偏屈たぬきのへそまがり投資日記

2016/08/29(月)20:35

自社株買いより株式持ち合いが有効

チラシの裏(97)

最近ハマり続けているBABYMETAL。今度は、アメリカの有名ロックバンド”RED HOT CHILI PEPPERS”の英国アリーナツアーに帯同だとか。  世界的な躍進を続けているのはBABYMETALチームの才能と情熱と努力のたまものなのはいうまでもないところだけど、  アイドルはこういうもの、メタルはこうあるべきとかの常識にとどまることなく革新的な形を作り上げたこともポイントだったのだろう(その辺も才能と情熱と努力があってこそなのだろうけど)。  さて、世の常識というものは、ホントに思考停止のもと。  ということで、今回は、株式会社の資本政策の常識を疑うということをしてみたい。  資本効率を上げる有効な手段とされている”自社株買い”。  一方、日本式経営の悪弊のように扱われている”株式持ち合い”。  両者を比較した時に、圧倒的に”株式持ち合い”に軍配が上がるなーと思うので今回はそのあたりのことを。 1.自社株買いの効果  頭の体操をするうえで、以下のようなケースを設定してみます。  A社の財務内容   総資産:100億円   株主資本:50億円(自己資本比率50%)   純利益:10億円(ROE20%)   株式数:1億株(1株資産50円、1株利益10円)   時価総額:100億円(PBR2倍、PER10倍、株価100円)  ここでA社に10億円の余資があって、それを(市場からの)自社株買いに充てるとすると、  自社株買い後のA社の財務内容   総資産:90億円   株主資本:40億円(自己資本比率44.4%)   純利益:10億円(ROE25%)   株式数:0.9億株(1株資産44.4円、1株利益11.1円)   時価総額:90億円(PBR2.25倍、PER9.01倍、株価100円)    ※時価総額は10億円のキャッシュアウトがあることからの想定。 2.株式持ち合いの効果  このA社に、財務内容が同等で取引関係のある(または将来可能性のある)B社があり、10億円の余資を活用して(市場から株式を購入する形で)相互に株式を持ち合ったとする。   A社、B社の財務内容   総資産:100億円   株主資本:50億円(自己資本比率50%)   純利益:10億円(ROE20%)   株式数:1億株(1株資産50円、1株利益10円)   時価総額:100億円(PBR2倍、PER10倍、株価100円)  株式持ち合い後のA社、B社の財務内容   総資産:100億円   株主資本:50億円(自己資本比率50%)   純利益:11.1億円(ROE22.2%)   株式数:1億株(1株資産50円、1株利益11.1円)   時価総額:100億円(PBR2倍、PER9.01倍、株価100円)    ※先方の会社の利益の10%(株式の所有割合)を自社の利益に加えてます(配当性向100%を想定。配当性向が低い場合には内部留保に伴う株価上昇が期待され、その場合は厳密にはBS直入の部分もあるけど頭の体操的に簡略化)。    ※時価総額は想定。 3.自社株買いと株式持ち合いの財務指標的な比較  自社株買いの場合には、単に財務レバレッジを上げているだけ。自己資本比率が下がり、ROEが向上するけど、純利益は変わらない。  一方、株式持ち合いの場合には、余資が他社の株式に置き換わるだけで自己資本比率は変わらない。この場合、他社の利益の一部を取り込むことにより純利益も向上。そのことによりROEも向上。  断然、後者の株式持ち合いに魅力を感じるなー。 4.株式持ち合いは”経済連携協定”  株式持ち合いは、もともとは、取引関係の強化の意味合いが期待されているもの。  それは、資本の論理的にも当然で、相手の会社の利益の一部が自社の利益にも参入されるということになるので、  全く資本関係の無い会社と比較して取引条件が同等または、ほんの少しだけ不利という程度なら、株式を持ち合っている会社との取引を行うのが合理的となる。  国家間での経済連携協定と類似のものではと思う。  安定した関係の中で、信頼を築き知恵を出し合って、互いに成長して行けば良い。  なので、さらに言えば、同じ株価なら、”自社株買い後のA社”より”株式持ち合い後のA社”の株を買ってみたいと思う。きっと、長期的には゛株式持ち合い後の゛A社株のほうが有望だよね。 5.感想など  戦後の日本型の経済システムを築いた人たちは、株式会社制度にしろ、自分たちが豊かな経済・社会を実現するための道具としてうまく工夫して活用していたのだと思う。  それが、バブル崩壊の混乱の中でことごとく否定され、その結果、日本の強みは失われ、いつまでたっても経済が上向きにならない。  その1つが株式持ち合いではと思えてならない。  株式持ち合いの弊害としては、ガバナンスの形骸化ということがよくいわれる。  というか、気になるのはガバナンス面のみで、そこだけに、やたらとこだわって株式持ち合いを否定するのだけど、  持ち合っていればガバナンスが働かないなんて、それこそ思考停止では。 ※肝心の結論部分に誤記があり修正しました(赤字部分)。(8月28日11時20分)  誤:”自社株買い”に軍配が上がる  正:”株式持ち合い”に軍配が上がる   ※ランキングサイトに登録してみました。 にほんブログ村 にほんブログ村

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