Beauty Source キレイの魔法

2006/03/07(火)18:21

二度目の手紙6~One more kiss&Dear Frankie~.

二度目の手紙(9)

O, our dearest Gerry, Good, good ...(300 times) luck to you. On our memorial night and day, God and a full moon with you. *** シャーロットたちとフランキーが前を歩き、 僕はリジーと後ろからついて行く。 ふたこと、みこと、互いの距離をはかり合いながら、 ためらい勝ちに言葉を交わす。 彼女が、ストレンジャーが何ものであるかを知りたがった。 そのとき、僕は何故か、幼いときから自分の中で思い悩んでいたことを 訊いてしまいたい衝動にかられた。 「どうして、彼は君たちを捨てたりしたんだろう?」 どうして、どうして父は母から、僕から去ってしまったんだろう? 彼女は、捨てられたのではなく、逃げてきたのだということ、 子どもの耳の原因がその夫だと、かすかな声で答える。 母が僕に見せないように努めていた心の痛み。 嘘の手紙を書いてまでも、夢を壊すまいとする彼女。 痛みを越えて、なお精一杯、子どもを守ろうとする聖母たち。 「いつだって、真理は姿を現してくれているんだ。ただ、気づけばいい。」 ああ、そうでしたか、やはり、あなただったんですね。 幼子の心に、この言葉を刻み、今日、蘇えらせてくれたのは。 「フランキーは、幸運な子どもだ。」 やり方が、たとえ間違っていたとしても。 そして僕も、とても幸せな子どもだったんだ。 先を進んでいた三人の歩みがゆっくりになり、 僕はアリーから眠りこけてしまった子どもを受け取った。 「最後まで、今度こそきちんとね。」 別れ際にシャーロットがささやく。 重みのある、子どもの熱い身体をベッドに横たえ、 部屋にある地図に見入る。 どれほど父親が来るのを心待ちにしていたことだろう。 船はぽっぽとやってくるんだ あの波たちを越えてね 子どもがふいに目覚める。 起き上がって、ゆっくりと声を出した。 まるで初めてさわった楽器に息を吹き込むように。 「もどって、くる?」 僕は、かつてくり返し続けていた言葉を、ここでも静かに使った。 共に答えを見つける旅をしてゆくだろう、同志の前で。 部屋を出たとき、僕は待ち受けていた彼女の視線をすくう。 家族として時間を共有できた甘やかな気持ちと。 事情が変わったとつぶやいた謎かけへの答えと。 まだ完全には終わっていない関係への躊躇いと。 僕の中で、彼女は聖母の引き写しに過ぎないのか、 またはウィッシュリストを残していった女性の代わりに? まるで少年時代を生き直したかのように、共に過ごした子どもと同じ 輝く瞳に惹かれただけなのか。 考える僕の背中を、とんと天使が押してくれる。 同時に彼女の背中も、やってくる。 互いにフェード・アウトしなければならないと、わかっていても。 いまこのときは。 【SAMSARA(輪廻転生) EDT SP 30ml】 5へ   7へ ************************************************ 本日、21時14分より満月が始まりますね。 メールマガジンをお届けいたしますので、ご登録いただいている皆さま、 よろしくお願いいたします。 「『恋でキレイに~源氏物語で恋愛セミナー~ 』 源氏物語を題材にした現代に通じる恋愛セミナーを中心に、ヨガ・心理学・ 手作り石鹸・自然療法・文化などを交え、楽しくキレイになる方法を。 新月と満月の日に、あなたも生まれ変わってみませんか? 」 毎月、満月と新月の始まる時間に発行予定。 ご興味をお持ちいただいた方は、よろしかったらバックナンバーをご覧下さいませ。 『恋でキレイに~源氏物語で恋愛セミナー~ 』

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