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Dr.半熟卵のつぶやき~女性医療の現場で働く産婦人科医の日記~

女性ホルモンって?

女性ホルモンって何?

 

 最近雑誌やテレビでもやたら取り上げられている「女性ホルモン」・・・・そもそも「ホルモン」って何でしょう?
 体の中には、各臓器を正しく働かせたり、消化や代謝がきちんと行われるために、いろんな情報伝達の経路があります。イメージしやすいのは神経ですかね~。脳からの命令が、神経線維というケーブルを通じてピピッと伝わって行くわけです。
 ホルモンは、この情報を、少し離れたとこにある特定の臓器に伝えるメッセンジャーのようなものです。直接ケーブルはつながってなくても、遠隔地に命令文書を出してるようなものですね。このメッセンジャーは、血液に乗っかって全身のどこにでも運ばれていきますが、「レセプター」と呼ばれるいわゆる「受取人」がいる場所でなければ効果を発揮しません。
 
 体の中にホルモンを作る臓器はたくさんあります。脳下垂体・甲状腺・副腎皮質、そして卵巣などなど。それぞれ、どの臓器にどんな命令を出すのか、役割が決まっています。
 その中で、卵巣から出てくる2種類のホルモンをまとめて「女性ホルモン」と呼んでいるんです。1つは卵胞ホルモン=エストロゲン。もう1つは黄体ホルモン=プロゲステロン。働きかける臓器は、主には子宮内膜で、この2つのホルモンがちゃんと働いているから生理が正常に来るんですね。

 最近は、女性ホルモンの中でも特にエストロゲンが、子宮だけではなくて、肌や骨や血管の壁なんかにも作用して「若さ」を保っている事が明らかになってきました。そのほかにも、免疫力を高めたり、コレステロールを下げたり、なかなか働き者のホルモンなんです。だから、更年期に入って、このエストロゲンの量がガクッと下がると、体のあちこちに影響が出てしまいます。生理後の一番お肌の調子がいい時期というのは、実はこのエストロゲンがたくさん分泌されている時期に当たります。
 一方、プロゲステロンは別名「妊娠のホルモン」とも呼ばれ、妊娠を成立させるためには欠かせないホルモンです。が、妊娠したい女性以外にとってはちょっとうれしくない存在です。月経周期の後半、生理が開始してから2週間後以降にこのプロゲステロンがど~っと分泌される時期がいわゆる「生理前」の時期。体のあちこちに水分をためたり、気分を何となく鬱っぽくさせたり、体温を上げてボ~ッとした感じにさせたり・・・プロゲステロンの働きは、実は生理前の体調不良の原因になってしまってるんですね。
 月経周期の中で体に起きている変化は、下の図を見ていただくと分かりやすいと思います。
 ホルモン2

 じゃあ、これらの「女性ホルモン」は日頃どうやって調節されているのかというと、「どのくらいホルモンを作りなさい」と命令しているのは「視床下部・下垂体系」と呼ばれる脳の一部なんです。命令の流れを単純に書くと下のようになります。
ホルモン1

 なかなか複雑でしょう?脳から命令がただ出ているだけでなく、卵巣から出たホルモンの量を脳がキャッチして、命令の強さを調節しているんです。この流れの中で、どこか一箇所でもうまくいかなくなると生理はまともに来なくなります。
 例えば、ストレスで脳が疲れてしまうと、本当は命令を出さなければいけないのにちゃんと命令を出せなくなってしまったりするんですね。すると、命令が来ないから卵巣も女性ホルモンを作らない・・・で、生理が来なくなる。または、卵巣の働きが何らかのストレスによって悪くなってしまうと、脳からは命令が出てるのに卵巣が反応しないからやっぱり女性ホルモンは出ない・・・で、生理は来なくなる。
 女性の体は、毎月、実に精密なホルモンの調節機構によってコントロールされているんですよ。

 女性が男性と比べて、突然バタッと倒れにくいのは、心身への負担がホルモンのアンバランスを引き起こして、生理不順というわかりやすい症状で現れてくれるからなんです。だから、ギリギリまで自分への負担に気付かずに無理に無理を重ねてしまう危険性が少ないんですね。
 でも、せっかく体が分かりやすいSOSを出してくれていても、本人がそれを無視していたのでは意味がありません。生理なんて無い方が楽!という気持ちはとってもよく分かるんだけど、でも、やっぱり60日以上生理がこなかったら、早めに婦人科で相談して下さいね。


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