2009/07/02(木)21:35
オーラの泉・入門の経緯・白鵬翔さん2
白鵬関と相撲の出会いには様々な出来事が重なっているようです。
国「この日本の相撲という存在を知ったのは、いつ頃だったんですか?」
白「えー…まあ本当にお父さんは世界中を周るんですけど、小さい頃…5,6歳の時ですかね…
大相撲の雑誌とかがあったんですよ…そこからだな…」
国「家にあったんですか?」
白「ありました、はい」
国「そこに興味というのは?」
白「…のは、18歳か…15歳くらいの頃ですかね…」
国「あ、『ちょっと面白いな』と思い始めたんですか?」
白「衛星放送です、NHKから…」
国「TVを観てたんですか?」
白「はい」
国「その時、憧れていた力士とかっていうのは、どんな方なんですか?」
白「やっぱりあの…貴乃花…兄弟横綱…はい」
国「はい…でも、その兄弟横綱がいなければ、もしかしたら
興味を持たなかったかもしれない?」
白「…かもしれないですね」
国「でも、子供の頃、遊んでいたスポーツが…何か違うらしいですね?」
白「ええ。バスケットボールをやっていました」
国「バスケットボールですか?」
白「はい」
国「その当時…モンゴルではバスケットボールが流行っていたんですか?」
白「流行っていましたね、あの…ちょうどマイケル・ジョーダンが1回引退して
また戻ってきた頃で…みんながやっていましたね」
国「あ、そうですか…へえ…」
白「…まあ一応…全国大会で3位…銅メダルなんですけれども」
国「あ、そうなんですか!あ、成績も残しているんですか」
白「はい、残してます☆」
国「じゃあもしかしたら『もうプロになろう』みたいな気持ちもあったりしたりしたんですか
バスケで」
白「まあ夢はありましたね」
国「夢はありましたか…」
白「はい」
国「それが急に…相撲に変わってゆくわけですよね?」
白「そう…まあモンゴル相撲もありまして…本当に両方、もう大好きでしたね…
でも、うちのお父さんは『あんまり早くからやらない方がいい』っていう話がありまして…」
国「モンゴル相撲は、まあ遊び程度で、じゃあやっていたということですか?」
白「そういうことですかね…」
国「それで日本に渡ってきたんですか?」
白「はい☆」
国「凄い賭けに出ましたね☆」
白「ただその…軽い気持ちで来たんですけどね」
国「日本に軽い気持ちで来たわけですか!」
白「はい☆」
国「『まあ…相撲やってもいいかなー』位だったんですか?」
白「そうですね…取り合えず…『その国に行ってみたい』というのが強かったですね」
国「そんな…そんなスタートなんですよ…驚きですね☆やっぱり違う国に来ると…
それなりの決意を持って来るのかなーと思ったんですけど…」
白「…じゃなかったですね☆」
国「面白いですねーこれは…」
白鵬関が所属するのは、墨田区の宮城野部屋。15歳で相撲を習うための研修旅行として
来日されたときの写真は、お仲間の中でも華奢で色白の少年の姿。
3ヶ月の滞在で7人のメンバーが次々とスカウトされても
白鵬関には全く声が掛からなかったそうですが、ご縁ができたのは
モンゴルへ帰る前日の夜のこと。
白鵬関の師匠・熊ヶ谷親方のお話
「あの…要するに『モンゴルの力士が4人残っているんだけど
誰か1人、選んでもらえんか?』というて来たんです、急に電話があってですね…
で、僕は要望で『若くて背がすらっとした子がいないかなー』と言ったら
『はい、そういう子だったら1人いますよ』ということだったので
『早速、すぐ連れて来い』と。見ないまんま、そのまま連れてきたわけですね、東京の方に。
私、東京に居ましたものですから電話1本だったんですね、はい…」
1本の電話で入門が決まったとき、身長175cm、体重62kgだったそうです。
熊ヶ谷親方のお話
「だから…その時はびっくりしましたね…『え!この子?』って…
『いやーこんな小さい子、大きく強くなれるのかな?』と最初はびっくりする位…
それ位の…小さかったですね…」
***
美「可愛い☆」
国「先ほども『何となく日本に来た』みたいなことを言っていたじゃないですか☆」
白「はい☆…まあ本当…今、親方が言っていたように電話1本だけで…もし親方がそこで
実際に自分でね…大阪だったんで…大阪に来て見ていたら…
僕を選んでくれなかったんじゃないかなと思うんです」
国「なるほど…電話1本で条件を言って『それだったら1人いるよ』っていうことで
東京に呼ばれたわけですね、横綱が」
白「もう本当に…全部の全部の噛み合わせが良かったんですね。
あの…ちょうどうちの部屋で、もう1人モンゴル出身のお相撲さんがいまして…で、
1年先輩なんですけれども…で、『その力士よりも年下がいい』と親方に言っていただいて…」
国「『年下がいい』と…」
白「はい。で、『身長は高い方がいい。細いのは後から何とかなる』と。
そういう電話だったらしくて…」
国「なるほど」
白「その…7人おって、3人がプロに選ばれて入って、4人残っていたんですよ。で、
『もう明日帰る』と。で、その前の晩の日に電話をいただいたんですね」
国「『明日帰る』っていう風になった時っていうのは、横綱は
『あ、もう駄目だな、もうモンゴル帰るんだろうな』と思ったんですか?」
白「いやもう本当に、両親にお土産を買って、もう荷物も全部準備して…」
国「あ、そうですか☆日本のお土産を両親に買って『よし、じゃあ明日帰ろう』と
…思ったら晩に電話が来て…『東京行ってくれ』と」
白「もちろん、3人が先に選ばれて東京に行っているので『是非!』ということで…」
国「当時の親方は…『よし、条件揃った!』と思って本人に会ったら…
『小っちゃー!』と思ったらしいですよ☆『ええ!強くなるの?』と思ったっていう…
ま、会ってたら本当に大変なことになってたかもしれないですね。
本当に次の日、お父さんとお母さんにお土産を渡していたかもしれないですものね」
白「そうですね、本当に何時間で…もう夜だったんですけど…
何時間で運命が変わったっていう…」
国「そうですね…運命がその何時間で変わったわけですね…」
白「はい…もう朝に飛行機だったんですけど…」
美「人生って面白いわね☆」
国「本当ですね…それは…あの、15歳っていうことは
身長もまだ伸びていってたんですか?」
白「そうですね。今、92(192cm)…あります」
国「92あるんですか!…で、行った当時が…」
白「175、6(cm)ですね」
国「相当、伸びましたね!」
白「相当、伸びましたね☆」
国「な、な、な、何ですか、やっぱ牛乳ですか☆」
白「そうです☆本当にそうです」
国「本当にそうですか!牛乳を毎日…」
白「3リットル飲んでましたね」
国「3リットル!…大変でした?太るのは」
白「だから最初は、その…あんまり稽古させてくれなかったんですね。
『もう食べて、食べて』みたいな…」
国「痩せちゃうから…『とにかく食べろ』と…それはきつくなかったですか?」
白「だから…変な考えになりましたね…何か…『嫌われてるのかな?』みたいな☆」
国「そうですよね。稽古をしてくれないけど『とりあえず、食っとけ』と☆
それは思いますね☆」
白「思いましたね☆」
国「『何なんだろう』って…『お前、稽古しなくていいから、食っとけ』って…
『おかしいなあ…』みたいに思いますね」
白「思いました」
美「でも…本当に…痩せていらしたときと、全くいま違う顔、別人の顔ですね」
白「そうですか」
美「私ね、痩せてる時の…最初の方に映ってた…(左の)こっちの方を向いていた
少年の顔を見たとき『え?』っと思ったのは…
昔、双葉山(1912-1968 『相撲の神様』と呼ばれた大横綱)にね、お会いした時に…
伝説の双葉山親方…あの方がね、もう晩年でしたけどね…
もう引退してずいぶんなられてからだけど…お目にかかったときの
あの時の顔によく似てたんですよね。
『あれ?双葉山さんの若い頃に似てるわ』と思ってたんですよ。
そう言われたこと、ありません?」
白「…たまにあります…」
国「あーそうですか…」
美「ねえ…」
国「双葉山さんの名前が挙がったとき『あー…』と言われましたけれど…」
白「35代横綱、双葉山…はい…昭和の名横綱ですね…」
国「え?…結構、好きな…」
白「好きですね、はい」
美「そうですか…」
国「…っていうことを言われると、ちょっと嬉しいんじゃないですか?」
白「嬉しいですね☆」
美「いや顔がね…似てらしたのよ…本当に…あの方も人格的に立派な方でしたよ。
本当にね…穏やかで威張らなくてね、まさに横綱の風格のある方だったですよ」
国「やっぱりその…横綱の風格の中には優しさっていうのはついているんですね」
美「…とか、礼儀正しさとかね…悠揚迫らざる…デンッとしたね…あれは…そうですね…
それをお持ちですよね」
白「そうですか☆」
美「ええ。白鵬関もお持ちですよ、そういうところ」
国「なるほど…『辞めたい』と思ったこととか、なかったですか?」
白「…まあ、そういう時もありましたけれど…」
国「何とか乗り越えて…」
白「だからその…やっぱりお父さんの存在が大きかったかな…その…このまま、もし帰ったら…
『お父さんが恥をかくんじゃないか』という…そういうのがありました」
美「横綱でいらしたからね、モンゴルの」
白「『その息子が帰ってきた』っていうようになったら
ちょっといい顔できないなっていうのがありましたね」
国「それはもう、あれですか…モンゴルではお父さんは相当、有名なわけですよね?」
白「そうですね」
国「その息子が日本に行ったというのは、新聞だったりニュースとかになったりしたんですかね、
その当時は」
白「まあ…なったんじゃないですかね…」
国「なるほど…」
美「でも、お偉いですね。自分の辛さよりもお父さんの顔に泥を塗っちゃいけないという
…つまり、お父さんの立場をまず優先的にお考えになったっていうことは立派ですよね」
国「そうですねー…ご両親の教えの中での印象的な言葉っていうのは何かありますか?」
白「まあやっぱりその…お父さんはあまり言わないので…お母さんの方はね
『その国の水を飲めば、その国のルールを守りなさい』っていうのが…
そういうのが印象がありますね」
美「まあ日本で言う『郷に入れば郷に従え』っていう…」
白「はい」
続きます。
「オーラの泉の日記」