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Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー42【横笛】

第三十七帖  <横笛 よこぶえ>

柏木が亡くなって一年。人々はまだ悲しみが癒えません。
一周忌には、薫の名で黄金百両を寄進する源氏。
事情がわからないままに、ただ有り難く感謝する父・元の大臣。
夕霧も法要を采配し、落葉の宮のこともずっと世話をし続けています。

朱雀院から女三宮のもとに山の幸が届けられました。
「憂い多い世ではない深い山に私も入ってしまいたい。」
そんな文を朱雀院に書いている女三宮に、情けない思いをする源氏。
髪を下ろしても若く美しい女三宮を惜しむ源氏の気持ちは、仏罰を受けてしまいそうなほど。
女三宮はそんな源氏の顔を見ようともしなくなっています。

源氏の周りを這い回る薫は、色が白くふっくらと肥えていて、とても可愛い盛りです。
唇は赤く、目つきは優しげでやはり柏木に似ているのですが、父よりももっと美しく普通の人とは違って見えるので、
源氏は自分とも似通っているように思えます。
歯が見え始めているので、筍をかじっている薫に
「おやおや、おかしな色好みさんもいたものだ。」と笑う源氏。
「あの出来事は忘れられないが生い立つ筍のようなこの子は愛しく捨てることはできない。」
そんな歌を詠みかけても、薫は無心に遊ぶばかりです。

秋の月の美しい夕暮れ、夕霧は落葉の宮のもとを訪ねました。
ちょうど琴をかき鳴らしていたところで、夕霧も和琴を引き寄せて「想夫恋(そうふれん)」を奏でます。
「かの人を思って何かお言葉をいただけないでしょうか。」
夕霧が問い掛けても曲が曲だけに言葉にできない落葉の宮。
「言葉を出すことに勝る思いがあるのですね。」と詠みかける夕霧に、落葉の宮は「想夫恋」を少し奏で、
「琴に言葉を託すことしかできないのです。」とようやく応えました。
しみじみとした静かな楽の音に、落葉の宮の母・御息所は感動し、夕霧に横笛を贈ります。
それはかの柏木が愛用していた品なのでした。

夕霧が三条の自邸に帰ると、格子を下ろして皆すっかり寝入っています。
先ほどの情緒とはうって変わって、たくさんの子供たちと女房が雑魚寝をしている中で、夕霧は一人浮かれて
「こんな美しい月を見ないなんて。」と格子を上げさせ、笛を吹き、落葉の宮を思っています。
妻の座にすっかり胡座をかいて威張っている雲居の雁に、今まで浮気などしてこなかった夫婦仲の良さでは
しかたがないか、と感じる夕霧。

寝入った夕霧の夢の中に柏木があの横笛を持って現われました。
「あなたではない人に残したかったのです。」
誰かを尋ねようとすると、周りに眠っていた子どもが泣き出しました。
雲居の雁も起きだし、泣き止まない子供に胸をはだけてあやします。
「あなたが浮かれて夜歩きをした上に、格子を上げるから物の怪が入ってきたのですわ。」
子供は一晩中泣いていました。

夕霧は笛を持って六条院を訪れます。
明石の女御の生んだ皇子たちがきていて、薫と仲良く遊んでいました。
薫をみると、やはり柏木に似ているようで、源氏はこのことに気づいているのだろうかと思う夕霧。
源氏に落葉の宮のもとでの「想夫恋」の演奏について伝えます。

「女性はあまり男性の気をひくようなことをしない方がよい。清らかな関係でいた方がお互いに良いのではないだろうか。」
源氏のそんな忠告に「ご自分の場合はどうなのだか。」と夕霧は顔色をうかがいます。
贈られた横笛と夢のことを話すと
「それは私が預かりましょう。帝から伝えられた式部卿宮ゆかりの品なのです。」と考え深い顔をする源氏。
源氏は夕霧があの出来事について知っているのかと思います。
柏木が亡くなる間際に源氏と行き違いがあったと語ったことを伝えても、源氏は思い当たる節がないと応え、
夕霧はこんな話をしたことを恥ずかしく思うのでした。

恋愛セミナー42

1 源氏と女三宮    ただ離れたい
2 夕霧と落葉の宮   ゆっくりと思いを伝える
3 夕霧と雲居の雁   妻の座、夫の座

亡き柏木が残した薫は、どんどん美しく生い立っています。
ちょっと美しすぎるから自分にも似ているのではないかと思う源氏。
49才になっても自信家なところは変わらないようです。

女三宮とも相変わらず暮らし続け、諦めきれていません。
源氏には他にもたくさんの世話をする女性がいます。
女性にやさしくかかわりあった人の面倒を見続けるということは、全てを手中に収めたまま手放せないということ。
源氏と離れたい女三宮にはすっかり見限られ、嫌われているようです。

さて、夕霧の亀の歩みのような恋が始まりました。
このとき夕霧28才。
源氏が同じ歳にはすでに華々しい恋をくぐり抜け、須磨・明石にいる頃。
ゆっくり着実に、落葉の宮に近づいています。

源氏が似たような手を使ったのは朝顔の君のとき。
神の花嫁たる斎院を辞して、叔母と暮らす朝顔の君と、夫を亡くして母と住まう落葉の宮。
ともに控えめで、誇りたかい女性。
夕霧の評価は源氏と同じく、周りの女性達からは高い模様。
さて、本命の落葉の宮はどうでしょうか。


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