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Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー66【宿木】

第四十九帖  <宿木 やどりぎ-5>  あらすじ

女二宮の裳着が行なわれ、薫は結婚の相手として宮廷に通い始めます。
臣下の薫に対しての厚遇に、世間ではいろいろと取り沙汰もされましたが、帝は意に介しません。
「父・源氏でも女三宮と結婚できたのは老境にいたり出家を考えはじめてからだった。
私はなんとかあなたを拾うことができたけれども。」
夕霧の右大臣は、落葉宮に語るのでした。

薫は宮廷に通うのが煩わしいと、三条の屋敷に女二宮を迎えることに決め、母・女三尼宮も喜びました。
帝はあまりに急なことと心配していますが、妹である女三尼宮に今後のことを頼みます。
こうして周囲から手厚く扱われながらも、薫はあまり有り難いとは思わず、宇治の寺の完成を待ちわびているのでした。

薫は匂宮と中の姫の若君の生後五十日の祝いに心を尽くします。
二条院の中の姫を訪ね、相変わらず憂鬱なまま、結婚も意に添わなかったと不平を言う薫。
薫の思いあがりにあきれながらも、大姫への思いの深さを感じる中の姫。
けれど、もし大姫が薫が結ばれていたとしても、やはり今回の結婚は避けられそうになく
姉妹共々愛執の悲しみに会っていたのだと改めて思います。
若君を見た薫は、大姫が子供を残していてくれたらと感じますが、それは生きることに
執着を感じ始めたからなのでしょうか。

四月に女二宮は三条の屋敷に迎えられることになり、その前日、帝は宮廷で藤の花の宴を行いました。
楽が奏でられ、薫もあの柏木の残した笛を吹きます。
帝から盃を受けた後も、身分上の決まりごとから、居並ぶ貴族達の一番低い低い席に戻らなくてはならない薫。
女二宮を貰いうけたいと願っていた按察使の大納言は、薫を妬ましく思うのですが、
薫が帝の信頼を受けている以上、どうしようもありません。

三条の屋敷でつくづく見ると、女二宮は非常に美しく、薫は自分の幸運を喜びます。
それでも大姫のことを忘れることはできないので
「この世を去ってから、なぜこの恋に苦しみ続けるのかがわかるのだろう。」と思うのでした。

四月二十日ごろ、薫は宇治へ行き、寺建築の指示をします。
山荘の弁の尼君を訪ねると、見慣れない車が止まっていて、どうやらあの浮舟が来ている様子。
先方には伝えさせず、こっそりと隣の部屋から覗きこむ薫。
弁の尼君が入ってきたので、はにかんで顔を横に向ける浮舟。
気品のある目や髪のはえぎわの様子が、亡き大姫に瓜二つに思われて薫は涙します。

「ここで会えたのは前世からの縁だと伝えて欲しい。」
すっかり浮舟を気に入り、弁の尼君を呼んで頼む薫。
「急なことですわね。」と笑いながら戻ってゆく弁の尼君。
「貌鳥(かっこう 美しい鳥のこと)の声もあの人の声かと聞いて今日は茂みを分けて訪ねてきたのです。」
薫の詠んだ歌を、弁の尼君は浮舟に伝えるのでした。

恋愛セミナー66

1 薫と女二宮  身代わりにはならず
2 薫と中の君  子供が生まれて
3 薫と浮舟    人形として

この世の栄達を一身に受ける薫。
若干25歳で大将となり、帝の一番可愛がっている美しい皇女と結婚する。
身分及ばず、同じような境遇の女三宮をもらい受けることができなかった父・柏木とは雲泥の差です。

女二宮を嫁がせる先として、もっと身分高く、落ち着いた貴族達はいくらでもいたはずで、
按察使の大納言をはじめ不満に思っている者は多かった様子。
それでも帝はまるで憑かれたかのように薫に女二宮を下げ渡します。

考えられる理由は、妹・女三宮が源氏に嫁いだことで不幸になってしまったと痛感していること。
いくら身分が高いとはいえ、大勢の妃の間に後から入ることはいろいろ軋轢を生む。
父・朱雀院の思いの強い妹が身重の体で出家してしまったことが、帝は不憫でならなかったはず。
女三宮と同じく母を亡くした娘・女二宮には、その二の舞をさせたくないと感じていたことでしょう。

女三宮が源氏のもとで不幸になっていると知った朱雀院は、どうせなら柏木に嫁がせるべきだったと後悔していました。
女三宮を恋い慕っていた柏木が薫を残していることは、誰も知らない秘密ということになっていますが、
当時親友だった夕霧もうすうす気づいていたこと。
もし帝や朱雀院が薫が柏木の子だと知っていたら。
怨霊信仰のあった当時、この世に未練を残してなくなっていった柏木の鎮魂を果そうとするでしょう。
そして本来、一生独身で終わっても何の不都合もない女二宮の結婚を急がせることに影響を与えたかもしれません。

柏木が宮廷で一番行いたかった、帝にもっとも愛されている皇女との結婚。
女二宮を迎える宴で、息子・薫が柏木の笛を鳴り響かせたことは、霊魂を鎮めることになったのでしょうか。

さて、薫の求めた人形は、大姫の面影を充分残していました。
初めて垣間見た女性に、前世からの縁などと言い寄る様子は、源氏も顔負けの早急さ。
生きることに執着が生まれ、ますます俗に染まってゆく薫と、人形・浮舟。
薫は彼女を得ることができるのでしょうか。


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