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「小さな花宇宙」そして それから「老いふたりの小宇宙」

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ホスピスの日々を共に生きて~

September 14, 2017
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平成28年10月8日(土曜日)

ホスピス47日目


日付が変わって間もなく、看護師SWさんが来室

SWさんは8月23日、このホスピスに転院してきた時にお世話くださった看護師さんでした。

「眠っていても耳は聞こえているのでたくさんおしゃべりしてください」と言い残し

出て行かれた姿に、私は今夜が最後のような気がしました。


rain

入院してからの夫は若い頃の思い出を話すことを喜びませんでした。

元気だった頃はよくおしゃべりしました。古いレターに書いてあることを持ち出して
笑い興じました。そんな時の夫は「本当にそんなこと書いてあるの、信じられないね。
キザなこと書いて、若気の至りってこのことだね・・・」などと言いながら
照れくさそうに笑うのでした。
余命告知以後は夫が昔の頃を思い出すことは辛いことなのだと思うようになりました。
思い出話は元気だからこそ楽しめるものなのです。限られた命しかない者にとって
昔の思い出ほど辛く哀しいことはないのだと私は感じるようになりました。

rain




耳は聞こえている・・・という言葉に促され、私は枕を並べて語り掛けました。

そして今夜が最後かも…との想いで、思い出話を始めました。




夫との不思議な縁の始まりをゆっくりゆっくり話しだしました。大学時代の友情が次第に

思慕の念となり、若者らしい素敵な美しい恋をしました。

卒業後はそれぞれに課せられた複雑な背景をもち、「必ず結婚しよう」

「何年後に結婚しよう」など、具体的なプランを描くことができない事情を背負っていました。

二人の人生の始まりは「歩けるところまで歩こう」でした。長い別離の生活が続きました。

「辛く、寂しかったけれど別れて過ごした期間が二人にとって必要なことだったのよ」

「あの期間が二人の土台をしっかり固めてくれたと思うの、あなたもそう思うでしょう」

「根っこがしっかりしていれば樹木は倒れない」って、あなたはいつも言っていたからね。」

夫に語り掛けながら二人が辿ってきた50余年の年月を私は独り話し続けました。




彼が養家を去り、私の方も貧乏暮らしの養父・母と弟の生活の見通しもでき、

ようやく結婚への希望を持つことができました。

結婚の日も住む家さえ決まらないのに、少しずつ少しずつその日の準備をしました。

「あなた、二人で買った最初のお買い物なんだか覚えていますか?」

それは津軽塗の夫婦箸と箸箱でした。貧乏な二人にとって津軽塗のセットは

高価すぎる買い物でした。



養家を出た彼は無職、列車の清掃、塾講師のアルバイト、生家の家業の手伝いをしながら、

これからの生活を模索しました。二人とも貧乏でした。

私まで職を失うことはできないので別居結婚でした。

「最高学府を出た者がすることではない」と夫は知人になじられました。




「結婚後の48年間はさらに紆余曲折の道のりでしたね。でもいつも幸せだったね。」

私たちはどんな時にも「共に生きている。共に暮らしている」そのことさえ実現できて

いればいつも幸せでした。幸福の基準は人それぞれですが、不幸の物差しを

私たちは持たなかったように思います。


二人の幸せだった歳月を長い時間をかけて夫に語り掛けました。今夜の夫はこうした二人の

思い出話をきっと共に喜び嬉しく聞いてくれると思いました。


~・~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~
                ~・~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~


「次はレターを読みましょうか。」「たくさんのお手紙の中で特別嬉しかったところですよ」

「あ、そうだわ、ボイスレコーダーに遺しておきたいわ」

彼からの手紙は1000通を超えた分量でした。ず~っと保管していました。

病気になってからはそれをいくつかに分けて綴じたものを幾冊か手元に持ち込んでいました。

レターを読みながら夫の表情を見ると

「えっ、ほんとにそんなこと書いてあるの・・・少し頭がおかしかっ

たんじゃないかな?」
そんなこと言っているような気になりました。そして、

夫はいつものように照れくさそうなそれでも嬉しそうな優しい表情でした。

私は、間もなく夫が逝くなどと少しも思うことなく、すっかり嬉しい気持ちになって

レターを読み聞かせました。私の声の背景に夫の寝息はすやすやと乱れることなく確かな

息遣いがボイスレコーダーに遺っています。

「ほかの綴りを取ってこなくちゃ」、

そう思いながら私は夫により添って眠ったようです。

~・~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~
                ~・~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~



気が付いて時計を見ると4時をかなり回っていました。1時間以上は眠ったようです。

体を横向きにして夫の首に手を絡ませ抱き寄せました。

うなじに伸ばした手に夫の温かさが伝わってきました。



夫は私が目覚めるのを待ってくれていたのでしょうか、

それから間もなくでした。夫は私の腕に抱かれて逝きました。(合掌)




若い頃の彼からのレター(この時、二人は24才でした)

「mawako ! 今日、岡山の街を歩きながらこんなことを考えました。
私とmawakoの関係で最も幸福であるのはmawakoが死ぬ時に私がそばにいてあげられるか、
私が死ぬ時にmawakoがそばで看取ってくれることだということを考えました。
つまり、どちらが先に死ぬかわからないけれど、死ぬときに私はmawakoの、mawakoは
私の名を呼びつつ、胸に抱かれて昇天できることがお互いの最高の幸せだと思いました。
(1966年6月21日)


rain


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Last updated  September 14, 2017 12:00:28 AM
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September 13, 2017

平成28年10月7日(金曜日)

ホスピス46日目(その2)


3,4日前まで

「座りたい」「起き上がりたい」「ゴロゴロしたい」とアクティブな動きを求めたのに、

10月5日にはあんなにはっきりとおしゃべりできたのに。

それ以降はすっかり体力が落ち、弱まってしまいました。



~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


その日は風の強い寒い日でした。独り遺った私は住まいを移し初めての冬でした。

既に降雪が何度かあり、雪道は凍てつき足元に注意しながら歩いていた時でした。


突然、体の中から突き上げられるように一つの情景がよみがえりました。

ゴロンゴロンと横転を繰り返し、3回転してようやく私のベッドに横たわった時の

夫の嬉しそうな表情でした。満足した時に見せる夫特有の表情でした。

その瞬間、私の中に一つの確信が生まれました。

「夫は私のベッドで一緒に眠りたかったのだ! 」





~・~・~・~・~・~・~・


夫が「今夜も手をつないで寝てほしい」「具合が良くないの、今夜は風呂へ行かないで
一緒に居てほしい」と言うようになり、私は夫のベッドの転倒防止柵をすべて取り除き、
二つのベッドを今まで以上に高低差と隙間をなくし、ダブルベッドのようにしました。
その3日後から夫は私のベッドへの移動を始めました。
9月28日、30日、10月2日、3日と4日間その動きを執拗に繰り返しました。


夫がゴロンゴロンを繰り返すのを・・・私はず~っと今まで
「まだまだ元気があることを知ってもらいたかったのね。」
「それとも身の置き所もなくなる苦しさで動かずにいられなかったのね。」
そのように思っておりました。


そうではなかったのです。

夫はただただ私のベッドに来て一緒に休みたかったのです。

「mawakoのベッドで今晩は一緒に休もうか」そう声を掛けたら夫はどんなに

喜んでくれただろうか。

気持ちを解ってあげたなら何度も何度も挑戦して体力を使い果たすことはなかったはず、

夫は私が気づくのを期待しながら何度も何度も繰り返しゴロンゴロン横転を繰り返したのです。

いや、きっとそうに違いありません。

それでなければ夫の病状と笑顔の辻褄が合いません。


~・~・~・~・~・~・~・



夫はすでに「死ぬ薬が欲しい」「もう死にたい」と言うようになっていました。

吐き気、全身の倦怠、高熱、癌の激痛、そうした中で最後まで自己を失いたくないと

言っていました。



そのような辛い状況下であのよう意欲とパワーを引き出せたのは何だったのだろうか、

ひたすら妻のベッドへ移動したい、そこで一緒に枕を並べてやすみたい。

その思いが彼を動かしたのに違いありません。私はそう確信したのです。


「mawako! ようやく気が付いてくれたんだね。」夫の声が聞こえた気がしました。

「解ってあげられなくてごめんなさい」

とめどなく涙が流れました。私は買い物の予定をやめ、今来た道を引き返しました。


~・~・~・~・~・~・~

今もなお、私は時々ハッと思いつくことがあります。

「あの時、解ってあげられなくてごめんなさい。」

余りにも悔いることが多い病床の夫との日々でした。




rain


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Last updated  September 13, 2017 12:00:48 AM
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September 12, 2017

平成28年10月7日(金曜日)

ホスピス46日目(その1)

朝4時55分

昨夜は看護師Yさんが丁寧にお世話してくださり、今日まで命がつながりました。
あなた、頑張ってくれてありがとう。すやすや寝息が聞こえます。嬉しい朝の寝息です。



朝6時半を回りました。

あなたはすやすや休んでおります。



朝9時 院長先生来室、

連休中は学会出席にて病院留守とのこと、その間に亡くなることもありうるとのこと、
できれば帰院後、それまで持ってくれればいいけれど、とても気持ちよさそうな寝息を
立てています。



11時40分

ホスピス病棟看護師長来室

いろいろ話を聞いてくださいました。先日の夫との話の中で、
あなたが私のこと心配してくれていたという事、
結婚して暮らしたことが幸せだったという事を話していたことを聞きました。
最後まで私のことを気にかけ思ってくれたのですね。ありがとう あなた!



午後1時28分

朝からず~っと眠っていますがあなたの体と心がどうなっているのでしょうね。
mawakoの事、わかってくれているのかな、もうわからなくなっているよね。

本当にあなたが、生身のあなたが消えてしまうのはいつだろうか?
今夜かもしれない、明日かもしれない、その次の夜、・・・・・
いずれの時もmawakoの腕の中で安らかになってください。



午後5時30分
夜勤の看護師MSさん、血圧が70台後半、これが60台になるとあちこちへの
血流が滞るのだそうです。でも今夜は安定したまま推移するだろうという事でした



夜8時、

この時間はお風呂の予約をしたのですが取りやめて傍らで過ごします。
熱が出てきたために血圧、脈拍数に変化が現れれいるとのこと、確かに昼間よりも、
ずっと弱くなっています。喉ほとけは僅かに動いていますが、昼間のような勢いがなく
寝息もはっきり聞かれません。こうして弱まっていくのでしょうか。
やはり間もなくかな~。



夜中11時50分

夜勤の看護師MSさんとおしゃべりしました。私たち夫婦のようになりたいと
おっしゃってくれました。見ているだけであなたがとても素敵な夫で妻を優しくを見守って
いるのがわかるのだそうです。またまた、此処でも仲良し夫婦であることを認められて
嬉しいね、良かったね、仲良しであると言ってもられるのがとっても嬉しいね。

幸せだった52年間を想っています。二人の生活を「宝玉に匹敵する」とまで言ってくれる
あなたの想いを有難く、嬉しく思います。ありがとうをいくら言っても言っても
その私の想いを言い尽くすことができません。



rain


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Last updated  September 12, 2017 12:00:33 AM
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September 11, 2017


平成28年10月6日(木曜日)

ホスピス45日目

午前9時40分
まだ眠りから覚めずに眠っておりますね。院長先生とお話しました。

弱いけれどまだ呼吸がしっかりしていること、おしっこがしっかり出ていることなど、
しかし、かなり弱っているので徐々に徐々に最後に向かっているとのこと、
そして急に・・・・そんなことも在るようです。


あ~あなた ! 間もなくですね、いよいよあなたの旅たちが近づいていますね。
この分では苦しまずに眠ったままの状態で逝けるそうですよ。




今朝あなたの眠っている時間に家に行ってきました。裏庭のヘブンリーブルーが
かなり咲きだし、見事になっていました。このお花、みてもらいたかったな~
カメラに収めてきたので眠りから覚めたら見せてあげようね。
vabiちゃん,mariちゃんもピンクラッフルのお花をわずかですが咲かせて
応援してくれていましたよ。












午後1時12分になりました。

朝からあなたはず~っと眠ったままです。血圧は80台、酸素濃度90台とのこと、
今日はいつまで眠るのかな~、



午後1時45分 看護師来室

一昨日から昨日、今日と体力が落ちていますね。看護士さんと廊下で話しました。

薬を使いながら眠っている状態で逝くのも選択肢の一つ、
しかし、かなり体力が落ちているので薬を使ったら薬の副作用で呼吸障害を起こして
このまま逝ってしまうことも在るそうです。薬の使い方がなかなか難しいのですね。

薬を使わなければ覚醒して痰を吸引しながら体力を使い果たして逝くのも選択肢の一つ、
この状態でしばらく低空飛行が続くのだろうと。

苦しい状態で低空飛行を続けるよりもそのまま眠ったまま逝ってしまう方が
あなたのためにいいのかもしれませんね、どっちがいいの?、あなたは。
私のこともわからぬまま眠っているあなたの傍でず~っと過ごすのも私は寂しいです。
でも、苦しむあなたを見ているのはもっと辛く、あなたが可哀想でたまりません。



午後2時15分前、
ようやく目覚めましたが、やはりはっきりせずウトウトの状態ですね。
痰の吸引、しもの手入れ、床ずれの手当てをしていただき、また眠りに入りました。
辛いですね。あなたの最後の看取りをしっかりしますからね、安心して過ごしてください。



午後2時55分

洗濯に行きましたら、途中でフルートの曲につられて1階の談話室へ、
ボランティアの方、看護師、患者が「見上げてごらん夜の星を」とハモッテいました。
とてもとても悲しくなって涙が溢れました。


今日のあなたはすっかりやつれているのですよ。誕生日までは無理のようです。後少しですね、
こうしてふたりで居られるのはね。今夜の看護師はYさん、あなたも信頼している方ですから
よかったですね。とても辛そうです。昨日から急に体力がなくなったようですね、



午後9時50分

眠り薬、量を減らしてゆっくりゆっくりと投与開始、
とても私は疲れを覚えて眠りたい。でも今夜はず~っとあなたに付き合います。
「あなた、私は眠らずにず~っと一緒だからね。一緒だからね」と言いながら
とても眠むたくてたまらないの、
看護士Yさんが 来てくださるのをうつらうつら確かめながらとうとう眠ってしまいました。



ただ今、夜中2時35分

痰が絡まるようすもなく眠っています。
あなた、辛いけれど私は生きていて欲しいと願っているのですよ。

今とても変な錯覚に陥っています。若い日の元気なあなたを求めています。
そして「助けて助けて」と叫んでいます。「私を一人にしないで」と叫んでいます。
元気なころのあなたに助けを求め叫んでいます。
そのあなたが居なくなる、今晩生きても明日はいないかもしれない。
あなたの命は あと2,3日、私はそのような気持ちになります。

とうとう来るべきその日がひたひたと近づいてくる。










rain


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Last updated  September 11, 2017 12:00:18 AM
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September 10, 2017


平成28年10月5日(水曜日)

ホスピス44日目

ただ今 朝4時40分、

枕元の電波時計は室温22.1℃、今までで一番気温が下がりました。
痰が絡まって辛そうですね。こんな時刻に目が覚めてしまいました。季節がだんだん寒さに
向かいます。こんな時は一層物悲しく、さらにあなたの病気、間もなく別れがやってくるような
そんな思いが重なって体が硬直していきます。
一人になった時、こんな目覚めを繰り返さなければならないのですね。
どのようにしてその日のパワーを得ることができるだろうか。


今日も一日、生きてください。私に生きる歓びを与えてください。
意識が薄らいでいくあなたにどのように働きかけたらいいのかしら。
あなたのすべてが少しづつ、少しづつ壊れていく、
そして、私は自分が壊れないように必死で堪えています。




ただ今8時20分

朝食を終えたところです。室温は23℃、やはり今日は冷えたのですね、
あなたは5時に薬を止めたのにまだ、眠ったり目覚めたり、さまよっているところでしょうか、
今日は元気がないように思います、体の動きに元気がありません。



9時ごろ、

ぼくとmawakoと

どうするの」と聞くと

面倒だからやめておくか」と言う。   何を言いたかったのだろう?


ベッドを直していたら「腰を痛めるからやめた方がいいよ」と言う。



10時過ぎ

急に家の様子が気になり、見に行こうと思いたってあなたにいうと軽くうなずいたので

準備して「行ってくるよ」と言うと、

ぼくも一緒に行く」と言う。行ってほしくないのだと思い、いとおしくなり

それでは明日一緒に行きましょう」と取りやめる。





しばらくのち、「着替えをしたい」「着替えを手伝って」と言う。

今日は行かないから着替えしなくてもいいのよ」と言う、

このように会話を交わせるのがとても嬉しかった。弱々しい声なれど、いつもような静かな

優しい抑揚が哀しく今も私の耳に遺っている。





午後3時過ぎ

起き上がりたい」「手を引っ張って」という。

夫は私を抱き寄せ起き上がろうと試みたが、夫の体は重く少しも動かない。

夫はそのような二人の姿を「写真に撮られた」と言っている。




今日はすべてイヤイヤの態度なれど私の動きをひたすら追っているのがよくわかる。

あ~これからどうなっていくのだろう。

午後はなかなか話が通じない。しきりに天井を指さして何か言うが聞き取れず、

解ってあげられない。私もそうしたことが歯がゆくてたまらないのです。



夕刻5時半

私は少しウトウトしてしまいました。あなたは相変わらず、目を見開いたまま、

天井を見ていますね。夜勤はあなたのお気に入りのTMさんなのでひとまず安心しました。



rain


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Last updated  September 10, 2017 07:53:11 AM
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September 9, 2017

平成28年10月4日(火曜日)

ホスピス43日目

夜中(AM)12:30

12時を回りました。着替えをして床に就いたのですが寝付かれず、次第に胃痛、吐き気、
脂汗も感じます。じ~っと我慢しています。今倒れるわけにはいきません。
ゆったりと気持ちを切り替えて休みます。それにしてもあなたが入院以来、私は体調を崩す
ことなく過ごせたのは本当に有難いことでした。


あなたは今夜も目覚めることなくよく眠れている様子です。
ただ無呼吸の時間が長過ぎるようで、これは眠剤や痛み止めの影響もあるようですね、
なかなかくすりの副作用の問題は難しいものですね。
今夜はこれでお終いにします、CDを聞きながら休みます。



ただ今 朝8時45分

6時半に薬を切ったので7時半頃には目覚めましたが痰が絡んで苦しそうです。
熱が38℃、やはりこのために辛いのでのでしょうか、アイスノンを代えてもらいました。
やはりまだまともな会話はできません、最近幻覚があるのでしょうか、天井見ながら
「何かが見える、窓の外に出てみろ」「廊下をしっかり確かめよ」「だれかが居る」
「弟がそこに居る」ともいうのです。だんだん、せん妄、幻覚が激しくなるのでしょうか。
今朝のあなたはまだまとめな状態ではなく頭は混戦模様です。



ただ今 午後2時20分、

相変わらずまともなのかそうでないのか、わからないまま時が刻んでいます。
気を鎮める薬を投与してくれて落ち着きました。こうしてだんだんと精神が壊れていくのですね
こんな生き方になるとは予想しませんでしたのでとても辛い想いがいたします、


癌は激しく強く痛みそれを緩和するための処置によって、穏やかに過ごせると思っていたので
とても今の状況を肯定できずに苦しんでいます。
いや、すでに病状が進み、そのような穏やかに過ごす猶予が与えらえない状況であると
いう事なのでしょうね。あなたは私以上に混乱し苦しんでいるのでしょう。
だから辛くともあなたと一緒に最後までしっかり付き合いますからね。



午後7時5分

あなたは私の横で目を開け天井見て話しかけますがよくわからないままです。
一つだけ、はっきり解ったことは「あと1週間で死ぬと思う。」何という事を言うのでしょう。


夜の回診時にも院長先生に「僕の命は後3日位だと思う」などとと話していましたね。
先日のあなたとの約束ですからあなたの好きな時に逝くことを、私の意志で止めることは
しないつもりですが、mawakoの本当の気持ちはまだまだ生きてほしいのです。
しかし、一方であなたがこれ以上の苦しみに見舞われないうちに逝って欲しいとも思うのですよ、


死への道行がこんなにも残酷であることを予想できませんでした。
寂しい寂しい、あなた亡き後のmawakoは本当に生きてゆけるのだろうか。
本当に幸せだった分、これからは寂しさを背負って生きていかなければならないのですね


悲しくなって泣いてしまいました。あなたの腕にすがって泣いてしまいました。
そうしたら「泣いたらみんなに笑われるよ」と言うのでびっくりしてしまいました。
せっかく、正気になって話しているのに、はっきり聞き取ることができなくてごめんなさい。


8時40分

今夜の看護師はSGさん、あなたのお気に入りの看護師さん。髭を剃って頂きご機嫌です。
痰も頑張って自分で出してみましたね。手足が冷たくなってきたことが気になります。
今月分445,000円支払いました。明日は良き日でありますように。

(今日のレターも聞いてもらえなかったね。)

rain


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Last updated  September 9, 2017 12:00:25 AM
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September 7, 2017


平成10月2日(日曜日)

ホスピス  41日目


夫へのレター

(夫に読んでもらうことを期待できなくなってからも、私はレターを書き続け、
気分がよさそうな時には耳元でレターを読んだ)


昨夜は目覚めることなく、朝までぐっすりでしたね。今朝の目覚めはなかなか朦朧状態から

抜け出せず、チンプンカンプンの状態でした。

昨日から話し方が一層明瞭さに欠けるようになってきたことが気になります。

朝から体も動かしたい思いが強く、私のベッドまでのゴロゴロ横転を繰り返し頑張りましたね。



夕刻アルバムの写真を一枚づつ手渡しながら見ましたが、あまり表情が変わりませんでした。

でも、結婚した翌春、退職してからの新婚旅行で東北に訪れた時の私の写真を見て

「かわいいね」と一言、私はとっても嬉しかったです。27才の春の写真でした。



今日の気がかりは「お~いお~い」と呼んだこと、いつもは今まではmawako,mawakoって

呼んでいたのに、mawakoの事わからなくなってしまったのかと思ってびっくりしました。

明日はmawakoの事、わかってくれるでしょうか。

今日も6時半に眠剤を求めて眠りに入りました。明日も良き日でありますように。お祈りします。

(このレターも、夫の耳に届かぬままでした。)


rain


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Last updated  September 7, 2017 12:00:16 AM
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September 6, 2017

平成28年10月1日(土曜日)

ホスピス40日目

朝、5時43分、室温24.2℃ 昨日より暖かなようだ。

昨夜は一度も目覚めることなく気持ち良い寝息で一晩を過した。有難きかな。

今日はどんな一日になるだろうか、少しでも穏やかな一日であってほしい、切にそう願う。




9時過ぎ目覚めたがはっきりしているわけではない。ひげを剃り、顔を拭き、口を掃除する。

そうしてまた眠ってしまった。そろそろ院長回診の刻、目覚めるかな?





院長来室


夫はあまり話ができなかった。

昨日のゴロゴロ横転の話をしたら「それだけ体力があるならまだまだ大丈夫」と力付けられる

少し熱がある38.3℃ 少し眠ることを促すが、眠剤注入も眠れずにうつらうつら、

私の方が眠ってしまった。


弟来室、夫がチンプンカンプンなことを言うので弟が笑うのでその度に怒っている。

今日は熱が上がっているが左右の脇の下で温度が異なる。

午後の4時頃まで起きているがチンプンカンプンである。この状態の方がいいのだそうだ、

正気であれば狂ってしまうらしい。4時半珍しく痛み止めを求める。

早送りの痛み止めを注入してもらう。床ずれ、ストマーの手当て、しもの手当てをしてもらう。

相変わらずチンプンカンプンなことをいう。弟がすぐ帰ったので寂しそうだった。


rain




PM 5:00

看護師長来室

夫は「隣の部屋で変な音がする、行って見て」と言い、しばらくの後、入室。

(最近、夫は時々誰かがいる、変な音がする、見て来てというようになっていた)

何もないよ、だれもいないよ、大丈夫ですよ」と言う。

きちんと見たの?・・・もう一度行って、」少し苛ついている感じに思った。

その時、看護師長が私に席を外してほしいというサインを送ってよこした。




夕食の時刻になる6時頃まで、ナースステーションの横のソファで時間を過ごしていた。

看護師長が「お部屋に戻ってください。」と声を掛けてくれた。

「しばらく私が部屋にいないとどうしたと心配するのですが、今日はどのように言ったら

よいでしょう」というと「大丈夫よ、そのままお部屋に入ってください」と看護師長は言われた。





私はふと思った。

看護師を通じて夫の方から看護師長に面会を求めたのではないかと。

現在の心境を聞いてもらいたい想いで、それとも何か看護師長に託することがあってのことか、

いづれにしても妻を排して看護師長とのみ話したかったことがあったのではないか。



いや、たまたま看護師長が来室、とっさに隣の部屋が何か変と言い、私の同席を避けて話し

たかったのだろうか。


いずれにしても看護師長と話すこと、そしてそこに妻を同席しないことを夫が自ら求めた

ことは確かであると思う。だからこそ、部屋に入ってベッドの傍らに立つ私を

「どこへ行っていたの」「何していたの」と一言もなしに迎えてくれたのだと思った。

夫の表情に爽やかさが感じられず私は「看護師長さんと何をおしゃべりしたの」と

語り掛けることが躊躇され、何も言わなかった。私の心は重たく沈んだ。



ゆっくりゆっくり話す夫に耳を傾けて聴いてくださった看護師長さん、行きつ戻りつしながら

何を話していたのか、前後がつながらないような間隔を経ながらも、

一生懸命話そうとしている夫の姿が浮かんできた。「夫は良い時間を過ごしたのだ」と思い、

表情に爽やかさを感じられなかったのは1時間ほども緊張状態で過ごし疲れたからなのだ、と

私は納得し、重たく沈んだ心を開放することができた。


rain




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Last updated  September 6, 2017 12:00:18 AM
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September 5, 2017


平成28年9月30日(金曜日) 

ホスピス 39日目 

昨夜半、2時過ぎに目覚め衣服を脱ぎ始め興奮気味、看護師コール、眠剤を注入してもらい、

それ以後はぐっすり休み、7時15分目覚める。朝の検温37.9℃ 顔を拭くなど行ってもらい、

またまた眠る。痰の吸引もいつもより抵抗せずに行ってもらう。

今日はどのような一日になるだろうか、今日で9月も終わる。




9時25分院長ら医師一行来室、(回診は院長一人または一行の場合もある)

本日は話ししても明瞭さ著しく悪く、ほどんど理解できず、睡眠剤を入れずとも眠る。

1時ころまで何かわからぬことばかり話しかけたり、話したりしながら過ごす。

トンチンカン、チンプンカンなことに付き合って、それなりに相槌を打ちながらも、

楽しくおしゃべりをする。




昼の体温36℃台に下がる。

体温が36℃台だったので気分が良かったのだと思う、

2時過ぎ「本を読みたい」と老眼鏡を求む、本と言うのは二人のレターのことである。

手元にある交換レターを渡す。

ジーっと呼んでいたが途中で「よくわからない」と言って戻す。

その後、しもの手入れ、床ずれの薬の塗り替えなどしてもらいその後また眠る。



3時半過ぎ

夫のベッドから妻のベッドへの移動を開始する。

右側に体を向け、体を捩ってベッドの手すりを両手を握る。手のひらにペッペッと唾をつけ

しっかり手すりを握っている。そして何度も反動をつけて左へと回転をするのである。

その姿を見た時、私は小さな頃のワンシーンが鮮やかに蘇った。

ペッペッと手のひらに唾をつけ、何度も反動をつけてヨイショと足を上げて、必死に

挑戦した鉄棒の逆上がりする自分の姿である。

夫は1回転し、わずかなベッドの段差もクリアして2回目の回転に成功、私の手も

貸したがとうとう本日は完全に妻のベッドへの移動が成功、達成感を得た夫は、嬉しそうな表情、

私も嬉しくなり「大好き、めちゃめちゃ好き」と耳元で戯れる。

夫も「好き好き」など反応し、言葉も次第にはっきりしてとてもご機嫌、元気なり。

体温が36℃台に下がったことで体の調子が良かったのであろう、とてもご機嫌である。

もっとやる気満々なれど、自分のベッドへ戻るにはすでにパワーを使い果たした感あり、

看護師の手助けを借りる。

今日はその後もゴロゴロと回転を3度ほど繰り返し、そのたび毎、ご機嫌。

明日になって熱が上がらないければよいがと心配になる。



5時過ぎ院長来室、

私は院長先生にゴロゴロ回転のこと、手首が折れないか心配である事などを話す。、

夫は相変わらず「そろそろ死にたい」「体も動かず生きていたくない」と言う。

院長は「まだまだ元気なのでお迎えは来ませんよ」と言う。

「沢山の夢を見る」と言う。





その夜、チンプンカンプンのことをいろいろ話す。どうやら、医師、看護師と私が話して

いることで自分がスポイルされていると思っているようである。

言葉の不明瞭さ、夫の話の補足のつもりで話しているのだが、補聴器を使えない状況に

なっているので余計気にかかるようである。

話した内容をきちんと伝えなくては要らぬ心配をかけてしまうことになる。

明日から10月、「余命ひと月」それよりは長く生きられたことに感謝。



rain


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Last updated  September 5, 2017 12:00:09 AM
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September 4, 2017

平成28年9月29日(木曜日)

ホスピス 38日目


今日も辛そうな一日だった、「寝ることと死ぬこと,これしかない」と言う。

「死ぬ薬が欲しい」と言う。

体のだるさが本格的になってきたようで辛くて大変なのだと思う。

朝より不調、洗顔も髭剃りも嫌がる。すべてがイヤイヤである。

看護師の床ずれの薬の張替えも断る。「もう終わりだからどうでもよい」と言う。

夫は死ぬことばかりを考えているようだ、



夕方 院長来室

眠りたいといい、眠り薬を求め、夫は寝ている。少し夫のことを詳しく話す。



5時過ぎ目覚める。

口のケアをしなければ肺炎になること、床ずれの手当てをしなければ大変な事になると

話すと納得して看護師に身をゆだねる。




今夜は6時早々に眠剤を求めて以後眠る。痰の出方が今のところ、あまり激しくない。


私はバカに眠りたい、疲れているようだ。眠れる時にとにかく休もうと思う。

夫の傍に枕を寄せて眠ることにする。


rain



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Last updated  September 4, 2017 12:00:27 AM
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