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はじのん’ずBar

Happy Birthday☆


Happy Birthday☆
宇宙仏の御石の鉢、宇宙蓬莱の玉の枝、宇宙火鼠の裘、宇宙龍の首の五色の珠、宇宙南海の燕の子安貝を『その辺で拾って』『その辺で転んで』重傷を負ったギロロが意識を取り戻したとき、彼は夏美の膝枕で休ませられていた。
「う、うぉっ、どうしたんだ」
「いいからそのままじっとしてて。傷、結構ひどいんだから」
「夏美……」
「宇宙ケルベロスの肝でもあればよかったのにね……」
「なんだ、欲しかったのか。任せろ、すぐ捕ってきて…」
「ばかっ!」
「な、なにっ」
「アンタがいくら強いからって、これ以上やったら死んじゃうよ」
「……」
「何でそんなに無茶するのよ。どんなにすごいプレゼントでも、アンタがそんなじゃ喜べないよ」

見上げるギロロの頬にポツリと落ちてくる一粒の涙。

「夏美……」
「こんなとき女の子が欲しいのは、そんな物じゃないのよ」
「オレは無骨者だからな、そういうのはぜんぜん判らん」
「馬鹿ね。普段からいろいろ貰ってるわよ」
「?」
「なんでもない。……こんなときは気持ちのほうがうれしいのよ」
「気持ち?」
「たとえば歌とかさ。みんなに歌ってもらったバースディソング、ギロロの分聞かせてもらってないのよ」
「歌など聞かせられるか。だからオレは希少な宝を……」
「ねえ、プレゼントより、側に…、一緒にいて欲しいの」
「な、夏美……」
「困ったとき、助けが欲しいとき、思い浮かぶのは誰でもないの。アンタなの」
「オ、オレは……」
「物よりも何よりも、ギロロがいい……」
「……オレはいずれ、いなくなるんだぞ」
「え?」
「立場上、こんなことは言いたくないが、ペコポン侵略は失敗する。……オレが邪魔するからだ。だからいずれはお前を残してこの星から退去することになる」
「ギロロ……」

それまでひざに抱いていたギロロを立たせ、その肩をがっちり押さえつけて夏美は叫んだ

「意気地なし!」
「な、なんだと?!」
「アタシごと征服しちゃえばいいじゃない!」
「ナ、夏美……なんてことを」
「男でしょ、そのくらいの覚悟すればいいじゃない。アンタはアタシが好きだってことから侵略とかいろんなこと理由に逃げてるだけよ!意気地な……ぐっ!!

途切れたのは、ギロロが夏美の唇を奪ったせいだった。突然のことに硬直していた夏美も、重ねられた唇の熱さに次第に力が抜けていく。
「……この、じゃじゃ馬め……」
「……ようやく、正直になったね。好きだよ、ギロロ」
そういって今度は、夏美から唇を重ねていく。……



「本当に、プレゼントはよかったのか?」
「うん、今年は何より最高のプレゼント、貰ったから……」

ぬれた唇に指を当てて、小首を傾げる夏美に今夜初めて沸騰しそうになったギロロはその次の言葉に冷水を浴びせられた気がした。

「ちゃんと責任、とってよね」

ギロロの頭の中では、華麗な衣装を身に纏い、赤いおたまじゃくしを胸に抱く王妃夏美を従える、初代ペコポン皇帝ギロロ一世の姿がぐるぐると回っていた……。


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