街にはそれぞれの匂いがある
紀行番組
ガイドブック
数あれど
街の匂いばかりは実際に
その地に降り立ってみないとわからない
自分の体臭がわからないように
自分の住む町の匂いは
わかりにくいが
他人の顔をした街の匂いはすぐ解る
例えば
通勤&青春18切符の友
東海道本線
焼津駅の匂い(風が強いと潮の香りがする)
島田駅のカンズメ加工工場の匂い
新居や弁天町の浜名湖の匂い
富士駅でのパルプの匂い
風向きによって漂ってくる磐田駅の田舎の肥やしの匂い(^^;
車中、うとうとしていても
ドアが開いた瞬間に
飛び込んでくる匂いで
自分がどの街にいるのかが解る
例えば
静岡市街
5月の新茶の時期に
茶町や一番町・二番町に漂う天然のアロマ
あの芳しい緑薫
街にいるだけで上質のお茶を一服いただいた気分になる
親類が住んでいることもあり
昔からよく訪れていた材木町
名前の通り材木問屋が多く
街には常にチェーンソーで木を切る音が流れている
軒先に並べられた
枝を打たれ皮を殺がれ
人々の暮らす家の柱となる運命の木々
彼らの濃厚な生の匂いがこの街には充満している
私は幼い頃から
このむせかえるような木の匂いが
好きだった
今でもこの街を訪れ
材木の匂いを嗅ぐと
幼い頃、親類の家で本ばかり読んでいた
記憶が甦る
*
静岡以外の都市にも
それぞれの匂いがある
横浜港や清水港の潮の匂い
中華街のハッカクと油の匂い
渋谷や新宿の人ごみと生ゴミとラーメン屋のカンスイの混ざった匂い
浜松のラテン?とウナギの混ざった匂い
京都の香の匂い
シンガポールのねっとりとした甘い匂い
マレーシアでのジャングルの中でのオゾンの匂い
(または、街中に突如漂う、鼻を突くドリアンの匂い)
韓国での冷たい雨とアスファルトと
街かどの屋台の匂い
北京での埃の匂い食用油の匂い
デトロイトのつんとした雪の匂い
写真や紀行のように
形に残せない感覚からこそ
存分にかみ締めたい
街の匂いは
都市の「気」と人の営みの集合体
もっといろんな街の匂いを嗅ぎたいと
鼻を鳴らしているhakapyonの
香しき好奇心は止まらない
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