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Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー65【宿木】

第四十九帖  <宿木 やどりぎ-4>  あらすじ

薫は恋心が抑えきれず、また二条院を訪ねます。
中の姫はすぐそばに女房をおいているので、あからさまな言葉を口にすることはできない薫。
大姫亡きあと、幾人かの女性と関ってもなかなか心が癒えないことを訴えます。
「寺とまではいかなくても、宇治にかの人の人形(ひとがた)を置き、お仕えしようかとも考えておりまして。」と薫。
「お気持ちはうれしゅうございますが、人形と聞きますとお祓いで川に流される様子を思い、姉が憐れに感じられます。」と中の姫。
薫の苦悩する有り様に、中の姫はあることを思い出します。

「人形といえば、夏ごろある縁の方が娘・浮舟を連れてこちらにやってきたのですが、亡き方に瓜二つなのです。
後に残った私が憂きことばかりなのに、さらに世間の人の口にのぼるようなことがあっては父に申し訳なくて。」
中の姫の言葉に、八の宮に他に子供がいるらしいと推量する薫。
「大姫に似ておられる方なら寺の本尊にし、親身にお仕えいたします。どうか詳しいことを。」
八の宮の容認していない子供のことを語るのは気の引ける中の姫でしたが、薫の熱心さに
「辺境の地で生い立った娘ですが容姿も悪くないのをその母親が見かねてここへ来たのです。
本尊になれば良いのですが、さあどうでしょうか。」
薫は浮舟のことが気になりますが、中の姫が自分の恋慕をはぐらかそうとしているのだと情けなく思うのでした。

九月になって、薫は宇治へ向かいます。
久しぶりに会った弁の尼君や山の高僧に、山荘を寺にする計画を話す薫。
「死んだ子供をずっと袋に入れて首にかけていた人も仏の方便で袋を捨てて仏門に入った。」と山の高僧は話し、
薫の心がけを尊さを説きます。
薫は寺の図を描いて指示し、早速準備を始めさせました。

その夜、薫は弁の尼君と亡き父・柏木のことや大君のことを話し、中の姫から聞いた人形の娘のことを尋ねます。
「八の宮の奥様が亡くなった頃に、奥様の姪の中将の君という女房と関係され、娘を産んだと聞いております。
八の宮はそのことを疎ましく思い縁を切ってしまわれたので、中将の君は地方役人の妻となりました。
その後、夫が常陸の守になりついていき、先ごろ任地から帰ってきたそうで、中の姫をお訪ねしたとか。
浮舟はとても美しいということです。」
八の宮に縁の娘なら見てみたいと思う薫。
弁の尼君は常陸の守の妻とも親戚なので、薫の意向を伝えると約束します。

薫は中の姫に宇治の山荘を寺にする許しを乞う文を届けます。
万事、薫に任せると返事をする中の姫。
ちょうど匂宮が二条院にいた折で、恋文を交わしている訳ではなさそうだと思いつつ、
どうしても疑う気持ちが残るのでした。

琵琶を弾き、中の姫にも琴を奏するようすすめる匂宮。
はにかんでなかなか弾こうとしない中の姫。
「最近私とよくいる人はつたない技でも見せてくれますよ。あなたのお好みの薫の君には
そんなことはないのでしょう。」と言うと、中の姫はようやく美しい爪音を聞かせました。

こうして匂宮が何日が続けて二条院にいると、夕霧の右大臣がたくさんの供と二条院を訪ねてきました。
匂宮を六条院に連れていってしまうのを、中の姫は寂しい気持ちで見送ります。

年が明け、中の姫の出産が近づきました。
とても苦しんでいるのを聞いて、明石の中宮をはじめとした見舞いが次々にやってきます。
匂宮以上に心配して祈祷をさせる薫。
薫は女二宮の裳着のあと、結婚することになっていますが、それよりも中の姫のことが気がかりです。

同じ頃、薫は右大将に昇進し、六条院で祝いの宴が催されました。
匂宮も招待されましたが、中の姫が心配ですぐに二条院に戻ってしまいまうのを、
夕霧の右大臣はおもしろくなく、不平を鳴らします。

中の姫はようやく男の子を産み、匂宮も薫もうれしく思います。
誕生の祝いが次々に行なわれ、中宮や帝からも祝福のの品が届けられました。
内心不満に思っている夕霧もやってきて、祝いの言葉をのべます。
中の姫が重々しく扱われるのを少し寂しく感じながらも、本来の後見の役目が果せたと満足する薫なのでした。

恋愛セミナー65

1 薫と中の姫     身代わりを求めて
2 薫と浮舟      人形でも
3 匂宮と中の姫    名実ともに

大姫から中の姫、中の姫から第三の娘・浮舟と、薫にとって身代わりの連鎖が続きます。
とにかく、姿だけでもいいから、亡き人をそばに置きたいと願う薫。
何人も代わりになる女性を求めたあげく、人形をとさえ望んだということは、自分の思うさまに
扱いたいという願望なのでしょうか。
山の高僧の話も、人形に通じているようで意味深いものがあります。
薫の嗜好は、フェティシズムに近いのかもしれません。

中の姫と六の姫。
かたや匂宮の一番初めの妻にして子供を身ごもる女性。
かたや美女の誉れ高く匂宮の覚えもめでたく当代一の権力者の娘。
匂宮が振り子のように二人の間を揺れるさまはまさにシーソーゲーム。
夕霧の右大臣は六の姫方の重しとなるべく奮闘。
薫以外、頼りになる者はいない孤立無援の状態で、中の姫は頑張っています。

中の姫が第一皇子になるかもしれない若君をあげた意味は非常に大きい。
身分から言えば六の姫に決して劣ってはいない中の姫は、将来、帝の母になる可能性も。
この点、明石で育ち、地方役人の出である明石の君を母に持つ明石の中宮が、
いち早く反応しているのがおもしろいところです。

薫も身分がさらに高くなり、思い人には子が生まれ、少し気持ちが落ち着き始めたよう。
女二宮との結婚は、薫にやすらぎをあたえるのでしょうか。


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