはいませんでした。おきまりのように伊角も璃緒のことを好みに思っていたのですが、これまた門脇のようにいなされて、彼ははっきりダメを見極めたらしく、それ以来は変な事も言い出さず彼女の人生相談に乗ってあげるお兄さん役に徹しています。 璃緒と共に同期でプロ入りした小宮も、璃緒に好意を持っていましたが、これまた告白することもなく、討ち死に。同期というだけの間柄で終わっています。 つまり、璃緒はいろんな人に憧れられている存在ですけど、未だに彼という人もなし。空き家状態です。 とにかく人一倍勉強しまくる璃緒に、回りは「抜け駆けするなよぉ!」の目配せばかりしていて、行動に出にくい雰囲気にさえなっているのでした(門脇は別)。 そうこうしながら、ヒカルもアキラも璃緒も力をつけ、アキラの名人位獲得の刺激もあって、ヒカルも21歳ながら本因坊リーグ入りを果たします。なかなか棋戦は簡単に進まず、リーグ入りしたり落ちたりするものですが、アキラは着実にタイトル戦の常連になりつつあり、ヒカルもその華麗なワザの碁で、めきめき台頭してきます。 璃緒も、女流棋戦では敵なし状態。 さすがに全勝というわけにはいかないので、取りこぼす部分もありますけど、女流本因坊は連続で防衛していたりします。途中女流名人とか女流棋聖とか女流最強位なんかも、ちょぼちょぼ取ったりして。 明るくざっくばらんで、社交的な面がある璃緒ですので、若手の中では一目も二目も置かれる存在に。彼女より若い女流棋士たちには姉さん的存在にもなったりする、ここでもやっぱり優等生。 特に可愛がられる性格らしく、誰でも気軽に声をかけられるとおつきあい(昼食でもお茶でも)するので、若手だけでなくベテランの年輩の棋士からも好かれています。 その中で児玉だけは、なんとなく冷たい視線。昔啖呵を切っているだけに、璃緒もちょっと引き気味です。 ある日、森下の研究会でヒカルや和谷と一緒に検討をしているとき、ネット碁の話になりました。 和「おれは今でも、あのsaiってやつのことが気になって仕方ないだよな」 ヒ「・・・」 璃「私、昔楊先生から、その方の棋譜をいただいたんですよ」 和「へぇ~楊海先生、そんなもの持ってるの?」 璃「ええ、CDロムに焼いていただいて。確か、塔矢先生との一局もありました」 和「ああぁ~あれ!おれも覚えてるよ。すっごい碁だったぜ。 見たとき感動した。ライブで見てたんだぜ。 塔矢先生も凄かったけど、saiはその上いってたんだよな。でもさ、あのとき進藤ったら」 とちょっとヒカルの方をみて、目配せ。 和「お前研究会に駆け込んできて、『この隅に置けば、一目得だろ』って鬼の首とったみたいに自慢してたなぁ。ちょっといい手を見つけると自慢しやがって」 その言葉を聞いた璃緒はびっくり。 以前、検討しようと持ちかけたのに、拒絶されたことをずっと不審に思っていたし、その後に自分で並べたり研究したりして、思うところがあったからです。 璃「そうなんですか?先生。出来たら教えてください。棋譜は今ももってますし」 ヒ「い、いやもう、忘れた。それって和谷ものすごく昔の事だろ。 オレが初段だったときだし。 それにあんな手、誰だってわかるし」 と、明らかに焦っている感じが璃緒にはわかります。 そして璃緒の中には、ますます疑念が膨らんでいき、その場はなんとか逃げ出したヒカルですが、どうしてもこの碁について知りたい!という気分が、どんどん強くなっていきます。 22才になった同級生カルテットは、それぞれの道を歩いています。 アキラは名人位を防衛。ヒカルも本因坊リーグ残留と、踏ん張っています。璃緒もそれなりに力を付けていて、予選の良いところまでいくのですが、どうしてもリーグ入りまでは行けない。 大きな壁が立ちはだかっているのです。 それは、文字通り師匠の進藤ヒカルの存在でした。 確かに師匠と弟子とはいっても、同じくらいの段位ですし、棋戦でも似たような部分に配置されているので、どうしても予選で当たってしまう。 平気に九段の先輩先生を下すことのできる璃緒なのに、どうしてもヒカルには勝てない。 彼女の中にあるヒカルへの思いが、勝利への一手を無意識に拒んでしまうのです。 璃緒本人は自覚していませんが、ヒカルには何となくわかっています。 長年のつきあいから、彼女の意識や感覚がわかっているだけに、緩着や失着が目に付きます。何度も注意し、検討でダメ出しするのですが、その時は納得して反省もする璃緒ですが、どうしても実際の対局となると切っ先が鈍る。 大事な棋戦などでも、ヒカルと対局しなければならない場合が重なって、彼女は今一歩七大タイトルの檜舞台には立てない状態です。 さて、この三人とは異質な存在のあかりちゃんですが、彼女は大学を卒業後お定まりのOLになっています。 ヒカルとはやっぱり、空気みたいな、それでいて一人暮らしをしているヒカルの部屋にお掃除にいったり、お洗濯してあげたり、ご飯を作ってあげたりする仲。 もちろん、恋人同士なので、それはそれなりに年相応の青春を繰り広げています。 幼なじみで、昔っから親しく、親同士も懇意で、二人の仲は公認状態ですから、あかりちゃんがお部屋にいったりすることを、別段咎められることもないという感じです。 つまり今までは、宜しくやっていた。 普通の恋人状態ですが、学生を卒業し就職しちゃうと環境も変わります。美人で可愛いあかりちゃんを取り巻く大人の世界が、彼女の回りで展開してしまうと、やっぱりこれまた彼女にアタックしてくる男達も出てくるというもの。 同じ会社のちょっぴり年上の男性など、ヒカルの子供っぽさとは違う魅力が漂ってきたりすると、彼女も女性なので、ちらっとは心が動くわけで。 棋戦に集中し、何もかも犠牲にして囲碁に精進し、囲碁しか見えないヒカルにとって、時にはあかりちゃんの存在が疎かになる時もあったりします。 あかりちゃんもヒカルが棋士として「囲碁に集中してほしい」「頑張って強くなって欲しい」という気持ちはあるのですが、さすがに淋しい扱いを何度もされてしまっては、心穏やかではありません(生々しいけど)。 特に、璃緒との研究会や検討会(ヒカルの部屋でやっているから、時々あかりちゃんも一緒にいたりする)などで、囲碁という土俵の上で彼女が対等に話し合ったり、意見を言い合っている姿に嫉妬の気持ちも覚えます。 そう、あかりちゃんも薄々璃緒がヒカルの事を師匠としてではなく、男性として慕っていることに気が付いているのでした。 >>>どうなるどうなる、三角関係!その6へ続く

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