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Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー38【若菜下】

第三十五帖 <若菜 下―2  わかな>   あらすじ

女三宮は年を経ても相変わらず幼いままなので、源氏も娘を育てるように扱っています。
「死期が近づいたような気がするので女三宮に会いたい。琴もさぞかしうまくなっているだろう。」
そんな朱雀院からの要望がありましたので、五十歳の祝いの時に訪問するよう、源氏は計画をたてました。
女三宮の琴はまだまだ人に聞かせることはできそうにない段階でしたので、源氏は毎日熱心に教え始めます。

正月の二十日過ぎころ、源氏は六条院の女性達に合奏させる女楽(おんながく)の宴を設けました。
夕霧も列席して、琴の弦を張って調律し、軽く一曲奏でます。
明石の君の琵琶は名人の域、紫の上の和琴は斬新な響き、明石の女御の箏の琴は可憐で優しく。
女三宮の琴も練習のかいがあって、たどたどしい様子はなく、うまく弾きこなしています。

源氏は夕霧に女性達の音楽の出来をたずねます。
宮廷での演奏に勝るとも劣らないほど皆素晴らしいと褒め、特に紫の上の和琴を賞賛する夕霧。
源氏は得意になって音楽論をとうとうと語りだします。
夕霧は紫の上の奏でる音色を思いながら帰路につきました。
雲居の雁があまり音楽の練習をしていないことが残念ですが、それでも可愛い妻だと思いなおすのでした。

源氏は東の対に行き、紫の上に女三宮が上達したことを自慢します。
あなたがあれだけ教えれば当然、と応える紫の上。
源氏は紫の上には教えることはあまりなかったのに、本当に素晴らしい演奏をしてくれたのを嬉しく思います。

あまりにも欠点がない紫の上は今年、女の厄年である三十七歳。
源氏はよく気をつけるようにさとします。
「あなたはほとんど苦労せずに過ごしてこられた。女三宮のことは多少気になるかもしれませんが、
私にはよりいっそう愛されるようになったことをわかっていますか。」と語る源氏。
「確かにそのように世間では思われているでしょうけれど、私にはとても辛いこの世でした。
厄年のこともあってやはり尼になりたいのです。」と応える紫の上。
源氏は相変わらず許そうとはせず、自分の過去の女性の話などをして紛らわせます。

「夕霧の母・葵上は欠けたところはありませんでしたが、真面目で賢すぎてほっとすることができなかった。
六条御息所はとても情愛の深い方でしたが、会うのに気が重くなるほど気位が高く思い詰める人。
恨まれた私も悪かったのだが、自然に離れてしまった。娘の秋好中宮の世話を一生懸命にしているので、
きっとあの世で許してくれているでしょう。
明石の君は侮りがたい、筋の通った人ですね。」
一時は嫉妬を隠さなかった紫の上が、明石の君と今ではとても仲睦まじくしているのを源氏は褒め称えます。

「女三宮へも上手く演奏できた祝いをお伝えしましょう。」と紫の上のもとから出かけてしまう源氏。
まだ一生懸命に練習を続けていた女三宮の琴を取り上げて、二人は寝所に入りました。

その夜、紫の上はにわかに胸が苦しくなり高熱を発しました。
慌てて戻ってきた源氏が懸命に介抱し、祈祷をさせても一向に良くならない紫の上。
二月になっても容態が変わらないので、慣れ親しんだ二条院に場所を移すことに。
紫の上は何度も出家を願いますが、源氏は「私を見捨てるのですか。」と決して聞き入れません。
女三宮のもとへはまったく通わなくなり、紫の上のいない六条院はすっかり寂れてしまう有り様。
源氏は紫の上の性格の良さを願文に書き、いっそう祈祷に力を入れさせるのでした。

あの柏木は中納言になり、帝からも厚い信頼を得るようになっていました。
いまだに女三宮への思いは絶ちがたく、代わりに姉の女二宮と結婚していましたが、
一段劣る更衣を母に持つ妻を重んじる気になれません。
小侍従を呼んで、源氏が六条院にいない間に女三宮に逢わせるようにしつこく迫る柏木。
「何をしようというのではない。ただ私を哀れとでも思っていただけたら。」
小侍従は困り果てながらも、手引きをする約束をしてしまいます。

四月二十日頃、小侍従は柏木を、女三宮の寝所のすぐ側に入れました。
女三宮は眠っていましたが、男性の気配に源氏だと勘違い。
ところが抱き上げられてその顔を見ると、まったく知らない男性ですっかり動転し、汗もしとどになる女三宮。
連綿と今までの思いをうったえ続ける言葉で、前々から文を届けていた柏木であるとわかりますが、
女三宮は恐くてなにも言えません。
近寄りがたいと思っていた女三宮は、あまりにも可憐で美しく思われ、このまま連れ去ってしまいそうなほど
惑わされてしまう柏木なのでした。

ふと寝入ってしまった夢に、あの唐猫を見て驚く柏木。
あまりのことにぼう然とする女三宮。
「前世からの縁と思ってください。」と、柏木は御簾から猫が飛び出してきたときのことを話します。
女三宮は源氏に知られることを思って、幼子のように泣くばかり。
柏木の衣の袖は女三宮の涙と、自分の涙で濡れそぼってゆくのでした。

恋愛セミナー38

1 源氏と女三宮  年を重ねても
2 源氏と紫の上  この期におよんでも
3 柏木と女三宮  ついに

紫の上が倒れてしまい、惑乱する源氏。
源氏がこれほど脆かったということが顕著になります。
死にかけている紫の上になお取りすがり、出家を許さない源氏。
瀬戸内寂聴氏は「性愛が惜しいからだ。」と断じています。

脆さは危うさを産み、ついに不貞を招きます。
あの春の日の、唐猫が姿を見せた日から6年の月日が流れていました。
その間、柏木は女三宮の姿を心に焼き付けたまま。
姉に代わりを求めてみても、そのときのイメージとは重ならず、思いをつのらせていました。

女三宮のことを、源氏は実際どう思っていたのでしょう。
朱雀院の思惑もあったとはいえ、女楽で教えが一段落した日も、夜離れが続いていた紫の上を置いて女三宮のところへ泊まる。
6年の歳月の間に女三宮は21歳になっている。
47歳の源氏は、女三宮の大人の女性として立つ年齢と幼さとのギャップに、知らぬ間に魅力を感じ始めていたのでしょうか。

紫の上を含めた女性達が、精神的にどんどん自分を追い越してゆく寂しさ。
そのなかでいつまでも、源氏に頼り切っている高貴で可憐な姫宮。
教え好きの本性も相まって、源氏は女三宮に自分の生きがいを見出していたのでしょう。

柏木が源氏から女三宮を奪えたのは何故なのか。
巨大な源氏という存在をものともせず、柏木が思い続けた6年は、夕霧が雲居の雁と離れていた期間とほぼ同じ。
夕霧が岩をも貫く信念で、内大臣のひざを折らせたように、
六条院が留守になるという偶然は、女三宮をあくまで女性として求め続けた柏木の信念の強さが引き寄せた必然。

そして皆、いったいどこへ流れつくのでしょうか。


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