2017/10/22(日)13:49
バイアスこそが利益の元
ㅤ今年のノーベル経済学賞は、行動経済学のリチャード・セイラー教授。
人の行動は不合理なんだよ、というところに着目した経済学。
従来の経済学では、理論の単純化のために、「完全競争市場」という前提を置くことが一般的。
「完全競争市場」では、
・均一の商品に対し、売り手も買い手も大勢いる。
・全ての情報を全参加者が瞬時に正確に把握している。
・全ての参加者は自分の利益(効用)を最大にするために常に合理的な行動を取る。
というような、実に美しい世界が想定されている。
これの株式投資バージョンが、「効率的市場仮説」。
”多くの市場参加者が自らの情報と知恵と情熱をかたむけて株式市場に参加していて、株式市場はかなりな程度効率的にできており、偶然以外で市場参加者が市場平均を超えるリターンを出すことは出来ない”
といった感じで、効率的市場仮説を受け入れるならアクティブな投資をしても意味がない。
だけど、実際の人の行動というのは、行動経済学で分析されているように、合理的には出来ていない。
人の行動は色々なバイアスのもとでなされており、だからこそ、株式市場にも利用可能な歪みが残されているはず、
と私なんかは思うのです。
ということで、今回は色々なバイアスについて書きたいと思ったのだけど、
なんと、素晴らしく、分かりやすく整理されているブログを発見!
〇勝てる投資家になるために - 行動ファイナンスのきほん
ファンドマネージャーの小松原周さんの”仙人の祈り”というブログからです。
このブログは、他の記事も秀逸なものが多いので勝手ながらお気に入りに追加させていただきました(※リンクがご迷惑な場合には一報いただければ削除いたします )。
色々なバイアスについて書こうと思ったのだけど、
この小松原周さんのブログ以上には整理できそうにないので、少し引用させていただきます。
バイアスは、”認知エラー”と”感情バイアス”に分けられるということで、それぞれ以下のようなバイアスが挙げられるとのこと。
〇認知エラー
1.保守性バイアス・・・無意識のうちに最初に予想を立てたときに使用した情報に重点を置いてしまう。
2.確証バイアス・・・自らの見方に一致する情報のみに注目し、相反する情報は無視する。
3.代表性バイアス・・・代表性のある考え方(ステレオタイプ)によって、情報を主観的なカテゴリーに分類する。
4.コントロールバイアス・・・実際以上に結果をコントロールできると感じ、主観的な成功確率を高く考える。
5.後知恵バイアス・・・後講釈で結果を予想どおりであると解釈する。または、予想を結果に合わせる。
6.アンカリング・・・A社株は来月までに1,000円に達するというように、数字を基にターゲットを決め、それを過度に意識してしまう。
7.心の会計バイアス・・・同じお金でありながら、資金の出所や用途によって扱いを変えてしまう。
8.フレーミングバイアス・・・質問の仕方によって答えが変わるように、情報の加工の仕方によって、受け取り方が変わる。
9.利用可能バイアス・・・簡単に思い出せる情報やイベントが、優先して意思決定に利用される。
〇感情バイアス
1.損失回避バイアス・・・リスク回避的でなく損失回避的になる。損失による効用の減少が、利益による効用の増加よりも大きくなる。
2.自信過剰バイアス・・・リスクを過小評価し、成功確率を過大評価する。
3.自己責任バイアス・・・成功はすべて自分の功績だと考え、失敗は他の人のせいにする。
4.自己コントロールバイアス・・・短期的な満足と、長期的な目標がバランスしていない。
5.現状維持バイアス・・・価値を高めるための変更をせず、現在のアロケーションのままにする傾向がある。
6.Endowment bias・・・(相続資産など)自分が保有する資産の価値を高く評価する。
7.後悔回避バイアス・・・後悔したくないという思いから、大衆迎合するための行動を取る。
小松原周さんのブログには、それぞれのバイアスに対する対処法なども書かれていますので、とても参考になります。
ここから先、私の感覚ですが、、、
市場は常にアンカリングバイアスに支配されていると思うし、時に損失回避バイアスで株価が大きく下振れすることがあるように思います。
市場平均に勝つためには、こういうバイアスを逆手に取ることが重要かなと思います。
・・・・
読み返してみると、この日記こそ、権威者を有難がるようなバイアスや、コントロールバイアスや、自信過剰バイアスに毒されていますね。。。人間、そういうものです。
※投資は、損しても得しても自己責任で!
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