ガレの晩年のガラス作品群にルーブル美術館の方も感嘆したというコレクション展示室へ。
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(マリー・アントワネットの時代、ロココ絵画を堪能できる
ヤマザキ・マザック美術館が当地にオープンしたのは2010年。
絵画のみならず、ガレなど花器や家具のコレクションも充実、
美しい館内で満たされたときを過ごせるのを愉しみに、今年も企画展・
「エマイユの煌き」を鑑賞、その余韻覚めやらぬうちに
ヤマザキマザック美術館さんより「ブロガー募集」のメールを拝受。
「コンスタントにブログを更新している、美術館で開催されるブロガーデーに参加後、
一週間以内に展覧会の紹介をするブログをアップできる」などの応募要件のもと、
昨年に続いて幸運にも、閉館後の静かな美術館でスタッフの方のお話を聞きながら鑑賞、
一定の条件を守りつつ、館内の撮影をさせていただくことができました。
ブログ用の0.3Mの朧な画像とメモ書きと記憶に頼った拙文ではございますけれども、
麗しい美術館の魅力を少しでもお伝えできれば幸甚に存じます。)
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ひとつひとつの作品を全方位から眺めることのできる展示室は静かなアクアリウムのよう。
ガレ作「蜻蛉文脚付杯」は、死を前に友人たちに贈られた作品のひとつで、
他はベージュに蜻蛉が映し出されているのに対し、この作品のみが青いのだそうで、
さらに蜻蛉の姿は2体、実体と、その幻影がまるで飛翔するようにあしらわれています。
機械技術が飛躍的に発達し、外観がすべて、人間さえも物質のひとつであり、
生の終了をもって全ては無に帰すという考えが蔓延するなかで、死に際した芸術家は、
ありふれた花や虫や鳥さえも美にしてしまう研ぎ澄まされた異国の手業と感性に触れて
心なぐさめられ、己の内なるファントムを昇華する指針にしたのでしょうか。
ガレ作「松文花器」
ガレ作ペン皿「緑色の善良な小市民」
赤と青に見える器は7つの色が重ねらているそう。
繊細にカットされたガラスの色の層を数え確かめることも。
ガレ作「海藻文花器」
鮮やかな色合いと華麗なカットというイメージもあるアールヌーヴォーのガラスですが
ヤマザキマザック美術館のコレクションは落ち着いた雰囲気のものが多数。
特に「海藻文花器」は「死を意識して」作られたのだそうで画像ではこの色合いですが
展示室では様々な角度からライトがあてられ観る場所によって雰囲気がどんどん変わる
ガレの生と死に対する臨み方が刻々と変化してゆくのを現すような興味深い作品です。
死を前にした作品といえば、学生時代に行った確かカナダで、ピカソの最晩年の、
黒一色の人物の線描展を鑑賞したことがあるのですが、ギリギリと締め付けるごとく
生への執着が全面に押し出された作品群に圧倒され、やや辟易した記憶があって。
同じく死を前にした作品に囲まれていても、なぜかこのガレのコレクションの空間では
心やすらぐのです。
ガレのほかにドームやティファニーの作品も。
不安定にみえるガラスの器ですが、建物そのものが耐震構造なことと、展示ケースにも
最新の耐震技術が施されているのだそうです。
夢のように楽しい時間は、ヤマザキマザック美術館の
心意気を最初に感じた大通りの路上のロダンにご挨拶して、終了。
皆さまも素敵な時間が過ごせますように。
ご覧いただきありがとうございました。
「ヤマザキ マザック美術館 公式HP」
☆ 名古屋駅から地下鉄で7分、新栄駅の直通エスカレーターで美術館内に入れます。
「アントワネットの文机の日記」
「オペラ座の怪人の日記」