Beauty Source キレイの魔法

2005/10/14(金)08:22

恋でキレイに9~源氏物語で恋愛セミナー【葵】~.

源氏物語で恋愛セミナー(135)

恋する相手がとても移り気な人だったら。 そしてその相手への思いがずっと続いてしまったら。 今日は美しい女性が魔物になってしまう様をご覧いただきましょう。 彼女に鏡を見るような思いを抱く方、かなりいらっしゃると思います。 第九帖 <葵 あおい> あらすじ 桐壺の帝は皇太子に位をゆずって桐壺院(きりつぼいん)になり、 藤壺の生んだ皇子を東宮(とうぐう・皇太子)にしました。 弘徽殿の女御は皇后になりましたが、水も漏らさぬ桐壺院と藤壺の関係がおもしろくありません。 新しい帝の誕生により、六条御息所の娘が新しい伊勢の斎宮(さいぐう)に決まりました。 御息所は源氏のつれなさに耐えかねて娘と一緒に伊勢に下ろうとします。 源氏は桐壺院から叱責をうけますが、葵上が懐妊したのでさらに足が遠のいてしまいました。 同じ頃、弘徽殿の女三宮(おんなさんのみや 三番目の皇女)が新しい斎院になるため、 賀茂の祭りが華やかに行なわれることになりました。 源氏もその列に加わるので、つわりで悩む葵上も周りのすすめで見物に行くことにします。 ところがすでに車を置く場所がありません。 葵上の従者はむりやりある車を追い払いますが、それには六条御息所が乗っていたのです。 源氏はその争いの話を聞いて御息所のもとを訪ねますが、彼女は会おうとしません。 源氏はあまり気にすることなく、そのまま若紫と祭り見物にでかけてしまいました。 見物する場所はあの源の典侍が譲ってくれたので二人は歌を交わします。 祭りの後、葵上は物の怪にとりつかれ、祈祷をしても回復しないうちに急に産気いてしまいます。 皆が動揺するなか、今までどうしても出てこなかった物の怪が源氏を呼びました。 それが六条御息所の生霊だったので源氏は驚愕。 葵上はそのあとすぐ男の子・夕霧(ゆうぎり)を産み、人々はやっと安堵します。 誕生の祝いが盛大に行われ、葵上と源氏はようやくお互い素直に愛情を表せるように。 ところが源氏が宮廷に参代中、葵上は容態が急変し亡くなってしまいました。 人々が悲しむ中、あちこちから弔問の手紙が届き、御息所からも歌がもたらされます。 源氏は生霊のことをほのめかす歌を返し、御息所は打ちのめされます。 源氏が葵上の死を非常に嘆いているのが、兄・頭の中将は意外でしたが 「本当は正妻として妹を大切に考えていたのだ。」と感じます。 源氏は喪中でなれない独り寝を続けるなか、式部卿宮(しきぶきょうのみや)の娘・ 朝顔の君(あさがおのきみ)と思いやり深い歌を交わします。 源氏はしばらく二条の屋敷に帰ることができませんでしたが、 久しぶりに会った若紫はとても大人びて美しくなっていました。 初めて関係を持った朝、若紫はなかなか寝所から出てきません。 若紫の父・兵部卿宮にも結婚したことを知らせますが、 若紫はすねて源氏をすっかり嫌っています。 源氏にはそれもいとおしく感じるのでした。 右大臣は・葵上が亡くなったので、娘・朧月夜を后にできないならば いっそ源氏の正妻にと願いますが弘徽殿は反対します。 源氏は朧月夜を忘れられませんが、いまは若紫に夢中であるうえに、 御息所のことを踏まえてこれ以上女性の恨みをかうことはしないでおこうと思うのでした。 恋愛セミナー9 恋と結婚に関する学びが存分に表現されている帖です。 1 源氏と葵上        やっと巡ってきた春もたちまち霧散してしまう二人。 2 源氏と六条御息所   執着が逃げるほどに強く。 3 源氏と朝顔の君     手紙だけを交わす仲。 4 源氏と若紫       ようやく大人の関係へ。 5 源氏と朧月夜      夫婦にはなれない二人。 源氏に会えない御息所の怨念は、いままで葵上に直接は発揮されていませんでした。 葵上も源氏にないがしろにされているというある種の仲間意識があったためでしょう。 ところが子どもを宿したことで葵上のもとへ源氏の足が向いた途端、 御息所のすさまじい嫉妬が膨れ上がり、車の争いで爆発するのです。 夕顔が亡くなる前に、源氏は心の中で御息所を夕顔と比べてしまいましたが、 その直後に生霊がやってきます。 夕顔をとり殺したのもやはり御息所。 訪れが間遠になった源氏、六条に来る途中で夕顔のいる五条に 足止めされてしまう源氏の周りをまとわりついた御息所の魂が、 自分をおとしめる源氏の思いに反応してしまったのではないでしょうか? 【源氏物語(巻2)新装版】 二人までも、嫉妬の炎で殺してしまった御息所。 そのことで殺した相手を源氏にとってかえって忘れがたい存在にし、 自身を疎ましく恐ろしい魔物に押しやってしまうのです。 恋する相手を思い通りにしたい思い。 これは相手と自分の境がなくなってしまっていること。 与えることは限りなくできても、奪うことは決してできない。 御息所の聡明さはそのことに気づいているのですが、 心をコントロールすることができないのです。 やっと寄りそうことのできた源氏を葵上は死によって手放さなければなりません。 Rereaseすることで源氏の心に強く残りはするのですが・・・。 さて、他の女性からの嫉妬と産褥で亡くなってしまうのは、以前にも例がありますね。 桐壺の更衣と若紫の母です。 浮気をした当人ではなく、その相手を責めることは古今よくあります。 当人を責めることは最初に選んでしまった自分の過ちを認め、当人と境のない自分自身を責めるということ。 このことに落ち着きのなさを感じるためなのでしょうか? 弘徽殿の皇后も桐壺院ではなく、桐壺の更衣に、そしてその息子である源氏に 生霊とみまがう執念を向けますし、若紫の父宮の正妻も若紫をののしり続けます。 共通しているのは、はじめこの義母たちは夫に「母代わり」を頼まれていたこと。 母代わりになって子ども(源氏・若紫)を思い通りに育てようとしていたのに、 出鼻をくじかれているのです。 葵上がなくなったことで正妻候補となった御息所と朧月夜。 のちに朝顔の君も候補と目されます。 源氏がこれらの女性を正妻にしなかったこと、 子どもである夕霧を託すことをほのめかしさえしないのは賢明だと言えます。 葵上が亡くなった直後に、源氏が若紫と結婚したことはとても象徴的です。 今までの全ての関係を清算したい、心から寄り添う関係を結びたいという強い思いの表れでしょう。 若紫という女性ただ一人を大切にできれば、源氏のこれから後の苦悩はないかもしれないのに。 源氏の愛を求め続ける御息所と理想の愛を探し続ける源氏。 御息所と源氏は、相手を思いどおりにしたいという強い欲望において、似たもの同士。 決して実現することのない自分の考えと寸分たがわぬ存在、 自分の影との愛を求めるかのように二人の終わりない彷徨は続くのです。 あなたの求める愛は、どんな形をしているでしょうか? ☆☆おかげさまで現在セミナーは56まで進むことができました。 皆さまのコメントがとても励みになっています。 今日初めて読んでくださった方も、改めて読んでくださった方も、 よろしかったらコメントをいただけるとうれしいです。 必ずお返事させていただきますのでよろしくお願いいたします。☆☆

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