Beauty Source キレイの魔法

2011/06/03(金)08:00

時計じかけのオレンジ 覚え書き 

演劇談義(46)

小栗旬さん主演の舞台を2月に鑑賞。書き留めた言葉をみながら 錯誤はあるかと思いますけれども、感想などを。 【舞台の内容に触れますので、ご覧になりたくない方はどうぞスキップなさって下さいね】 足を運んだのは、刈谷市総合文化センター。まだ新しく、 初めて行ってみたのですが、客席から舞台の観易いホールでした。 「時計じかけのオレンジ」は、映画も、原作もみたことのないまま鑑賞。 冒頭、似通った衣装とメイク、背丈の役者さんたちが4人並んで登場しても、 ありありと分かるアレックス=小栗さんのオーラは、その名前も存じ上げないときに シェイクスピアの舞台で拝見したときと同じ。 知性がはみ出し溢れたあげくの制御不能の悪逆非道の未成年、アレックスは 連ドラなどでは、まずあり得ないようなすこぶるつきのギャングぶりで、 このまま見ていていいのかしらと思われる場面もたくさんありましたけれど、 下品にも醜くもならないのはストイックに絞られ尽くした美しいスタイルのためでしょうか。 本当に立っておられるのが不思議になるほどの線の細さでしたけれど、 その原因のひとつではないかと思われたのが、非常に悪趣味、もとい この作品に相応しい幕間。 造語をこれでもかと繰り出され、舞台の上で許されるギリギリの、 五感の耐え得る限界点に近いあたりまでピーンと張った神経が、 ようやく一息つけると思った幕間の始まる寸前に言い放たれたのが 脳内矯正中のアレックスが、第二幕が始まるまで、ずーっと、そのままでいるということ。 ほぼ99%女性の観客は、第九にのせた彼のうめき声を聞きながら、 物語から一歩も離れられずに、20分ほどのブレイクを取ったのでした。 科学者の施すこのマッドサイエンスは、メスなし麻酔なしのロボトミーかなと。 目を覆わずにはいられないような惨劇は、距離感のある映像と、 ベートーヴェンの調べによって衝撃がすこし緩和されてはいましたけれど、 アレックスと同時に、施術を受けているような体験ではありました。 神経の糸を翻弄された舞台のラストは、2つ。 出版された当初の原作や、映画ではカットされた方を 復活させる試みなのだそうで、くたくたになった神経が ほんの少し安らぐラストでした。 この舞台で初めてライブで拝見したのは、武田 真治さん。 何役もこなしておられたのですけれども、特にアレキサンダーという悲劇の人物は、 前方の席から見ても聴いても、ボイスチェンジャーをかけているのかしらと思われるほど 老いの表現が見事でした。また作品を拝見したいなと思います。 「蜷川シェイクスピア観劇の日記」 「藤原竜也さんの舞台の日記」 「美輪明宏さんの舞台の日記」 「演劇談義の日記」

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