恋愛セミナー62【宿木】第四十九帖 <宿木 やどりぎ-1> あらすじ帝がまだ東宮だったころに入内した藤壺の女御が亡くなりました。 女御は明石の中宮の権勢に押されていましたが寵愛が深く、帝はその忘れ形見・女二宮の将来を案じています。 女三宮が源氏に嫁いだように、女二宮を世話してくれる頼もしい人物は薫しかないと思う帝。 帝の志しを聞きながらも、薫は気長にかまえています。 「今までたくさんの申入れを断ってきたのだから。大姫に似ていてくださったらよいのだが。」 やはり亡き人のことが忘れられない薫なのでした。 夕霧はこの話を聞き、六の姫を薫に、との算段が閉ざされた気がして悔しい思いです。 そこで六の姫に匂宮が時折、文を届けているのを幸い、こちらへ縁談を進めることにしました。 明石の中宮も「東宮になるあなたが妻を何人も持つのは当然。」と後押しします。 匂宮は堅苦しい夕霧の婿になるのは気乗りがしないのですが、もっとも権勢のある右大臣の 意向をむげにすることもできないと思っています。 八月に六の姫との婚儀が行なわれるとの噂が、中の姫にも届きました。 山深い宇治から出てきてすぐ、このような目にあうことを辛く思い、八の宮や大姫にも面目なく思う中の姫。 それでも、匂宮の前では何ごともなかったかのように振舞っています。 中の姫は懐妊の兆候があるのですが、匂宮は初めてのことなのでよくわからないまま。 六の姫と結婚した後は離れて過ごす夜もあるだろうと、わざと宮中に泊まったりして 今のうちから寂しさに慣れさせようとする匂宮ですが、中の姫には辛いことにしか思えないようです。 薫は匂宮の新しい婚儀の話を聞き、中の姫を慰めに二条院に向かいました。 宇治に戻ってしまいたいと言う中の姫をなだめ、兄のようにさとす薫。 中の姫のほのかに聞こえる声や雰囲気がますます大姫に似てくるのを悲しく思い、 匂宮に会わせたのを後悔しています。 薫は大姫の亡くなった後は、出家したいという気持ちがさらに高まっていますが、 「出家した身では何も言えませんが、私が生きている間はどうかこのままで。」と 母・女三宮に頼まれ、辛いことなどないかのように見せているのでした。 結婚の当日、匂宮は月が高く昇っても六条院へ行こうとしません。 二条院で中の姫を慰めつつ、一緒に月を眺めていましたが、夕霧からの使いがやってきて ようやく重い腰をあげる匂宮。 「山里の松の陰にもこんなに身にしみる秋の風はなかったのに。」一人で月を見ながら詠む中の姫。 女房達が匂宮の結婚についていろいろうるさく言うのを厭い、 「匂宮のお気持ちがどうなるか、静かに見つめていよう。」と決心するのでした。。 恋愛セミナー62 1 匂宮と六の姫 従兄妹同士 2 匂宮と中の姫 夫婦の試練 3 薫と中の姫 亡き人のおもかげ 4 薫と女二宮 帝の信頼篤く 新しい動きが出始めました。 薫への皇女との縁談、そして匂宮の六の姫との結婚。 いっこうに身を固めようとしなかった匂宮と、中の姫との夫婦仲がうまくいっていることや、 堅物の薫に思い人がいたことも発端なのでしょう。 周囲の声をきいても取り乱さないようにと決心する中の姫。 源氏が女三宮を迎えた時の、紫の上の姿にも重なります。 薫が大姫の面影をさらに感じるのも、艶やかさの中に落ち着きが加わった中の姫の成長があるからでしょう。 匂宮が浮気沙汰を繰り返していたときよりも、夕霧の意向を気にかけるようになったのは面白い変化です。 中の姫と一緒になることによって、周囲を見渡し、将来のことを考える余裕が出てきた。 匂宮を東宮にしたいという明石の女御の思惑通りの展開になっています。 幼かった明石の姫が、政治家になってゆく。 その昔、藤壺の尼宮が源氏との間に生まれた皇子を帝にし、権勢を磐石のものにしようと、 楚々とした女性から策略家になっていきましたね。 今放映されている「大奥」でも、春日局が女性に気のなかった家光に、尼であったお万の方を めあわせることで女性への目を開かせ、将軍としての自覚をうながすことに成功しています。 さらに宮家の出であるお万の方には子供を作らせないようにし、徳川家の権勢を守ろうとする春日局が、 上のような視点でみると藤壺の尼宮や明石の女御に見えてきます。 徳川家を藤原家に見立て、合わせてごらんになってもおもしろいかもしれません。 さて、匂宮と六の姫の結婚はうまくいくのでしょうか。 ジャンル別一覧
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