團十郎さん主演の歌舞伎に。
幕間合わせて10時間に及ぶ通し狂言を体験することができました。
「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」
年末ドラマの恒例として親しまれてきた忠臣蔵、
(実際に討ち入りのあった12月に合わせるように
テレビ放送で目にすることが多かったのですが、
今年は新たに制作されなかったようですね)
歌舞伎の舞台は、どこかで観たことのある場面に、
いくつかのストーリーが並行して進められてゆきます。
将軍綱吉公の元禄時代に実際に起こった事件は、
歌舞伎の中では南北朝時代、足利尊氏公の執政下という設定となり、
「松の廊下」は「足利館松の間」に、
浅野内匠頭は塩冶判官高定(えんやはんがんたかさだ 橋之助さん)、
吉良上野介は高武蔵守師直(こうのむさしのかみもろのお 左團次さん)、
大石内蔵助は大星由良之助(おおぼしゆらのすけよしかね 團十郎さん)に。
歌舞伎の舞台をご覧になると、作品によっては、
つい最近起きた出来事などをすぐ取り入れた台詞が聞けたりするのも
愉しいのですけれども、武士の支配する時代とはいえ
太平の世の討ち入りというセンセーショナルな出来事を、
時事ニュースのごとく伝える舞台は当時、観客に
熱狂的に迎え入れられたことでしょう。
近年、討たれた側は実は賢公で善政を行っていたということも
ここ地元では新聞等で忠臣蔵が語られる際に言及されていますけれども
舞台では、年末のドラマなどと同様、徹底的な悪として描かれています。
さて、長丁場の劇場での1日は、お食事も大きな愉しみの要素。
今回は、通し券に昼・夕の食事がついたお得なチケットを
事前に申し込んでありましたので幕間に劇場内レストランへ。
お昼は、鰆の塩焼き、卵焼き、鶏肉の牛蒡巻き、カキ&エビフライ、
お吸い物、サラダ、紫蘇巻きラッキョウ、オレンジなど。
夜は、湯葉揚げ、蓮根の南瓜はさみ揚げ、大根&里芋&南瓜の煮物、
紅葉の餅麩、白子の酢の物、肉団子、鮭の塩焼き、ルビーグレープフルーツなど。
それぞれ、美しい器でいただきました。
ラストの討ち入りの場では、空いていたお席に外国人の方々が
たくさん座っておられて。
日本人の心情を理解する上で、この物語は
かなり重要なテキストになっているようですので、ほんの短い場面でも
有名な討ち入りを舞台でご覧になりたい方がいらっしゃるのでしょうね。
全てが終了し、すっかり夜になった街へ。
一回の、それも鑑賞で相当に体力が必要とつくづく思えた舞台、
これをひと月も続けられる俳優の皆さまのタフさに驚くばかり。
海老蔵さん、仁左衛門さん、團十郎さんが主役の歌舞伎を観ることが出来た今年、
ささやかながら私にとってはビンテージイヤーになったようです。
「歌舞伎鑑賞の日記」