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Dr.半熟卵のつぶやき~女性医療の現場で働く産婦人科医の日記~

若さを保つには・・・

 女性の健康や美を考える上で、ホルモンの作用は無視できないんですね。女性の不定愁訴のほとんどが、ホルモンと関係していると言っても過言ではないくらい。
 女性の体は、月経が始まると毎月ホルモンの変化に影響されるようになるんですが、もう一つ大きな変化が起きるのが閉経前後のいわゆる「更年期」という時期。だいたい30代後半から徐々にホルモンの働きは低下してきて45歳くらいからさらに落ち始めます。そして55歳くらいまでの間に閉経をむかえたとたん、一気にガクッとホルモンレベルが下がるんです。
 閉経後の女性が持っている女性ホルモンは、同じ年齢の男性が持っている女性ホルモンよりも低いんですよ。そのくらい、一気にホルモンがなくなってしまうんですね。

 2種類の女性ホルモンのうち「エストロゲン」というホルモンは、子宮内膜に働きかけるだけではなくて、骨の代謝に関与したり、お肌のコラーゲンやヒアルロン酸を保つ働きを持っていたり、血管の壁のしなやかさを保ってくれたり、免疫力を高めたり、コレステロールが上がりすぎなように調節したり、自律神経のバランスを整えたり・・・・と、いろ~んな働きを持っているんです。
 なので、このホルモンが一気に体の中からなくなると、のぼせや目眩といったメジャーな更年期症状だけではなくて、節々が痛んだり、お肌がかさついてきたり、しわやたるみやしみができやすくなったり、髪の毛がパサついたり、コレステロールが上がってきたり、食べ物が飲み込みにくくなったり、艶のある声が出にくくなったり・・・・と、一気に体のあちこちにガタがきてしまいます。体だけでなく、心のバランスも崩しやすくなってしまうので、イライラや落ち込み・集中力がなくなる・やる気がなくなる・性欲がなくなる、などのトラブルがでてしまうんです。

 これらの症状は、だいたい閉経前後の数年がピークで、徐々に落ち着いてはきます。中にはほとんど不愉快な症状を経験せずにすむ方もいらっしゃいますが、何らかの症状が出た場合、一番辛い時期にちょこっとホルモンを補う事で、ずいぶん楽に過ごせるんですね。ホルモン剤は、飲み始めたら一生続けないといけないようなものではありません。調子の悪いときはしっかり補って、症状が落ち着いたら適宜量を減らしていったり、調子の悪いときだけちょこっと飲むと言った使い方だってできるんです。
 もちろん、症状がなくてもお肌や心の若さを保つためにホルモン剤を利用する方もいらっしゃいますよ。確かに、継続的にホルモンを補っていらっしゃる方の方が肌艶はいいように思います。
 それに、何より注目すべきは、ホルモン補充してらっしゃる方の骨密度の保たれ具合なんです。女性はどうしても、閉経後確実に骨密度が低下していくんですが、ホルモンを補っていると比較的いい値に保たれているんですね。閉経後何年もたって、骨粗鬆症が見つかってからホルモンを補っても少しは改善しますが、やはり、骨密度が落ちきる前に予防的な治療をしておいた方が、閉経後も丈夫な骨を保つ事ができます。

 日本の女性は、閉経後に30年以上の人生が待っています。女性ホルモンがない状態でこの30年以上の人生を活き活きと過ごすのは、なかなか大変な事だと思うんです。老年期の女性のQOL(生活の質)を落としている一つの原因が「骨」。つまり骨粗鬆症のためにちょっとしたことで骨折してしまい、そこから不自由な毎日を過ごさなければならなくなるケースが多いんです。
 だから、何歳になっても若々しく元気に過ごせるように、女性ホルモンをうまく味方につけて欲しいと思います。もちろん、ホルモン剤は魔法の薬ではありませんし、使い方を間違えばリスクも伴います。リスクをちゃんと見極めて、適切な使い方をする必要がありますし、誰でも彼でもホルモン剤を飲めばいいというものでもありません。
 ホルモン剤をうまく利用する一方で、20代や30代のうちから丈夫な骨を作るための食生活や運動を心がける必要があります。バランスのいい食事を心がける・毎日少しは日に当たる・適度な運動を継続的に行う・・・そして、1年に1回は検診を受けて全身のメンテナンスをする。どうせ長生きするなら死ぬ直前まで美しく健康でいられるように、日頃から気をつけておきたいですね。


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