基礎編
らんちうの見方(その1)1. はじめに 「凛々しさと優雅さを兼ね備え、品位と骨格が調和した体型に、 美しい模様と色の輝きを持ち、エレガントにあるいは粋な裾味を見せ ながら泳ぐ、そんならんちうを多くの愛好家が追い求めている」と 以前に述べました。この時点では、私なりに一応の魚の見方を述べた つもりでいましたが、これでは余りにも身勝手な表現で初心者の方には 分かりずらいと思い、今回はもう少し詳しく述べてみることにしました。 らんちうの見方については、日本らんちう協会が、その規約の中 (審査規定、魚の見方、1条~7条)で定めていますので、これを 参考に私なりの解釈を加えながら説明します。2. 基本的な見方 (1) 魚の総体の姿とバランス(第1条1項) 1) 「魚の基本姿勢は頭、胴体、尾が最もその特徴を生かし相対的に つりあいの取れたもの」と定義しています。 2) ここでは全体の姿としてバランスがとれているかどうかが見方 のポイントとなります。頭がいくら立派でも、筒や尾が見劣り するようではいけません。 (2) 魚は太く逞しいこと(第1条2項) 1) 「魚の大きさに比例した中で、より太く逞しいものを上とする」と 定義しています。 2) ここでは魚のサイズが同じであれば、より太く逞しいものが 上と言ってますが、この太く逞しいの意味を正しく理解しておく ことが大切です。ただ単に、体格が大きいとか、横幅があると 言うことだけではないないのです。1つの見方としては、目幅、 肩の付け根の横幅、筒の落ち際の横幅が同じぐらいに発達している のが全体として最も太く見えるといわれています。又、逞しいと いう言葉ですが、太いのに加え、頭が四角っぽく良く発達し、腹の 最後部が形良く張り、尾構えがしっかりしているものがより逞しく 見せると思っています。頭の丸いものや腹引き具合の悪いものは 太くても逞しくは見えません。 (3) 鱗の並び色艶が綺麗であること(第1条3項) 1) 「鱗は乱れず一線に並び魚体に比例してなるべく小さいものを上 とし、色艶は赤、更紗に拘わらず、赤の場合は濃赤、黄金色で しかも健康色を放っているものを上とする。白、更紗もこれに 準ずる」と定義しています。 2) 鱗の大きさにバラツキがあり、並びがジグザクになっている 場合は綺麗に見えません。又、魚体のサイズが同じであれば、鱗が より小さいほど綺麗に見えるものです。 色艶は、赤、黄金、更紗、白を問わず、深みがあり、濃い色で、 艶のあるものがより綺麗に見えます。最近は、黄金色よりも濃い 赤がより好まれ、魚体全体が真っ白のものは評価が低くなる傾向に なっています。 (4) 魚の品位が豊かであること(第1条4項) 1) 「魚は貴族的品位を保っているものを上とする」と定義しています。 2) 「品位が豊か」、「貴族的品位」等という言葉は、我々一般庶民には 理解しがたい言葉です。しかし、世の中には、「あの人は品が良い」 とか、「貴族的な雰囲気がある」等と賞される人がいます。らんちう の世界にも、らんちう自身は上品な言葉こそ使いませんが、優雅で 華麗な身だしなみ(体型、模様色彩)と、品のよい身のこなし(尾 捌き)を具えた魚がいるものです。したがって、体型、模様色彩が 野暮ったく、尾捌きが雑なものは位が低くなってしまいます。 (5) 魚の泳ぎ方が軽やかであること(第1条5項) 1) 「魚の泳ぐ姿は優雅にしてしかも軽やかな尾捌きで流動的な動作 をもたなければならない」と定義しています。 2) 堂々とした姿で、舞台の上を優雅で流れるように歩くスーパー モデルのように、洗面器の真ん中を堂々と真っ直ぐに尾を左右に 軽やかに振りながらよどみなく泳ぐ姿が良いとされています。 愛好家のこの泳ぎに対する評価は厳しく、いかにすばらしい体型と 美しい模様色彩を具えた魚であっても、頭を振ったり、体を傾け たり、尾をバタつかせながら泳ぐようでは大きな減点を与えます。 続く