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テーマ:エッチで恥ずかしい話好き!(0)
カテゴリ:業務日報
ひさしぶりに社長に会う。社長はカタカナの「シ」と「ツ」の区別もつかん典型的な大阪の肉食系オヤジで、意味もなく大声で笑いながら「儲け話持ってきたったど!」とヌカすがたいがいの場合は仕事に見合ったごくごく順当な報酬であって決して濡れ手で粟は掴ませてはくれへんのがこのオッサンや。「・・ああ、ありがとうございます」とオレが半笑いで礼を言うと「これでオマエも"ホリエモン"みたいに儲けてくれや」とホンマに誰が笑うねん!という腐れギャグをぶちかました。こう書くと五十を越えたオッサンみたいであるが社長は四十一歳でオレと五つしか変わらんのである。世間には実年齢を上回る「加速オヤジ」というのがいる。若い頃から「オッサン」として振舞っているとある地点からオッサン化にターボがかかってしまい、さらにVシネマでしか見たことないような漫画的なオッサンへと変貌を遂げる。意味なく相手の肩を叩いて笑う。酔うてへんのに顔が赤黒い。車の中が臭い。手の指が不気味に太い。風俗の最高峰はソープであるといまだに信じて疑わない。など。
今回社長から与えられたミッションは「官能小説を読む女性の声を録音する仕事」であった。世の中にはいろんな仕事があるもんや。夏ぐらいまでにオムニバス形式のオーディオCDで6作品ほど制作し秋には独自の販売網で小売りしようと考えているらしい。オレがたまたま録音機器なんぞを遊び半分で持っているのでその部分を仕事に生かせと。ふーん。意外に思ったオレは「それって社長が考えたんですか?」と聞いた。「あったりまえやがな。あえてDVD全盛の時代やからこそ「音声の世界」に魅力があるワケや」・・・おかしい。このオッサンがこんな気の効いたことを立て板に水で話せるわけがない。こないだまでDVDのチャプターのことを「チャクター」と言うとった男である。しかも今までのようにアダルトグッズやエロビデオを販売するのではなく、いわばある種のクリエイティブコンテンツを制作するのであって、このオッサンが性に対してそんなに繊細な感覚をもっているハズがないのである。だいたいこのオッサンなんぞはエロ本でオナニーをする時に性器がドアップに写ったページで射精を迎えるというデリカシーのカケラもない下劣な男であり、ストリップ劇場では臆することなく最前列でかぶりつく。こんなアホ社長とのつきあいもかれこれもう十年になるねんなとしみじみしつつ「わかりました。やったことないけどなんかオモロそうですね」と言うと、社長は急に安心した表情になり「な!ええやろ?よっしゃ決まりや。あとはTくんと企画内容打ち合わせてくれ」というなり無意味にウシャシャと笑いながら席を立った。Tくん。やっぱりか。場所を変えて芸大出の映画マニアTくんの事務所で企画書を見せてもらった。そこにはさっき社長がオレに滔々と語った内容がまるごと書かれていた。 ともあれオレは「淫声録音技師」としての仕事も始めることになった。決められた日程にビジネスホテルに録音機材を持参する。会社が用意するバイトの女性が官能小説を読みながら自慰に耽る様子を声を殺してできるだけ良い音で録音する。それを自宅で音声編集しCDのプレス工場に納品。ここまでが仕事。まずオレに課せられたタスクは機材選びからである。どさくさに紛れて自分が欲しい機材も買うてこましたろ。社長はどうせ順当なギャラしか払ってくれへんのは確実やが、映画好きのTくんと仕事をするのは楽しいし、まぁとりあえず始めてみよか、とTくんと江戸堀のバーで祝杯をあげた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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