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Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー75【浮舟】

第五十一帖  <浮舟-5 うきふね>  あらすじ

薫は宇治の警護を固くし、外からの訪問者を厳しく見張るよう命じます。
二人の間で惑うことをやめ、宇治川に入水することを決心する浮舟。
薫や匂宮からきた数々の恋文を破り、焼き捨てさせます。
「恋文は思い出として、折にふれて眺めるのが風情あるものですのに。」
浮舟がただ、宇治を離れる準備をしているのだと思う侍従。
「私は長くは生きられないと思うから、あとには残しておきたくなくて。」と応える浮舟。
子が親を置いて逝くことが、深い罪になるということも心をかすめる浮舟なのでした。

匂宮からは「周りにはわからぬように。必ず迎えにゆくから安心するように。」と連絡があります。
警護の厳しさを思い、匂宮が虚しく帰る様を想像し、心を痛め泣き崩れる浮舟。
「気を揉まずに匂宮と定めてお返事を。姫さま一人くらい匂宮さまは空を渡ってでもさらってしまわれるでしょう。」
と右近。
「匂宮と決めたように思われるのが辛い。ここから連れ出してと頼んだわけでもないのに。」

浮舟が返答をしないのを、薫が説得してしまったのかと焦り、匂宮はまげて宇治へやってきました。
ところが、やはり警護が厳しく、文を渡すことさえ容易ではありません。
ようやく匂宮の供は女房・侍従を連れ出し、外で待っている匂宮に逢わせます。
「どうしても逢いたい。薫の君に、誰かが密告したのだろうか。」と匂宮。
「どうぞ今宵はお帰り下さい。何としてでもお力になれるようにいたしますから。」と侍従。

「どこかに身を捨ててしまいたい.。白雲のかかった山を泣く泣く行く私。」と哀しく詠む匂宮。
憔悴しきった匂宮に心動かされて、侍従も泣きながら山荘に戻ります。
匂宮が帰ってしまったことを聞き、ひとりその夜を泣き明かす浮舟。
朝がきても悲しみは消えず、経を唱え、母君を置いてゆく罪の許しを仏に乞います。
匂宮が描いた絵を眺めては、何も話せなかったことを悔い、薫の優しい言葉を思い出しては、逝ってしまう自分が申し訳なくなる浮舟。
「嘆き続けた身を捨ててしまっても亡くなったあとにまで浮名が流れると思うと悲しい。」
中の姫も、母君も、そして妹や弟のことも、すべての縁あった人たちのことが頭をよぎります。

女房たちが京に行く準備をする中、ひたすら人に見つけられずに出てゆくことを考え、眠れないまま朝を迎える浮舟。
匂宮から届けられた切々とした文には
「私の亡がらさえこの憂い多い世に留まらないなら貴方はどこを墓にして恨みを言うのでしょう。」と返します。
母君からも
「夢に出てきたあなたの様子がおかしかったので、祈祷をさせています。妹の出産が近いので私は行けませんが
宇治でも経を読んでいただくように。」と連絡がありました。
「この夜の夢に心惑わさず、後の世でまた逢えることを思いましょう。」
浮舟が返事を書いていると、寺から読経の鐘の音が聞こえます。
「鐘の音の絶えゆく響きに我が嘆きの声をそえ、この命尽きたと母に伝えて。」
今夜は京に戻れないと使いが言ったので、この歌を木に結わえ付ける浮舟。
乳母や右近は浮舟の沈んだ様子を心配して、あれこれ世話をやきます。
浮舟はやわらかく着なえた衣に、ただ打ち伏すのでした。

恋愛セミナー75

1 薫と浮舟    関守として
2 匂宮と浮舟   かなわぬことなどないと

周囲が浮舟本人を置いて先走るシーンです。
浮舟の心が完全に匂宮に傾いたと決め付けている女房二人。
特に侍従は、要は自分が匂宮の情熱に心動いているということ。
主人と同じになって、匂宮と恋を演じているつもりになっている。
かつて女三宮と柏木を橋渡しした女房・小侍従も、柏木と直接関係していた節がありました。
匂宮のそばにいれば、侍従にも機会は簡単に巡ってくることでしょう。

どっちつかずになるよりも、匂宮に決めなさいとさとすのも、そばで美しい匂宮を見られること、
頼れる相手として薫と比べても申し分ないと踏んでいるのです。
匂宮がよくする手、関係した女性を女一宮に仕えさせるという状況も、
しがない女房としては宮廷に上がる願ってもないチャンスに繋がる布石かもしれません。

罪とわかっていて陥る身を持て余しつつ、周囲の自分の立場だけを考えての行動に嫌気がさす浮舟。
薫も、匂宮も、女房も、乳母も、そして母君も、私のことなど本当はわかっていない。
浮舟の寂しく空ろな心を、宇治川の流れは同じ音をそえて響き呼び覚まします。
恋の濁流に身をまかせたように、浮舟の身は、儚く波間を漂うのでしょうか。


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