ルソー展でパリの気分を味わってから、
オペラ座の怪人フリークのお仲間がお薦めの映画「敬愛なるベートーヴェン」に。
芸術家の芸術家たる所以、ファントムがファントムである理由をこれでもかと見せてくれる作品。
「敬愛なるベートーヴェンHP」
小学生のとき、伝記ものが好きで、図書館のシリーズは全巻追い、
家でも何冊か購入してもらっていましたが、やはり、芸術家の中でも何度も読み返すに足る、
ドラマティックでエキセントリックな人物は彼をおいて他にはないでしょう。
どうやらその頃から、ファントム好みの傾向が培われていたようです。
冒頭のベッドに朝日がさしてくるシーンでは
「もっと光を」のセリフをつい期待してしまったり(こちらはゲーテでしたが)
学生のころ、合唱つき交響曲を覚えたことや
二メートル以上は高さのある踏み台の上で一時間立って待っていたこと、
そのときのマエストロ、大友直人さんのファントムぶりや
音楽の高まりと共に劇場が一体となってゆくカタルシスを思い出したり。
ベートーヴェンがインスパイヤされた音符を拾い集め、楽譜に起こしてゆく作業と、
時に尊敬を、時に厳格を持って彼を支えるアンナ・ホルツには、
岡本太郎さんの語り散らした言葉をまとめて世に問うた岡本敏子さん、
ファントムの天才性を見抜いて全てを受け入れたマダム・ジリーが重なりました。
クリスティーヌは、どちらかというと甥っ子のカールかな。
わざと相手の弱点をつついて突き落としてから、
ひざまずいて自分の方に引きつけようとするのは、
コンプレックスの塊である弱い方、もしくは子供の心を持った芸術家によくある性癖。
大空振りで三振バッターアウトか、場外ホームラン、“To be or not to be”な生き方も
後先を考えられない、今此処この一瞬に賭ける方の本性。
スーザン・ケイの「
ファントム」をお読みの方は、建築コンペティションのエピソードにも
心動かされたのではないかなと。
それにしてもベートーヴェンの「その橋を渡ってしまえば楽になる」といった類のお言葉、
それは非常に危険なトラップ。
どちらのマエストロも、もう決して戻れないようにしてしまうのですから☆
橋を渡ってしまったわたくし、やはり今年もファントムな作品で
アートな日々の幕を開けてしまうこととなりました☆
予告で拝見したパリ・オペラ座バレエ団出演の映画・「オーロラ」、参りますとも☆
「オーロラHP」
abeさん、映画観賞&プチオフ会をありがとうございます☆
さて、映画から帰って夫がつけていたTVで
「ニューイヤーフィギュア2007」を観ておりましたら、
ラストにちらっと映った神崎選手、オペラ座の怪人の衣装で、
なんと小道具(大道具?)に等身大の鏡を使っていらっしゃるではないですか☆☆☆
日本選手権のフリーの演技では、高橋選手の舞台バージョンのオペラ座の怪人は
本当に鬼神のようで、誰がどんな演技を完璧に決めようとも
一切寄せ付けない高みに飛翔され、ファントムと呼ぶにふさわしい凄みを感じたものでしたが、
その直前に映画バージョンの曲で演じられた神崎選手のフリーも、
ジョエル&ジェラルドの作品をとてもリスペクトしてくださっていることがありありと見えて。
京都大学の学生でもある賢才な方が、院に進んでもスケートを続けると決心されるに当たって
「人の心に残る演技をしたい」と映画の方を選んでくださったということに
とても好感をもったのですが、エキシビションバージョンを見逃していたのが本当に残念。
鏡を使って、いったいどんなファントムを演じておられたのでしょうね。
拝見したのはほんの2秒ほどでしたが、凝視して捕らえた感じでは
鏡の中に入っていこうとされていたような・・・☆
神崎ファントムにも、今後とても期待です☆
【トリノ五輪 フィギアスケート CD】
年末に届いた劇団四季会報・ラ・アルプには
「高橋大輔さん、氷上の『オペラ座の怪人』で、NHK杯優勝」の記事。
「仮面を脱ぎ捨てる仕草で演技を終えた高橋大輔さん・・・」
「特に『
ポイント・オブ・ノーリターン』にのせて飛ぶ五つのジャンプに
拍手は鳴り止まない・・・」
「シーズン直前、高橋選手は四季の『オペラ座の怪人』を観劇・・・」
「その時のファントム役佐野正幸さんは『あんなに優雅で美しい四回転は見たことがない。
自分も演じる際『
ポイント・オブ・ノーリターン』はかなり重要な場面だと感じていて、
如何に乗り切るかが毎回の課題。そのナンバーを勝負所として
五つのジャンプを跳びきったことは、彼が一つの壁を乗り越えた証拠。
見事にファントムの心情をドラマとして表現していましたね。』・・・」(ラ・アルプ1月号より)
全身全霊をこめて、観る者を魅了し尽くし奪い去るシーン、
やはり舞台のファントムも、もう戻れない橋が大きなポイントと。
高橋選手がこれほど成長されたのも、挑み甲斐のある音楽の力の影響も強いでしょうね。
高橋さん、神崎さんがお二人ながらファントムになり切って
「オペラ座の怪人」が表彰台に並び、エキシビションで舞われる日が来ますように☆
四季のオペラ座の怪人も、今度はお二人のいらっしゃる関西に降臨されますし、
あれほど劇場で映えるよう隅ずみまで神経の行き届いた作品はめったにないのですから、
あらゆる舞台に立つ方々と、その舞台を愛する方々が連動して
足を運ぶことになるのではないかと。
フィギュア熱が高まる昨今、映画関係者さまもスポーツ界、芸術界における
かの作品の影響力の大きさをそのままにしておく手はございませんわね☆
【本年も変わらずファントム・イヤー
そろそろ劇場でお会いしたく存じます☆】
「二人のマダム・ジリー&二度目の手紙」
「オペラ座の怪人日記」
「演劇・映画・文学談義」