2016/09/03(土)19:23
昔の会社役員は株主と運命共同体だった
またまた、へそ曲がり的な話をチラシの裏に。
先日の日記で、
”自社株買いより株式持ち合いが有効”
と題して、昔の日本型経営システムのうちで”株式持ち合い”の優れた側面について書いてみたのだけど、
今回は、昔の日本型経営システムの時代の会社役員が慣行で役員就任時にそれなりの株数を購入・保有しており、会社の業績・株価を落ち込ませないことに強いインセンティブを持っていたことを取り上げてみたい。
1.日本型経営システムの時代の会社役員の自社株保有
日本型経営システムが色濃かった時代、上場企業の役員の多くは社員からの昇格だった。
多くの上場企業では、社員から役員への昇格時にかなりの株数を購入する慣行があったように思う(記録的なものがないのでおぼろげなのだけど)。そして平取締役から常務・専務と昇格する際に更に買い増し。
時には、社員としての退職金を全て注ぎ込む、またはバブル期の高株価時代には社員としての退職金では足りず更にローンを組んで購入せざるを得ないこともあったようだ(それにしても、バブル時にローンを組んで自社株を購入せざるをえなかった役員の皆様は御愁傷さまでした)。
これって、万一会社の業績が悪化して株価が暴落すれば、役員の人生設計が崩壊しかねないほどのインパクト。
社員と役員の報酬の差が今ほど大きく開いていなかったことも考えあわせれば、昔の役員ってちょっと不憫。
2.ストックオプションとは比較にならない厳しさ
今の時代の、役員へのインセンティブといえば、ストックオプション。
ストックオプションは、株価が上昇すれば利益を享受するという、楽しみな方向だけの、ある意味お気楽なもの。時には、権利行使時の発行株数の増加により一般株主との利害が相反することも。
株価が下落しても大損するわけではないので、一か八か的な高リスク経営にもなりかねない。
それと比較して、昔の会社役員が人生設計を左右するほどの多額の身銭を切って自社株を購入する慣行は、経営の失敗が許されないという方向でも働く、強烈なインセンティブ。
まさに、株価が下落すれば損失を被る一般株主とも運命共同体だったと言えるのでは。
3.感想
今の自社株買い・ストックオプションのコンボは、お手盛り感満載。昔と比較して、役員の報酬水準も大きく上昇しており、持てる者がさらに貪るための仕組みにも見える。
ひるがえって、株主の方向を向いていなかったと評されることも多い日本型の経営システムなのだけど、
実は、今以上に株主と会社役員が運命を共にしていた、という側面もあるのでは。
まあ、日本の成長を支えたシステムだけのことはあるように思う。
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