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Beauty Source キレイの魔法

恋愛セミナー82【手習】

第五十三帖   <手習-3 てならい>  あらすじ

中将は、京へ戻っても浮舟のことが忘れられず、八月になって再び小野を訪れました。
「私の気持ちをお伝えしたくて。」と尼君に訴える中将。
尼君が返事をするようにさとしても、浮舟は何もわからないふりをしています。
「待つという松虫の声を訪ねて来たけれどまた荻原の露のように涙に迷う私。」
切なく詠む中将の歌にも、ひとたび返せばずっと続いてしまうと反応しない浮舟。
「秋の野の露を分けてやってきたのはあなた。草の生い茂ったこの庵のために濡れただなんて。」
尼君は、浮舟の代わりに応えます。

浮舟は、尼君やほかの女房たちが、風流ぶって中将と歌を交わしたりして、自分のことが
に知られるのではないかと心配しています。
笛を吹きつつ、亡くなった妻のよすがにと浮舟を考えていましたが、取り付く島もない様子に、
がっかりして帰ろうとする中将。
「深き夜の月をあはれとは思わない方なのですか。山の端に近いこの庵に泊まらないなんて。」
尼君は浮舟がこう言っていると伝えたので、中将はうれしくなって留まることにします。

中将が笛を吹いたのを聞きつけて、病気だった母親の大尼君が奥からやってきました。
笛に合わているつもりで、得意になって東琴を軽やかに弾き始める大尼君。
「ここにいる姫は美しくても、こんな遊びもしないで引きこもっていらっしゃって。」とあざ笑うので、
中将は興がそがれて、笛を吹きながら帰りました。
それからは、中将が降るように文を届けるのを、浮舟は昔のことと思い合わせて疎ましく思います。

九月になり、尼君は再び初瀬の観音に参詣します。
浮舟を誘いますが、行きたくないというのを尼君は強いて勧めようとはしません。
「はかない身のままこの世を過ごしている憂い多い私は二本の杉がある初瀬古川を訪ねはしません。」
浮舟の手習いに書いた歌を見て、「二本とは、逢いたい方がおいでなのね。」という尼君。
言い当てられて顔を赤くする浮舟を見て、尼君は返します。
「古川の杉のもとを知らないようにあなたのことはわからなくても、亡くなった娘のように思っていますよ。」

尼君たちが出発した後、中将から文が届きますが、浮舟は見ようとしません。
少将の尼は気持ちを引き立てようと碁を打とうと誘い、浮舟が強いのを知って驚きます。
夜になって、尼君がいないのを知っている中将がやってきました。
中将がいろいろと思いを伝えても、応えようとしない浮舟。
「山里の秋の夜のあわれ深さなら、物思い多いあなたにもおわかりでしょう。」
少将の尼は浮舟に返事をするよう急きたてます。
「憂い多いなどと思いもしないで過ごしている私を物思い多いなどとあなたは見るのですね。」
浮舟の独り言を少将の尼が伝えたので、中将は喜び、ますます熱心に言い寄ります。

少将の尼が中将の相手をしている間に、浮舟はあの大尼君の部屋に隠れてしまいます。
いびきをかいていた大尼君が、咳にむせんで起きてきて、浮舟がいるのを
「怪しい。これは、誰だ。」と執念深くじっとみているのが、鬼に食い殺されそうなほどの恐ろしさです。

情けない身の上になってしまったのを改めて嘆き、昔を思い出す浮舟。
「本当の父の顔を知らないままに東国で育ち、偶然にも京で中の姫にお会いすることができたのを
匂宮が現われて離れてしまうことになった。薫の君のおかげでようやく憂いも晴れようとしていたのに
匂宮に心を傾けてしまったのは、本当に怪しからぬことで、すべてはこの縁から
私はさすらうことになってしまったのだ。」
匂宮への熱は冷め、薫のことを慕わしく思い返します。

こうして生きているのを知られるのが辛い一方で、薫の姿を見たいとも思ってしまい葛藤する浮舟。
夜が明けて、横川から僧たちがやってきて、僧都が女一宮の病気平癒のために京にのぼると
話しているのが聞こえてきました。
浮舟は尼君がいないこの機会に、僧都に尼にして欲しいと、大尼君から伝えてもらうのでした。


恋愛セミナー82

1 少将と浮舟  ひとり相撲

引き続き俗なる尼たちの独断先行です。
女房たちが男性を引き入れてしまうさまを、浮舟は身に染みて知っているので警戒しています。
それでも、つい中将の歌に応えてしまったり、浮舟の流されやすい性格なのでしょうか。
また「二本の杉」などと、薫と匂宮を暗示する言葉を発してしまうのも、まだ心が迷っているということ。
すぐに気がついて指摘してしまう尼君も、嗜みがないですね。

出家したあとにも、管弦を楽しむことはあったようです。
源氏が髪を下ろした女三宮に琴を聞かせるシーンなど(「鈴虫」)、情緒がありました。
大尼君の威勢良くかき鳴らす東琴や得意げな様子は、中将でなくとも恋の高ぶりを冷めさせるものでしょう。

今にも侵入してきそうな男性を避けるために、隠れる場面もいくつかありましたね。
薄衣を脱ぎ滑らせて部屋を出た空蝉(「空蝉」)、屏風の後ろにキリギリスのように潜んでいた大姫(「総角2」)。
浮舟の隠れ処はここでも大尼君。
鬼に身を喰らわせようとした浮舟ですが、今度は恐ろしさを感じるのは、正気になっているためでしょう。
こんな境遇に身を落としたのは匂宮のためだったとさえ、ようやく冷静に考えられるようになっています。
誠実な薫の方が、魅惑的な匂宮よりも良かったとさえ思えるのは、俗なる尼たちの影響でしょうか。
これもやはり、恋の渦中で考えるはずのことだったのですが。

ようやく、自分のことを自分で考えるようになった浮舟に出家のチャンスが訪れます。
浮舟は首尾よく思いを遂げることができるのでしょうか。


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