2006/10/30(月)10:37
鉛筆大根の悲劇
昨日の夕方、花子と一緒に夕飯の買い物に出かけた。
ジョニーを買おうとお豆腐売り場に行くと、厚揚げ番長の横に「あられあげ」と書かれた見慣れないパッケージが。
「大根おろしとポン酢でいただく…」と書かれたそれは、一口サイズの薄あげで、いっぺんに心奪われた私はさっそく一つ買ってみることにした。
そしておろし用の大根を探しに野菜売り場へ。
大根おろしに使うのは半分もあれば充分だったが、大きくて立派な大根がとても安かったので「そうだ、明日は鶏大根にしよう」と思い、一本買うことにした。
その後花子の陰謀で、レジに並んだ時には、カゴに入れた覚えのないフルーツや洋菓子がずいぶん増えていたが、私もおなかがすいていたのでフルーツとお菓子の誘惑に負けてしまい、そのまま会計を済ませた。
そして、家に帰って…。
お刺身やお味噌汁の準備を済ませ、大根をおろそうと切ってみると、首から半分くらいまでの芯の部分が直径2センチほど黒く腐っている。
これはギョウカイでは(八百屋業界ですよ)「エンピツ」と呼ばれる現象で、外から見ただけではプロでも分からない傷みなのだ。
外側はとてもきれいで、葉もちゃんとみずみずしいのに、中心部分から腐ってくる。
真っ白な中心に黒い芯が入っていて、ちょうどエンピツのような状態になっているのでこう呼ばれている。
腐るほどひどくなくても、点ほどの黒い芯があるものもエンピツと呼ばれる。
成育途中の温度による障害であることが多い。
私は実家が八百屋だったので、こういうことはよく知っていたから、点くらいのものならそこだけよけて使ってしまうが、今回のものはちょっとひどく腐っているので、そういうわけにはいきそうにない。
あられあげは、残念だが翌日のお楽しみ、ということにした。
そして今日、朝から買い物があったので、ついでに大根も交換してもらおうと袋に入れ、財布の中に昨日のレシートが入っているのをちらりと確認してスーパーへ。
サービスカウンターで事情を説明し、レシートを見せる。
すると店員のお姉さんがレシートをじっと見つめて困ったようす。
え?と思って私もレシートを覗きこむと、そこには昨日買った大根が載っていない!
一瞬にして背中を汗がだーーっと流れる。
お店を勘違いしたか?
いや、そんなことはない。間違いなく昨日ここで買ったのだ。
昨日は他の店へは行っていない…。
そうだ、レジの若いお兄さんが、大きな大根がなんど立てかけてもカゴにうまく収まらなくて、持ち手とカゴのふちに挟んで立てかけていたのを覚えている。
花子と顔を見合わせて「くすっ」と笑った記憶もある。
ええっと…おかしいなぁ…昨日、あの平台に積まれていたのを買ったんです。
間違いなく買ったんですよ…あれぇ?おかしいなぁ…。
そんなことを言いながらレシートを見ていると、少し年配の店員さんがやってきて、事情を聞いてくれた。
「うーん、なにか他の商品に打ち間違えたのかもしれませんね。お取替えいたしますよ。」
その店員さんは笑ってそう言ってくれたのだが、レシートに書かれているのは買った覚えのある商品ばかりだ。
「ここに載っていないっていうことは、私はお金を払ってないってことですよね…。じゃ、私、新しく買いなおします。」
もう、どうしていいか分からなくなって、私はそう言った。
しかし、店員さんは
「いえいえ、こうして商品も持ってきてくださっているんですし、レジはうちの間違いでしょうから、交換させていただきます。」
そういって、新しい大根をくれた。
でも、正直なところ、難癖つけて商品を騙し取ったようで、とても後味が悪かった。
家に帰ってその話をすると、太郎には「おかん、今度からレシートちゃんと確かめてから行けよ。」とあきれられた。
殿に至っては
「それさぁ、黙っていたらただで半分は使えたわけで、持って行かずに新しいの一本買ったほうが得だったんじゃないの?」
なんていいだす始末。
だけど、たまたま店員さんが打ち忘れた商品に欠陥があったなんて、そんな偶然、誰が予想するだろう。
そして、もしもレシートを確認して、そこに大根が打たれていないと分かったら、その半分使える大根は黙ってもらっておいて、新しいのを買うのが正しいのだろうか…。
これでよかったのかなぁ…。
結局のところ、どうするのが正解だったのか今もよくわからない。
まだまだ主婦の道は極められそうにないワタシである。