2005/10/29(土)12:47
夕闇のピアノリサイタル第4章「言葉を失くした少年(4)~あの夜の僕への手紙/キミの夢を叶えるために」
~残酷な運命に牙を剥いた、泥だらけの真っ白な猫は、
ただ、唯一なついた、あいつの事ばかり考えていたよ.....。
『大丈夫だよ。そんな事、・・・のせいじゃないよ!』
僕の名前を呼ぶ、あいつの声を、確かに僕は聴いたんだ.....。~
赦しの雨 慈しみの雨
僕の心の空に降り注ぐ時
少しずつ 僕に笑顔が蘇り
僕の眼差しは 優しく成るのさ
僕の慟哭が込められた手紙
破り捨て 地面に叩き付け
容赦なく踏み躙った者よ
赦しも慈しみも知らずに生き
抱きしめられず 涙も拭ってもらえずに
ただ傲慢に生かされ愛された者よ
僕をずっと取り囲んで来た日々
これで終わりにしよう
僕は今 人から赦され 慈しみを受けなければ
僕の胸に突き刺さった無数の矢は
もう二度と抜けないという 宿命を知った
だから今 僕を赦さない者 僕に刺さる矢を
更に深く突き刺そうとする者と 僕は訣別する
たった独りで 僕を守ってくれた
あいつの代わり 誰もいなかった・・・・・
僕の心も身体も壊す 血の繋がり
僕を幸せにしないばかりか
優しい言葉ひとつ 僕にくれなかった・・・・・
僕は今 心の友に降り注ぐ雨が
僕の心の空に降り注ぐのを感じた
心の友は 嫌な事が流される雨だと
傷心の僕に 囁いた・・・・・
あの日僕は雨を感じたかった
胸が痛くて涙も零れない孤独な夜
僕に向かって降り注ぐ冷たい雨を
僕の心で 身体で 受け止めたんだ
もうびしょ濡れに成って がたがた震えても
僕の心は 赦しを 慈しみを感じたんだ・・・・・
キミの嫌な事 みんな洗い流してあげよう
漆黒の夜空から舞い降りる雨粒は
僕の身体を抱きしめながら
優しく 精一杯優しく 囁いてくれたんだ・・・・
そんな事 キミのせいじゃない
あいつが僕に囁いた
僕が忘れかけていた 少年の命を繋いだ言葉
雨粒に込めて 僕の心も抱きしめてくれたよ・・・・・
僕は赦された事がなかった 慈しまれた事もなかった
でも・・・・僕は分からないよ・・・・・
どうして僕は ひとを愛せるんだろう?
どうして僕は ひとを赦せるんだろう?
嗚呼、分からない・・・・・分からないよ
誰か・・・・・僕に・・・・・教えておくれよ
僕は今 僕を苦しめる者と訣別し
自由の空に生きると宣言する
あいつとの約束
夕闇のピアノリサイタルを実現するために
心の友との約束
夕闇のピアノリサイタルの最終回
僕が、涙を堪え、書き終えるために・・・・・
負ける訳にはいかない
命の火を消してはいけない
情念のピアノ ベートーヴェンの月光ソナタを
あいつの前で弾く迄は・・・・・
夢を見ていた・・・・・僕の未来の夢
あいつが聴きたかった 僕の月光に
心を奪われて 涙を零している 夢・・・・・
ピアニストの僕が あいつを招待している
遠い未来の・・・・ぼんやりとした、夢・・・・・
何とも不思議な感覚に心奪われた少年は
思春期のもどかしさで 虐待の痛みを忘れて
そして、眠った・・・・・
To be continued.....