ケイと俺(フィクションです)

 よくわからないが、何かがおかしかった。虫の知らせのようなもの、正確には違うがそんなものを感じた。
 家に帰ると鳥かごがあった、中にいるのはただの鳥だった。いや、キレイな緑の鳥だったのだが、最初に見た一瞬別のものに見えた気がしたのだ。
 「ただいま。」
 返事が無い、どうしたのだろうこの時間なら誰かいるとおもうが・・・。
 今は夕方なのだから誰もいないなら鍵をかけてそうなものだが、鍵は開いていたし、いつも吠えまくる家の犬の声もしないし、なにより、こんな鳥、たしか「相思鳥」という種類だったか、そんなものがいること自体不思議で仕方がない。
 仕方がないので、鳥かごを持って部屋にかえるとそこに見知らぬ男がいた。
 だが俺はそいつが誰だかわかった。
 「久しぶりだなケイ、この鳥はお前か?」
 俺は手に持った鳥かごを持ち上げて聞く。
 ケイは俺が飼っていた・・・三年前に死んだ鳥の名前だ。もし本当にケイなら人になって生き返ったことになるんだろうか。
 「その通りだ、俺はお前を迎えに来た、マコト、お前は今日から死んでいることになる。」
 いきなり名指しでとんでもないことをいうものだ、訳の分からないことが続きすぎて、少し戸惑ってきたがとりあえず話を進めるとしよう。
 「ケイ、俺は死んだのか?俺の家族は何故いない?」
 「お前は死んだ、だからこの家はお前の家ではない、だからここには家族がいない。」
 そう言うと、鳥のケイの姿が消えて、周りの景色も消えだした。
 「そうか、俺にそれを説明するために・・・、じゃあ迎えにきたってことは、まともには死なせてくれないんだな。」
 涙は出なかった、だがそろそろ地がでてきた。
 「それやったら先に言うてや、焦るやん。」
 そのあと、手に持っていた鳥かごも消え、何もない空間で俺には邪悪なものを見る力とそれを世界に同化するための力を与えられたこと、その力を使うための身体もくれること、あと守らなきゃならない規則についても教えられた。

続く。



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