映画『ロマンスドール』。
Amazon Primeでこの映画が「おすすめ」として出てきたとき、出演者に関係なく、「どうなんだろう、面白いのかな」という不信感に似た感情を持ちました。
というのも、題材がラブドール。いわゆる”アダルト”グッズだからです。
プロの芸人さんがそうするように、ウケようと思って安易に下ネタに手を出すと”ダダ滑り”をするため、簡単に下ネタには手を出してはいけない・・・そんな考えが私の中にあります。下ネタは、絶妙なさじ加減があって初めて、お客さんにウケます。逆を言えば、それができないのであれば、面白くないどころか、人を不快にさせてしまいます。下ネタは簡単なようで、実はずごく難しいネタです。プロでも簡単に手を出さないし、手を出せる人は”繊細な調整”をして下ネタを放っているわけです。(ケンコバさんがいい例です。)
そんなこんなで、ラブドールを題材にして「奇をてらった」のかもしれないが本当に面白いのか?と疑問が湧いたのです。
しかし、観てみてどうでしょう。
面白かったです
ぐいっと、その世界観に引き込まれました。
その一つの要因が、主演である
高橋一生さんの演技でした。
高橋一生さんのことはもちろん知っていましたが、これまであまり演技をじっくりと観たことがなくて、ましてや主演をされている作品を観たことがなく、正直なとこと何も思っていませんでした。CMにもたくさん出演されていますが、目に入っても、「あー、毒々しさがなく、起業CMにピッタリの演者さんなんだろうな」としか思っていませんでした。
が!!
この映画で演技を始めてじっくりみて、その演技力に魅了されてしまいました。
これまで男優さんには感じたことはなかったのですが、”透明感”というか、そういうのを感じました。
演技がとても自然。
美大卒の、いわゆる”草食系”の男性。ラブドールとは全く縁のない人生を歩んでいそうな。ひょんなことからラブドールの製作に携わることになるのですが、プロの技術を目の前に、素直にその魅力に引き込まれる感じ。真摯に製作に取り組む感じ。などなどなど・・・・すべてが自然でした。
高橋さんの話し方が気になったので、プロフィールを調べました。
■所属事務所 舞プロモーション公式プロフィール
■Wikipedia
声を張らない演技(話し方)がとてもよかったので、舞台出身ではないのかな、と思ったら、劇団にも所属してましたね・・・舞台出身の役者さんは、舞台の演技そのままで映画やドラマに出てらっしゃる方もいて、時折「わざとらしいなぁ~」と思ってしまうこともあるのですが、高橋さんはそういう意味では、映画・ドラマの演技と、舞台の演技と、しっかりと分けられる俳優さんなのだろうと思いました。
Wikipediaから引用させていただくと・・・
高橋一生さんは、テレビ番組『A-Studio+』に出演された際、このように語られたそうです。
「僕がいさせていただいている世界っていうのはちょっとよく把握しきれてないですけれど、色々なことに対して忘れられていく速度が尋常じゃなく速くなっているような気がして。そう考えるとちょっと記憶に残っていくことっていうのを何か自分でコントロールしようっていうふうには思わなくなった」
芸能関係の仕事で、いい仕事の機会を得ると多くの人が「爪痕を残そう」みたいに考えるものだと思うのですが、高橋さんは、そんな風に肩肘張ることなく、監督やプロデューサーから要求されたことを要求通りに素直に受け入れて、それを自然に演技に昇華させることができる人なのだろうなぁと思いました。その結果、いい演技になるし、いい作品になるのだろうなぁと思います。
あと、きたろうさんとの自然な掛け合いも好きでした。
ドール職人の先輩である相川金次(きたろう)と、ドールのモデルとしてやってくる北村園子(蒼井優)にどう話をしようかわちゃわちゃしているシーンは、観ていてクスっと笑えるようなほっこりしたシーンに仕上がっていました。
この映画の原作は、2009年に出版されたタナダユキ作の小説です。タナダ氏自らメガホンをとって映画化されたそうです。映画化にあたり、原作とは少し話を変えているそうなので、原作も読んでみたいなと思いました。
まだ映画を観てない方はぜひ観てみてください。大人の恋愛に魅了されること間違いなしです
■映画『ロマンスドール』公式サイト