眞砂子さんの猫殺し騒動 B-200
いったいどうなんだね。君には、自分が今、魂をどのような危険にさらそうとしているのかがわかっているのかい?人の身は 悪人であることをまぬがれえない防ぐすべなきわざわいに打ち倒されるから幸福のときには 誰でも善人不幸のときは 悪しき人詩人はこう言っているようです。人間の中でいきているのだから、自分の性に合わないことでも自分をなだめて、自ら悪人になることもあるのだろう、と。友人だけにオリンピックを見せてあげるのだから、変な報道はしないでくれ、でないと、入国ビザはもちろん、報道許可証は与えない。じゃ、こんどは悪人になりましょう。あなたの言うように、悪人の報道でいいからあの選手の記録を伝えてくれと望んでいるのは私たちなんでしょう。だからと言って「北京オリンピックの視聴をボイコットしよう」では、快楽の自己制御-計量の技術としての知識を捨ててしまっている。金のことばかりけちけちして悩んでいるあの人たちと変らない。湾岸戦争で、アメリカなんかがメディアを戦場に入れないようにして、ベトナム戦争の時のような反戦運動が起こらないように操作していた。官製情報をそのまま流していたメディア。魂を売ってイラクに行っていた記者たちは、その後自分の目で見たものからなにか真実をひきだせたのだろうか?ボードリヤールが「湾岸戦争はなかった」と言った。じゃこんどのこれは、なんだろうね。悪人になる前にその人はすぐれた魂を持った記者でなければならない。そうでなければ悪人にもなれない。恐ろしいことは、しらずしらずのうちに自分の魂がなくなることです。してみると結局、恐ろしいものと恐ろしくないものに関する知恵こそが、勇気なんだということになる。勇気を持とう。北京オリンピックはなかった。 引用;『プロタゴラス』,プラトン,藤沢令夫訳,岩波書店,1988.9.16